フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

コンビニオーナー世論調査に関する考察 

 月刊コンビニ(商業界刊)6月号に第1回「コンビニオーナー世論調査」が掲載された。雑誌にもある通り、コンビニ本部の動向や新業態、新立地、新商品の開発等は新聞、雑誌、テレビに報道されない日は無いと言っても良いくらい報道されている。
 反面、売りの最前線のFC店オーナーの意見が報道されることは極めて少ない。数年前に紙面を賑わしたコンビニオーナーの裁判事件位であろう。

Ⅰ データの性格について

 月刊コンビニが「世界最先端の小売業態を担う最前線」の世論調査を試みた意義は極めて大きい。筆者は縁あって、同世論調査に対する短いコメントを述べたが、調査内容を仔細に読み込んでみて、このデータの持つ重要性に気付き、編集部の同意を得て、フランチャイズ時評に「考察」を述べてみる。
 なお、内容に入る前に、この調査は質問項目65、有効回答242であり、調査としては統計上意味のある調査であるが、回答者は「月刊コンビニ」の読者で、かつコンビニ経営のオーナーに限定されているため、無条件で世間一般のコンビニオーナーの意向とは同一ではない。月刊コンビニの読者というバイアスの掛かったデータであることにご注意いただきたい。
 しかし、それは決して調査結果に間違いや偏向がある訳ではない。むしろ、月刊誌を毎月定期購読する勉強家のオーナーであり、意識的には進んでコンビニ経営を勉強しようとする方のご意見であることに注意を促したに過ぎない。
 また、コンビニのどの系列のオーナーが回答したか、年齢は、場所は、という内容についても触れていないのは、若干残念ではあるが、止むを得ないことである。むしろ、今後毎年定期的に調査を行い、オーナーの意向がどのように変化し、新業態や新商品に対してどのような意見が変化していくかを見たいものである。

Ⅱ アンケート調査の結果

店舗経営について

1.日々のお仕事から、個人消費は回復していると実感できますか?
・回復している 2.2%
・回復基調にある 27.3%
・回復基調にはない 57.4%
・むしろ悪くなっている 12.9%

2.この1年、本部は加盟店の利益を高めるために努力をしていると思いますか?
・ますます努力をしている 7.6%
・変わらず努力をしている 40.3%
・努力が少し足りないと思う 37.2%
・努力がぜんぜん足りないと思う 14.4%

3.05年2月期の決算では、チェーン本部が利益を上げる一方で、既存店売上高は前年割れ。この現実をどう受け止めますか?
・本部あっての加盟店なので、本部の業績好調は素直に嬉しいと感じる 5.6%
・本部の利益も大事だが、加盟店の利益対策を考えてほしい 74.3%
・本部は儲けすぎだ。すべて加盟店に利益還元すべきだ 18.6%

4.コンビニのチャージ(本部へのロイヤルティ)に関して、この間、加盟店と本部との間で、幾つかの裁判が行われてきました。この動きについては?
・関心を持つべきではない 0.4%
・非常に関心がある 49.1%
・多少は関心がある 44.7%
・関心がない 5.6%

5.オーナーご自身の「経営理念」「経営方針」などを事務所などで掲出していますか?
・掲出している 55.8%
・掲出していない 44.1%

6.現在担当しているスーパーバイザー(店舗指導員)に満足していますか?
・たいへん満足している 8.7%
・満足している 41.2%
・あまり満足していない 18.2%
・満足していない 22.2%
・どちらとも言えない 9.9%

7.オーナーご自身の「経営理念」「経営方針」などを従業員に日々伝えていますか?
・伝える努力をしている 58.4%
・伝える努力をあまりしていない 32.6%
・伝えていない 8.4%

8.コンビニの24時間営業については、どう考えますか?
・原則的に厳守すべき 14.2%
・店舗によっては必ずしも24時間の必要はない 69.4%
・加盟店が自由に決めればいい 16.2%

9.多くのチェーン本部では、単品管理の向上を唱えています。あなたのお店は?
・単品管理の技術は年々向上している 57.9%
・単品管理の技術はそろそろ限界が見えてきた 30.6%
・単品管理の技術は現状で十分である 11.4%

10.異業態との競争で自店にとって最も影響が大きいものを1つ挙げてください
・均一価格チェーン 20.5%
・スーパーマーケット 48.6%
・ドラッグストア13.4%
・ホームセンター 0%
・ファーストフードチェーン(マクドナルド、吉野家のような) 13.0%
・持ち帰り弁当店(ほっかほっか亭のような) 13.0%

11.(セブンーイレブン以外の方も)セブンーイレブン会長の鈴木敏文氏が書籍で語っているコンビニ経営全般に関して
・まったくその通りだと思う 9.8%
・およそ言うことは間違っていないと思う 59.8%
・多少は正しいと思う 24.1%
・ぜんぜん正しいとは思わない 2.6%
・分からない 8.9%

12.日本のコンビニチェーン本部の3社が中国に出店していますが?
・日本のコンビニが国外で店数を増やすことは喜ばしいことだ 40.5%
・特に関心はない 48.9%
・海外に行くべきではない。国内だけを、きちんとすべきだ 10.4%.

13.ご自分の店以外で、コンビニを利用しますか?
・よく利用する 24.9%
・利用するほうだと思う 32.0%
・あまり利用しないほうだ 33.5%
・全く利用しない 9.4%

店舗運営について

14.積極的に外回り営業を行うコンビニが増えています。チェーンの中には推奨しているところもあるようです。この傾向には賛成しますか?
・賛成 15.5%
・どちらかと言えば賛成 33.7%
・どちらかと言えば反対 35.2%
・反対 15.5%

15.コンビニが商品の配達(宅配)をすることについては、どう考えますか?
・賛成 13.8%
・どちらかと言えば賛成 33.0%
・どちらかと言えば反対 35.7%
・反対 17.3%

16.若い人が話すおかしな敬語を、「コンビニ敬語」と言うようですが、あなたのお店では?
・絶対に認めない 42.6%
・お客から苦情が出ない限り構わない 46.0%
・気にならない 11.2%

17.茶髪については、どうですか?
・絶対に認めない 44.9%
・お客から苦情が出ない限り構わない 43.6%
・気にならない 11.4%

18.「いまどきの若者はー」と、つい思ってしまうことがある?
・多々ある 28.9%
・ときどきある 50.6%
・ほとんどない 15.9%
・全くない 4.4%

19.手書きPOPを自店で作製するお店があります。あなたのお店では?
・関心がない 0.4%
・効果があるので作っている 64.5%
・効果は分からないが作っている 19.3%
・効果はあると思うが時間がないので作れない 15.3%
・効果が少ないと思うので作っていない 15.3%

20.「やまびこ声掛け」(全従業員でいらっしゃいませ~と声掛けすること)を実施しているお店があります。あなたのお店では?
・関心がない 0.4%
・効果があるので実施している 59.6%
・効果は分からないが実施している 30.2%
・効果はあると思うが実施していない 6.4%
・効果は少ないと思うので実施していない 3.2%

21.カウンター商品などをお勧めする、いわゆる「声掛け」をしているお店があります。あなたのお店では?
・関心がない 0.4%
・効果があるので実施している 47.5%
・効果は分からないが実施している 9.8%
・効果はあると思うが実施していない 34.2%
・効果は少ないと思うので実施していない 7.6%

22.発注をパート・アルバイトに任す、いわゆる発注分担については?
・なるべく分担する方針である 55.4%
・ある程度は分担する方針である 42.1%
・基本的にはオーナーが1人で発注をすべきだと思っている 2.4%

23.店舗で試食販売を実施していますか?
・効果があるので実施している 22.8%
・効果は分からないが実施している 14.8%
・効果はあると思うが実施していない 39.3%
・効果は少ないと思うので実施していない 15.2%
・関心がない 7.6%

24.名前を覚えているお客様は何人いますか?
・0人 1.2%
・1~5人 19.6%
・6~10人 21.2%
・11~20人 17.2%
・20~50人 22.0%
・50人以上 18.8%

25.あなたのお店で、最も増えてほしいお客様の層は?
・子供 1.2%
・中高生 2.0%
・若い男性 7.8%
・若い女性 32.0%
・中高年男性 20.9%
・中高年女性 25.9%
・高齢者 9.8%

扱い商品とサービスについて

26.現在、販売が規制されている風邪薬などの医薬品について
・コンビニでもどんどん扱えるように行政に働きかけるべきだ 58.5%
・もう少し扱えるように行政に働きかけるべきだ 30.4%
・現状の「医薬部外品」程度の品揃えでいい 8.9%
・コンビニでは極力扱いを減らし、ドラッグストアなどに任せるべきだ 0.3%

27.いわゆる「アダルト本」の販売について、コンビニももっと自粛すべきであるとする意見が、横浜市などで活発化しています。こうした動きについて
・自粛すべきだとの指摘はもっともだと思う 40.4%
・特別な立地(中学校の正門前など)に限り自粛すべきだ 24.7%
・現状のままで問題はないと思う 24.3%
・何を品揃えするかは店が決めること、行政の介入は行き過ぎだ 10.5%

28.チケット販売や収納代行などサービス商品が増加する傾向について
・もっと増やすべきである 24.2%
・精査して、売上が見込める商品のみ増やすべきだ 56.6%
・取扱いが煩雑なのでこれ以上、増やすべきではない 10.9%
・売上が上がらないものは減らすべきだ 8.0%

29.弁当やおにぎりの販売に関して、コンビニは認知されていますが、「惣菜」については、まだ十分に認知されていません。今後、加盟店と本部の努力によって惣菜販売は?
・もっと伸びると思う 47.1%
・多少は伸びると思う 44.7%
・現状と変わらないと思う 8.1%

30.同様にチルドデザートについては
・もっと伸びると思う 54.1%
・多少は伸びると思う 41.6% 
・ 現状と変わらないと思う 4.1%

31.DVDのソフト(映画など)を扱うお店が増えています。期待できますか?
・大いに期待できる 31.0%
・多少は期待できる 44.8%
・あまり期待できない 20.8%
・ほとんど期待できない 3.1%

32.自チェーンのオリジナル商品に満足していますか?
・たいへん満足している 5.7%
・満足している 31.0%
・あまり満足していない 39.1%
・どちらとも言えない 6.5%

33.本部から送られてくる新製品などの「情報」に満足していますか?
・たいへん満足している 3.2%
・満足している 32.2%
・あまり満足していない 39.1%
・満足していない 17.5%
・どちらとも言えない 7.7%

34.実感として「新商品」の売れ行きは以前より
・売れなくなった 26.0%
・多少動きが鈍くなった 45.1%
・以前と変わらない 20.3%
・以前より売れている 8.5%

コンビニの社会的な責任について

35.地域の子供たちの安全を守るために、コンビニを「セーフティステーション」にする運動が進んでいます。あなたのお店は?
・積極的にしている 50.0%
・これからしていきたい 37.8%
・できればしたくない 7.7%
・必要性を感じない 4.4%

36.コンビニ強盗が増えています。何か対策は?
・万全だ 23.0%
・思案中 54.3%
・どうしたらいいか教えてほしい 22.6%

37.コンビニの「社会的な責任」について。あなたのお店は地域社会に貢献している?
・積極的にしている 42.0%
・これからしていきたい 48.0%
・できればしたくない 4.7%
・必要性を感じない 5.1%

38.コンビニの「環境対策」について。あなたのお店では?
・積極的にしている 40.5%
・これからしていきたい 58.1% 
・できればしたくない 0%

39.コンビニがお客様にトイレを貸すことについて、どう思いますか?
・必要なサービス 48.7%
・どちらかと言うと必要 31.5%
・なくてもいいサービス 12.2%
・やめたほうがいい 7.3%

オーナーの仕事、生活、将来展望

40.コンビニをはじめてから、海外旅行はしていますか?
・1年に数回のペース 0.4%
・1年に1回のペース 2.8%
・数年に1回のペース 15.7%
・10年に1回のペース 2.4%
・全く行っていない 78.5% 

41.国内旅行は、どうですか?
・1年に数回のペース 16.2%
・1年に1回のペース 22.3%
・数年に1回のペース 16.2%
・10年に1回のペース 2.4%
・全く行っていない  43.0%

42.「愛・地球博」に行きたい(行きました)?
・行きたい(行った) 48.5%
・関心がない 51.4%

43.昨年と比べて、家族との会話は
・増えた 17.8%
・減った 21.4%
・変わらない 60.7%

44.1カ月のお小遣いは(生活とは関係なく趣味や娯楽で使えるお金)
・1万円未満 12.4%
・1~2万円 24.4%
・3~5万円 39.6%
・6~10万円 7.6%
・11万円以上 10.0%

45.1カ月に何冊、本を読みますか?
・0冊 19.7%
・1~2冊 41.2%
・3~5冊 26.0%
・6~10冊 7.6%
・11冊以上 5.3%

46.実感として仕事時間は?
・非常に長いと感じる 25.3%
・多少長いと感じる 41.4%
・適当だと思う 25.7%
・短いと感じる 7.4%

47.具体的に1日平均何時間、お店で仕事をしていますか?
・5時間未満 6.8%
・5~7時間 10.0%
・8~9時間 23.6%
・10~11時間 25.6%
・12時間以上 34.0%

48.実感として睡眠時間は
・十分にとれている 23.2%
・まあまあとれている 24.9%
・あまりとれていない 28.5%
・ぜんぜんとれていない 8.0%

49.具体的に1日平均睡眠時間は何時間ですか
・6時間未満 31.1%
・6~7時間 58.0%
・8~9時間 9.6%
・10時間以上 1.3%

50.実感として休日は
・十分にとれている 5.9%
・まあまあとれている 26.1%
・あまりとれていない 22.2%
・ぜんぜんとれていない 45.6%

51.具体的に完全な休日をどれだけとっていますか
・1週間に1回 25.9%
・1週間に2日以上 6.0%
・2~3週間に1日 8.5%
・1カ月に1日 4.0%
・ほとんど休まない 55.4%

52.(サラリーマンを経験されたことのある方に)サラリマン時代に
・戻りたい 5.0%
・戻りたくない 54.1%
・なんとも言えない 40.7% 

53.現在の手取り収入に
・満足している 9.7%
・適当であると思う 39.0%
・不満 51.2%

54.自店の弁当やサンドイッチ、調理麺などは、どのくらいの頻度で食べますか
・1日2食以上 24.3%
・1日1食以上 43.9%
・2日に1食 13.4%
・3日に1食 9.3%
・4~7日に1食 4.0%
・ほとんど食べない 4.8%

55.あなた自身の健康管理について。健康のために何かしているか?
・毎日している 9.0%
・ときどきしている 21.9%
・今はしていないが何かしたい 64.4%
・する必要性を感じない 4.5%

56.健康に自信はありますか?
・ある 16.0%
・どちらかと言えばある 50.6%
・ない 4.5%
 
57.もし、100万円を自由に使ってくださいと言われたら、何に使いますか?
・お店のために使う 17.7%
・家族のために使う 54.1%
・地域社会のために使う 2.0%
・自分のために使う 22.7%
・その他 3.3%

58.それが、1000万円だったら、どうですか?
・お店のために使う 32.2%
・家族のために使う 46.6%
・地域社会のために使う 3.3%
・自分のために使う 12.3%
・その他 5.3%

59.夢を持つべきでしょうか?
・どんな境遇でも持つべきだ 95.4%
・持っても仕方がない 0.8%
・どちらとも言えない 3.7%

60.あなた自身、夢はありますか?
・ある 89.5%
・昔あったが、今はない 8.4%
・全くない 2.0%

61.あなたは実年齢より若く見られることが?
・ 多い 45.9%
・どちらかと言うと多い 38.2% 
・どちらかと言うと老けてみられがち 15.8%

62.スタッフからオーナーはどのように呼ばれていますか
・オーナー  61.8%
・店長 30.7%
・〇〇さん(苗字) 2.0%
・〇〇さん(名前) 1.6%
・その他 3.7%

63.(ご子息がいらっしゃる方も、いらっしゃらない方も)コンビニ経営を次世代の方に継がせたいと思いますか
・ぜひ継がせたいと思う 9.4%
・継いでもらいたいと思う 31.6%
・継いでもらいたいとは思わない 58.8%

64.コンビニ業態の将来を展望すると?
・明るい 4.2%
・どちらかと言えば明るい 45.7%
・どちらかと言えば暗い 39.9%
・暗い 10.0%

65.あなたのお店の将来を展望すると?
・明るい 8.3%
・どちらかと言えば明るい 49.1%
・どちらかと言えば暗い 33.7%
・暗い 8.7%

Ⅲ アンケート調査に対する考察

店舗経営について

 アンケートは65項目に及び、コンビニ経営の全般について質問しているので、今回は主要と判断した項目についてのみ考察する。
 まず本部の経営努力について、「本部は加盟店の利益を高めるために努力をしているか」との質問に対して約半数の加盟店が肯定的な意見を述べている。半分の肯定的意見は、現在の日本のフランチャイズ産業全体から見れば、かなり高い評価と言えるであろう。「スーパーバイザー(店舗指導員)に満足していますか」との問に対して、これも半数の加盟店が肯定的な評価をしている。SVに対する評価は日本のフランチャイズ業界では必ずしも高くない。外食業やサービス業のSVに対する評価と比較すれば、SVに対する満足度は、相対的に高いと思われる。これは、コンビニが様々な新サービス、新商品を提供するため、SVの臨店指導なくして十分な経営が出来ないと言う理由が背景にあるのであろう。
 コンビニの24時間営業については、ローソンの新浪剛史社長の「24時間営業見直し発言」等もあり、話題を集めている。オーナーアンケートでは「原則的に遵守すべき」が14.2%に対して、「店舗によっては必ずしも24時間の必要はない」と「加盟店が自由に決めればよい」の双方で実に85.6%のオーナーが柔軟な営業時間を求めている。但し、大手コンビニの社長は、この意見に対して反論する。セブンーイレブン・ジャパンの山口社長は「常に開いていることがコンビニの社会的役割」と述べる。サークルKサンクスの土方社長も「24時間営業もコンビニ経営の柱。成立しない商圏にはむしろ出さない方がいい」と言い切る。(6月8日日経MJより)
 しかし、現実には24時間営業を嫌ってフランチャイズ契約終了と同時に、ボランタリーチェーンの食品販売店に参加する加盟店もあるそうだ。事実、飲食業各社の事業説明会に参加すると、必ずと言ってもいい程、コンビニ経営者が契約終了と同時に飲食フランチャイズに加盟したいと言う参加者がいる。
 「異業態との競争で自店にとって最も影響が大きいもの」は、スーパーマーケットが48.6%と過半数に近い数字を示す。本来、コンビニは“便利さ”を売る業態であり、スーパーマーケットとは利用動機が異なると説明されてきたが、オーナーの意識は明確に最大のライバルはスーパーマーケットと考えている。これに対して、ファーストフードチェーンを揚げるオーナーはわずか13.0%であり、意外な結果である。同様に持ち帰り弁当店を揚げるオーナーも13.0%である。コンビニが強いとされる弁当、お握り、サンドイッチ等の分野で、競合するファーストフードチェーンや持ち帰り弁当店が競争相手としてあまり強く認識されていないということは、むしろフードや弁当店の競争力が低下したためであろうか?
 コンビニオーナーの経営に対する姿勢は前向きである。自社の経営理念や経営方針を事務所などに掲出するオーナーは55.8%に及んでいる。またこの経営理念や経営方針などを従業員に日々伝えているオーナーは58.4%に及んでいる。フランチャイズによる飲食業やサービス業では、本部の掲げる「経営理念」を唱和したり、店内に掲出することが多いが、コンビニオーナーは自分の経営理念や経営方針を確立して、それを掲出したり、従業員に伝えることに努力している。
 コンビニのチャージ(本部へのロイヤルティ)に関して、幾つかの裁判が行われ、その判決が出されているが、この動向に対して、「非常に関心がある」が49.1%、「多少は関心がある」が44.7%で、合計すれば実に90%以上のオーナーが関心を示している。チャージ論争は、部外者には理解し難い判例であるが、90%以上のオーナーが関心を示していることは、コンビニの当事者にもチャージ論争は理解し難いのではないかと考えられる。
 05年2月期の決算では、大半のチェーン本部が過去最高益を更新する中で、既存店売上高は、今年も前年割れであり、この現実に対してオーナーの74.3%が「本部の利益も大事だが、加盟店の利益対策を考えて欲しい」と答えている。更に「本部は儲けすぎ。すべて加盟店に利益還元すべきだ」というやや感情的な意見も18.6%に及んでいる。両方の意見を合算すれば、実に92.9%のオーナーが本部利益と加盟店利益のギャップについて違和感を感じていることが伺える。筆者はかって、ある勉強会で「本部利益と加盟店利益とは、どの程度シェアーすべきか」との司会者の質問に対して、「フランチャイズ企業の望ましい利益シェアーは50対50である」と答えたことがある。日本のフランチャイズ産業もここまで成長したのだから、利益のシェアー論がもっと行われても良いと感ずる。

Ⅳ 店舗運営について

 コンビニの宅配が話題になることが多い。筆者の近所のコンビニも時間指定は出来ないが、宅配をしてくれるので大変重宝に利用している。「コンビニが商品の宅配をすることについて」は肯定的意見が46.8%と過半数に近い数である。否定的見解が53%で、やや否定的見解が多い。宅配料が取れるか、アルバイトが採用できるか等問題は多いが、高齢社会の到来に伴いいずれ検討を迫られる問題であろう。
 販売促進は概して熱心に取り組んでいる。例えば、手書きPOPについては「効果があるので作っている」が64.5%、「効果は分からないが作っている」19.3%で合計すれば8割以上のオーナーが手書きPOPを作成している。他の小売業や飲食業でも見習いたいものである。
「やまびこ声掛け」(従業員全員でいらっしゃいませ~と声掛けすること)を「効果があるので実施している」が59.6%、「効果は分からないが実施している」が30.2%で合計89.8%であり、実施率は高い。しかしファーストフードは100%であり、声掛けの効果は疑問に思う。
 店舗での試食実施は「効果があるので実施している」が22.8%、「効果は分からないが実施している」が14.8%で合計すれば376%である。半分近い店で実施していることになるが、筆者はコンビニの試食販売を体験したことがない。何時も忙しい昼時にしか訪店しないせいであろうか?
 名前を覚えているお客様の数は0人が1.2%、1~5人が19.6%、6~10人が14.8%で.10人以下が35.6%である。逆に50人以上と答えたのが18.8%であり、お客様の名前を殆ど知らないのに驚いた。コンビニの商圏は500メートルと言われ、3000人に1店の割りだそうだ。全部覚えても3000人である。この数字は異常に低い。飲食業ならば、多分数百名と言う数になる筈だ。地域蜜着経営を謳いながら、コンビニ経営者はお客様の名前を知らなすぎる。キャンペーン等で名前や住所を書く機会が多いのに、コンビニはお客様の名前を覚えようとはしないのであろうか。確かに鈴木敏文氏の著作にも、お客様への名前の呼びかけは書いてない。デパートでは確実に重要顧客には固有名詞で呼びかけてくるが、コンビニのような日常の買い物には名前を覚える必要がないのであろうか。ファーストフードが名前を呼ぶのに、コンビニは何故顧客の名前を覚えないのであろうか?
 「あなたのお店で、最も増えてほしいお客様は」の問に対して、「若い女性」32.0%、「中高年女性」25.9%、「中高年男性」20.9%と続く。高齢者はわづか9.8%に過ぎない。これから一番増大する高齢者(既に人口の20%を超えた)のマーケットを無視して良いのだろうか?

Ⅴ 扱い商品とサービスについて

 「現在、販売が規制されている風邪薬などの医薬品」についての問には「コンビニでもどんどん扱えるように行政に働きかけるべきだ」が58.5%、「もう少し扱えるように行政に働きかけるべきだ」が24.3%.で合計すれば88.9%が増加を希望している。消費者も同じような意見であろう。
 「アダルト本は自粛すべきだとする意見が、横浜市等で活発化しているが」と問を発している。一見目を疑った。アダルト本については94年頃にフランチャイズ協会では「取扱いは望ましくない」という結論に達したように聞いていたからである。いささか時代遅れの質問の感じだが、「自粛すべきとの指摘はもっともだと思う」が40.4%、「特別な立地(中学校の正門前など)に限り自粛すべきだ」が247%であり、合計しても65.1%止まりである。確かにネットのアダルト物を放置して印刷物のみを自粛せよと言うのも.いささか的外れであるが、コンビニと言う業界が急成長した分野であるだけに、世間の当たりも強くなるのは当然である。健全なコンビニを目指した方が長期的には利益になると思う。
 チケット販売や収納代行などサービス商品が増加する傾向について聞いているが、「精査して売上が見込める商品のみ増やすべきだ」が56.6%と過半数を占めている。確かに、公的事業や行政はコンビニを利用することばかり考えている。コンビニも事業だから収益の上がらないサービスや商品は扱えないのは当然である。便利であると同時に依頼する側は収益も考えなければならない。
 「惣菜についてはコンビニは十分に認知されていない」がとの問に対しては、「惣菜はもっと伸びると思う」が47.1%、「多少伸びると思う」が44.7%で、合計91.8%のオーナーが惣菜の販売に興味を示している。弁当やおにぎりの実績からすれば当然の期待であろう。
 「同様にチルドデザートについては」と言う問に対して、「もっと伸びると思う」が54.1%の過半数であり、「多少伸びると思う」の41.6%を加えると実に95%以上のオーナーが伸びると考えている。
 「DVDのソフト(映画など)を扱うお店が増えています。期待できますか」と言う問に対しては、「大いに期待できる」が31.0%、「多少期待できる」が44.8%で合計すれば8割近いオーナーが期待を表明している。
  医薬品、惣菜、チルドデザート、DVD等の新商品に対する期待や可能性に対する自信は極めて高いと思われる。それに反して、「新商品」の売れ行きはどうかとの質問に対しては、「売れなくなった」26.0%、「多少動きが鈍くなった」が45.1%で合計すれば7割以上のオーナーが悲観的である。全くカテゴリーの違う商材ならば期待できるが、従来型の商品の改良ではあまり期待できないと言う反応であろうか?

Ⅵ コンビニの社会的な責任について

 コンビニの社会的責任や環境対策については、極めて積極的である。日本フランチャイズチェーン協会が15年近い歳月を掛けて努力をしてきたことが、コンビニオーナーの意見に反映されていることは、関係した者として嬉しい回答である。
 まず「地域の子供たちの安全を守るために、コンビニをセーフティステーションにする運動が進んでいますが、貴方のお店は?という質問に対して、「積極的にしている」が50.0%で、「これからしていきたい」が37.8%で、合計9割近いオーナーが対応していることが分かる。
 次に「コンビニの社会的な責任」についてのお店の対応を聴いたところ、「積極的にしている」が42.0%、「これからしていきたい」が48.0%で、これも合計すれば9割のオーナーが地域社会への貢献を意識したり、行動に移したりしている。小売業でこれだけ意識の高い業態は珍しいであろう。
 最後に「コンビニの環境対策について、あなたのお店では?」と言う質問に対して、「積極にしている」が40.5%、「これからしていきたい」が58.1%で、合計すればほぼ全員が環境対策に取り組む姿勢を見せている。時代の流れといえばそれまでであるが、コンビニ本部の長年の努力が報われる回答である。

Ⅶ オーナーの仕事、生活、将来展望

 「コンビニを始めてから海外旅行はしていますか」と言う問いに対して、「全く行っていない」が8割近い回答であり、コンビニ経営者が職場を離れることの難しさが端的に現れている。
 「国内旅行は、どうですか?」という問いに対しては、「全く行っていない」が43.0%、「10年に1回のペース」が2.4%、「数年に1回のペース」が16.2%で合計すれば6割以上のオーナーが休みが取りにくいと回答している。
 「1ケ月のお小遣いは幾ら」との質問に対しては、3~5万円が39.6%で最多、次に1~2万円が24.4%、1万円未満が12.4%で、合計すれば8割近いオーナーは5万円以下のお小遣いで、サラリーマンと大差ない結果になっている。
 「1ケ月に何冊本を読みますか」と言う質問に対しては、1~2冊が41.2%、3~5冊が26.0%で合計すれば7割近いオーナーは読書家である。
 次に仕事や睡眠に対する質問が続く。「実感として仕事時間は」と言う問いに対して「非常に長いと感じる」が25.3%、「多少長いと感じる」が41.4%で、合計すれば7割近いオーナーが、長時間労働と感じている。
 「1日平均何時間、お店で仕事をしていますか?」と言う問いに対して、「12時間以上」が34.0%で最多である。次に10~11時間が25.6%である。合計すれば6割近いオーナーは10時間以上お店で働いていることになる。およそフランチャイズオーナーの労働時間は長いものであるが、コンビニ経営者の長時間労働は目だって高いように感ずる。
 次に「実感として睡眠時間は」と言う問いに対して、「十分とれている」が23.2%、「まあまあ取れている」が24.9%で、合計すれば5割弱である。労働時間の長さの裏が睡眠時間の短さに現れている。
 「実感として休日は」と言う問いに対して、「ぜんぜんとれていない」が45.6%で最多、「あまり取れていない」が22.2%で、合計すれば7割近いオーナーが休日は取れていないと回答している。
 「具体的に完全な休日はどれだけとっていますか」と言う問いに対しては、「ほとんど休まない」が最多で55.4%、1ケ月に1日が4.0%で、1ケ月1日以内の休日を合計すると6割程度のオーナーが該当する。やはり労働はかなりきついと言えよう。
 現在の手取り収入に対する満足度は完全に2分される。満足している、適当であると思うオーナーが5割弱、不満と答えたオーナーが5割強であり、労働の厳しさと比較して不満が多いのであろう。
 「自店の弁当やサンドイッチなどは、どの位の頻度で食べますか」との問いに対しては1日2食以上24.3%,1日1食以上が43.9%で合計すると7割近いオーナーが1日1食以上の頻度で自店の弁当類を食べていることになる。味が濃いため飽きないだろうか、ロス対策と考えると何とも味気ない食事である。
 「健康について自信はありますか」との質問に対して、「ある」が16.0%,
「どちらかといえばある」が50.6%で、7割近いオーナーは健康に自信を持っているのは救いである。
 「夢をもつべきか?」という質問に対して、「どんな境遇でも持つべきである」と回答したオーナーが95.4%で、ほぼ全員が肯定的な回答である。
 更に、「あなた自身、夢はありますか?」との質問に対して、「ある」と回答した方が9割であり、嬉しく感ずる。
 「コンビニ経営を次世代の方に継がせたいか」と言う質問に対して、6割のオーナーが「継いでもらいたいとは思わない」と回答している。やや意外な回答であるが、編集部は「子供には自分を超えてほしいと願う親も多い」とコメントしている。
 「コンビニ業態の将来を展望すると?」と言う質問に対しては「明るい」と「暗い」が半々であり、ここでも2分している。
 これに対して、「あなたのお店の将来を展望すると?」と言う質問に対しては、「明るい」8.3%,「どちらかと言えば明るい」が49.1%で、合計6割近いオーナーが楽観的に考えていることが分かる。



 総括すると、コンビニオーナーは経営熱心、勉強熱心であり、健康にも概して自信を持っている。全く新しいコンセプトの商品の投入には期待が大きいが、既存商品を改良した新商品には、売りにくくなったと感じている。コンビニの社会的責任については、ほぼ全員が強い使命感を持っており、環境対策にも取り組んでいる。正にコンビニは日本の小売商業の革新に効果のある業態であると言える。
 しかし、海外旅行はもとより、国内旅行にも出かけられず、1日10時間以上の長時間労働は、睡眠時間に食い込んでいることも考えさせられる。休日も満足には取れていない。手取り収入に対する不満は50%強であり、満足、適当と答えた方と拮抗している。自店の弁当類を毎日1食以上食べるのも切ない話である。
 コンビニの将来展望も「明るい」と「暗い」が半々であり、多分自店の業績と連動しているのであろうと考えられる。
 日本の小売商業に革新的変革をもたらしたコンビニも、オーナーの労働条件や手取り収入については、革命的変化をもたらしたとは言い難い状況である。
 しかし、今回はコンビニ経営者のみのアンケート調査であり、フランチャイジー全体の調査ではないため、外食やサービス業との比較が出来ない点が残念である。
 是非、フランチャイジー全体のアンケートを取って比較しながら、全体の労働条件と満足度を向上させたいものである。
 「月刊コンビニ」編集部の努力を多としたい。是非来年も続行されることを強く期待する 。



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