フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

2005年フランチャイズ業界を振り返る 

Ⅰ フランチャイズ全般

1.フランチャイズの伸び率が高まる

 2004年度のフランチャイズ統計が過日、(社)日本フランチャイズチェーン協会より発表された。
 それによれば、売上高は18兆7223億円で、初めて18兆円台に乗せた。伸び率も4.8%で、2000年以降の2~3%台の伸び率に比較すれば健闘した1年であった。2005年度については、来年の10月頃に判明するが、多分2004年度以上の伸び率になるであろう。それは後で詳述するが、フランチャイズの伸びを牽引した業種がコンビニエンスストアから小売業、外食業、サービス業等
多様な業種に広がった結果である。特に2006年には、専門店業界の最大手である家電のヤマダ電機、ドラッグストアのマツモトキヨシがフランチャイズ化を開始した。新しいフランチャイズの流れを感ずる。

2. フランチャイズ講座書の完成

 昨年の総括でも述べたが、経済産業省(サービス経済課)は、2004年度からフランチャイズ・ビジネス振興に本格的に乗り出し、研究機関や大学などと連携し、フランチャイズ・ビジネスについて体系的に学べる教育プログラムを作ったり、フランチャイズ企業の格付けを行うなどの新政策を発表した。
 前者の教育プログラムについては2005年に具体的に進行して、「フランチャイズ講座書」として完成した。事務局は(社)日本フランチャイズチェーン協会と(株)三菱総合研究所が受け持ち、内容的には一般的なMBAコースのカリキュラム、IFAのコアプログラム、アンドリユー・シェマン氏のフランチャイジング・ハンドブックの編成を参考にして、次のような8分冊が開発された。
分冊名
1.フランチャイズ総論
2.経営戦略
3. マーケティング
4. アカウンティング&ファイナンス
5. マネジメント&オペレーション
6.フランチャイズ法規制
7. フランチャイジー向けテキスト
8.フランチャイズ関係法令講座書
 2005年3月までに一応完成して、その後8月まで掛けて完成版としたものであり、協会よりテキストとして販売されることが期待される。
 これとは別冊で、船井総合研究所による「フランチャイズ人材育成基盤整備に向けた海外調査研究報告書」も開発されている。

3. 中国・フランチャイズ便法の施行、中国FC元年

 05年2月に「商業特許経営管理便法」が施行され、中国でフランチャイズ展開が解禁された。(法律の詳細は弊社ホームページ「中国フランチャイズ管理法に関する一考察」を参照)(以下便法と略す)便法によれば、中国国内でフランチャイズ展開する企業の条件は、中国国内で1年以上、直営2店以上を経営しており、当局に申請すれば、外資系企業でも原則、自由にフランチャイズ展開ができる。
 セブンーイレブンは04年4月に北京に直営1号店を開店し、30店程度の出店をしており、上記の条件をクリアしているが、加盟店の仕入れ料金は本部に送金した売上高から相殺する「オープンアカウント」という決済システムが、中国では「金融業に当る」と当初は判断された。本部と加盟店の利益分配システムも税務当局から「税金を捕捉できない」と難色を示された。電気料金の負担や、賞味期限を設定して「鮮度」「おいしさ」を守るため弁当や惣菜を廃棄処分する仕組みも、中国で廃棄が定着するかどうかという疑問もある。しかし、セブンーイレブンでは2008年の北京オリンピックまでに、北京で350店を出店する計画を起てた。
 台湾企業と合弁で上海に進出したファミリーマートは外資系企業ではなく、国内企業の待遇でフランチャイズ運営をしている。
 9月13日、上海に1号店を開店した居酒屋チェーン「白木屋」は中国200店構想を掲げるが、白木屋の上海現法は「当社の店舗展開の基本は直営店、日本でも難しいフランチャイズ・ビジネスが中国にそう簡単にできるはずがない」と語つている。
 日本人が思っている以上に中国は米国に近い訴訟社会でもある。フランチャイズの魅力が確かに大きく、ビジネスチャンスも大きい。だが「中国ビジネスのノウハウを持たない企業が、簡単にフランチャイズ展開できるかどうかは疑問」という専門家の意見もある。慎重な対応が求められる。(日経MJ10月7日)

4. M&Aの盛行

 外食、コンビニ、サービス業でM&Aが盛んに行われた1年であった。M&Aは時間を買う手法であり、今後ますます増加すると思われるが、売る側も買う側も慎重な対応が求められる。外食業界の動きで詳細に述べる。

5. フランチャイズ加盟者(個人)の減少

 フランチャイズの新規加盟者は、法人は増加しているが、個人や商店主からの事業転換は減少しているようである。(明確なデータがある訳ではないが、筆者が関係する外食業やコンビニ関係者の意見を総合すると、このように考えるのが一番事態が理解しやすい)
 脱サラについては、企業のリストラの一巡や、団塊の世代の定年を目前にして、企業の新規採用の増加、中途採用の増加等、景気の上向きが要因と考えられる。
 商店主の事業転換も一区切りつき、コンビニのいわゆるCタイプの希望者が減少し、出店が滞ることが深刻な問題になりつつある。それ以上に、既存店舗をコンビニに転換するAタイプが激減しているとも聞く。
 しかし、法人の事業多角化のためのフランチャイズ加盟は増加しており、例えばファミリーマートは出店を担当する開発本部内に「プロジェクト開発室」を新設して大規模法人との間で連携に向けた交渉などを担う新部隊で、店舗開発ベテランの専従社員5人を置いている。最近の動きとして、地方の中小法人加盟による複数出店が順調に増加している。複数出店の奨励金を出して、法人加盟店の増加に努力しており、成果が出始めている。
 ハンバーガーチェーンでお客様満足度1位の座を不動にしたモスフードサービスは5月、5年間凍結していた加盟店の新規募集を再開した。加盟条件は「資金力のある法人」に限定。連携相手を「チェーンの理念を共有できる個人オーナー」中心から法人に切り替え経営の安定化を図る意図が見える。
 カルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、7月に全国70社を対象に「1%クラブ」を発足させる。レンタルビデオ店「TSUTAYA」の出店目標3000店のうち、1%に当る30店程度を出店する意欲のあるオーナーを組織化。「加盟企業の本業と、集客や販促で相乗効果を図る」。想定するのは出店候補地や集客力を持つ地場の有力企業などである。
日本のフランチャイズは長年の個人フランチャイジーへの依存から、法人フランチャイジーへの依存へ大きく転換した1年であり、今後この傾向は一層強まると思われる。

Ⅱ 小売業の動き

1. コンビニ新業態開発への動き

 04年度におけるコンビニ店舗数は4万1千店。(フランチャイズ統計より)
業界内で「飽和点」の目安としてきた5万店に近づいており、既存店売上高は5年連続の前年割れである。高齢化の進展でコンビニの中心客層である20~30代の男性の人口減も見込まれる。女性や高齢者などの取り込みはコンビニ業界共通の課題である。
 これに一つの回答を出したのがローソンである。5月27日東京都練馬区に「ストア100」の1号店を開業した。100円(税抜き)で、生鮮品は約80アイテム。「この品数でほとんどの食卓の需要がまかなえる」という。平均日販50万円、粗利益率25%、営業時間7時~23時、品目数3500点というのがビジネスモデルである。3年後にフランチャイズで1千店を目標とする。しかし、運営方針の見直しは早かった。都内8店舗の「ストア100」のうち、2店を閉鎖するほか、店名も「ローソンストア100」に変更。目玉の生鮮品の仕入れ方法を変更して鮮度を向上させるとしている。
 また健康志向商品が中心の「ナチュラルローソン」の売り場面積を1.5倍以上に広げて日用品や食品、嗜好品の品揃えを増やすほか、飲食コーナーを設けて、女性客の取り込みを狙う。想定顧客は20~30代女性。「ナチュラルローソン」は東京、大阪などに32店(10月5日現在)を直営で展開。
 エーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm、東京・港区)は生鮮品を中心に大半の商品を税抜き98円均一で販売する「フードスタイル98」を本格的に出店する。関東地方を中心にフランチャイズチェーン化し、新型店を2006年末までに300店展開する計画である。1日当たり売上高は70万円を目指すという。
 中堅コンビニのスリーエフも99円と199円の生鮮食品を扱う「キューズマート」を来援2月までに20店までに拡大する方針である。
 ファミリーマートは、首都圏などで外資系勤務の女性などを狙い、都会的店舗デザインや品揃えを採用した新業態「ファミマ」出店に力を入れている。「ファミマ」は今後数年で約200店に増やす計画である。
 ファミリーマートの品揃えの面でも、ファミリーマートの既存店の一部で生鮮食品の取り扱いを始めた。上田社長は「生鮮取り扱いを別業態にして経営資源を分散するより、店舗内に新たな売り場を作り、そこに集中する方が効率的」(日経MJより引用)と言う。
 最大手のセブンーイレブンはあくまでもドミナント出店やオリジナル商品強化という、同社が築き上げた「コンビニ基本モデル」で臨む方針である。
 
2. 500ミリペット飲料の値下げ
 セブンーイレブンが9月3日に「コカ・コーラ」「おーいお茶」等7品目の5百ミリペット飲料の価格を147円から125円に値下げした。ナショナルブランドは原則メーカーの希望小売価格で売るというコンビニの基本モデルの修正となる。セブンーイレブンが値下げに踏み切る背景には、他の小売業り業態との競争激化がある。最近はドラッグストアや生鮮ショップが相次ぎ出店し、飲料を安値販売している。弁当やサンドイッチなどオリジナル商品比率の高い分野ではセブンーイレブンの優位性は高いが、ナショナルブランドが9割以上を占めるペットボトル飲料では、ドラッグストアなどに比べて割高感が強くて、コンビニの競争力低下を招いていると言われている。
 同業のコンビニではミニストップが9月3日から500ミリペットボトル飲料5品目を147円から125円に値下げした。サークルKサンクスは期間限定セールを実施することを決めた。ローソン、ファミリーマートは当面静観の構えで、従来からの期間限定割引商品を継続する予定である。
 しかし125円という売価は決して安い価格ではない。5百ミリペット飲料は数年前からスーパーは勿論、ドラッグストアやホームセンターの店頭では100円前後で売られていた。むしろ、セブンーイレブンの値下げは、「地域の価格に合わせた」という印象が強い。

3. 業界大手のフランチャイズ化開始

 家電量販店最大手のヤマダ電機は4月からフランチャイズチェーン展開を開始して、早期に総店舗数を5百店以上に倍増する計画である。これまで直営の大型店で成長してきたが、地方に小型店を持つ事業者を対象にフランチャイズ加盟店を募集する。大都市圏を中心としてきたヤマダ電機の出店戦略の転換は業界再編を加速させることも考えられる。
 従来大型店で大商圏を取り込む戦略とはまるで違った小商圏で、地域蜜着とサービスの強化を目指す新戦略である。静岡地区のマキヤ、中部でフランチャイズ展開する豊栄家電と提携してフランチャイズ店を一気に百店以上に増やす計画である。家電業界で定着した「サービスは無料」というイメージを壊して、
「サービスの質で戦う」というのがヤマダ電機のフランチャイズ展開の狙いである。今回、提携した豊栄家電はヤマダ電機が目指す「サービスの商品化」(日経MJ7月9日)をいち早く進めている。得意先からサービス料金を徴収できるかどうか不明な点もあるが、「サービスを売る」ヤマダ電機の取り組みは家電量販店のあり方を大きく変えるかもしれない。
 ドラッグストア最大手のマツモトキヨシは来期(06年3月期)からフランチャイズチェーンの全国展開に乗り出す。(日経新聞1月5日)近く加盟店の募集を始め、来期は約100店のフランチャイズ出店を計画する。直営店と合わせて来期の新規出店数は約200店に増やす計画である。地域の独立系ドラッグストアや個人経営店をフランチャイズ店に取り込んで、全国的な店舗網拡大のスピードを上げる計画である。2008年に1千店、売上高5千億円を中期経営目標に掲げている。

4. 中内功ダイエー創業者逝去

 ダイエー創業者で、戦後日本の流通業界をリードした中内功氏が9月19日、神戸市内の病院で死去した。
 1957年、大阪市内に主婦の店ダイエーを設立し、先進的な米国流スーパーマーケットのシステムを日本に導入し、日本の流通構造の近代化を推進した。
「価格決定権は消費者にある」とする流通革命論を掲げ、松下電器産業、花王など大手メーカーと戦い、安売りで消費者の大きな支持を集めた。72年には売上高で三越を抜き、創業15年で小売業首位に立った。
 ダイエーはユニード、忠実屋など傘下に収めて全国的な店舗網を構築する一方、リクルートなど異業種もグループに加えた。プロ野球ホークス球団を買収するなど事業拡大を続け、傘下企業190社、売上高5兆円超の巨大グループの経営者として君臨した。しかし、急速な多角化で有利子負債が膨らみ、経営が悪化した。
 中内氏は90年に経団連副会長に就任し「流通がインダストリーとして認められた。感無量だ」と喜んだ。
 だがバブル崩壊で日本経済が大転換を迎え、土地を持つという強みが弱みに変わり、阪神大震災で約百店が被災する不運も重なり業績が急降下した。デフレ圧力で過剰債務が重荷になり、01年1月に経営責任をとる形で取締役を辞任した。価格決定権を握り、「より豊かな社会」を目指した中内氏の流通革命が未完で終わったことに悔しさをにじませた。02年にはグループの全役職から退いた。ダアイエーは04年末に産業再生機構の傘下に入った。
 戦後、日本の生んだ最大の商人であり、流通革命の功労者である。

5. ハード・オフ東証1部上場

 家電、家具からブランド品まで様々な商品の再利用を促し、「循環型社会」の構築を目指す総合リサイクル業界で、最大手のハードオフコーポレーションが05年3月、東証1部に上場した。(8月29日、日経MJより)
 山本社長は日経MJの取材に対して「中古品の市場は着実に増大しており、年率で2ケタ成長しているとみている。成長期はあと10年ほど続くであろう。ハードオフコーポレーションが東証一部に昇格できた背景にも、循環型社会を必要とする時代性とリサイクルを求める顧客の存在がある」と答えている。

6. セブン&アイ設立、3社経営統合

 イトーヨーカ堂はセブンーイレブン・ジャパン、デニーズジャパンと05年9月1日付で持ち株会社「セブン&アイ・ホールディングス」を設立、一体経営に乗り出した。株式移転を使ってグループ三社の資本関係を整理。敵対的買収からグループを防衛するとともに、セブンーイレブンの時価総額がヨーカ堂を上回る「ねじれ」現象を解消する狙いもある。商品開発や原材料調達、物流網の共有を進め、企業価値の増大を急ぐ。(日経MJ4月22日より)
 会長兼最高経営責者(CEO)には鈴木敏文ヨーカ堂会長、社長兼最高執行責任者(COO)は村田紀敏ヨーカ堂専務、最高財務責任者(CFO)は氏家忠彦セブンーイレブン専務が就いた。09年2月期の連結営業利益は3100億円が目標である。

Ⅲ 外食業界の動き

1. 日本マクドナルド業績不振、期末利益5千万円の見込み

 日本マクドナルドは100円メニューで大幅に客数を増加させたが、客単価
が下がり、9月30日に業績を下方修正した。05年12月期の連結純利益は前年比99%減の5千万円となる見通しである。
 100円メニューの削減と7月末に新メニューを発売して500円台のセットメニューを値上げした。通期の売上高は前期比5%増の3220億円に止まる見通しである。
 経常利益の従来予想は61億7千万円であったが、80%減の14億6千万円に修正した。
 また労働基準監督署の指摘を受けた社員やアルバイトの賃金未払い問題で、未払いはのべ10万人、約22億円にのぼると発表した。
 8月に勤務時間の算定方法を30分単位から1分単位に変更し、過去2年分の未払い分も未払い分も支払うことにした。(日経10月1日より)
 外食が産業化したとはいえ、労働基準法違反が絶えないことは、まだまだ外食の後進性を示すものであろう。

2.M&Aによる業界再編成始まる

 外食産業でも本格的なM&A時代に突入した。2005年の新聞発表で11件に達しているが、現実にはその数倍もあると考えられる。ここ数年はゼンショーとコロワイドが活発なM&Aを繰り広げたが、2005年はすかいらーくやロイヤルホールディングスなどの大手の動きが見えてきた。
 すかいらーくは9月に小僧寿し本部へ資本参加すると発表した、この案件ですかいらーくは小僧寿し本部の発行済み株式数の30%を取得して筆頭株主となった。その株式取得費用はやく35億円となっている。すかいらーくにとって中食企業のノウハウ吸収などの目的もあったと思われるが、株式市場の反応は鈍かった。
 ロイヤルホールディングスは、8月にテンコーポレーションの33.29%の株式取得を発表した。出資比率もすかいらーく同様30%強で、経営権の取得とみなされる全株式の3分の1は取得していない。しかし、いずれロイヤルホルディングスもテンコーポレーションの経営権を取得して、事業の柱とする予定であろう。M&A発表時点の株式市場の反応は鈍かった。
 「どん」によるフォルクスの買収も、当初は産業再生機構によるダイエー非中核事業売却に第1号案件を落札して、22.15%の株式を取得してスタートしたが、その後創業である中内功氏資産管理会社の株式を買い取り、最後にTOBによって過半数の株式取得に至った。最終的に06年3月1日で両社は合併することになった。この合併でフォルクスを存続会社として、「どん」をフォルクスに吸収させる形をとることで、上場を維持する予定である。
 ドン・キホーテがオリジン東秀に資本参加したのは、異業種によるM&Aである。創業者一族がオリジン東秀の株式売却を証券会社を通じてドン・キホーテに打診したら、同社の安田隆夫会長が即断即決したものであり、80億円の資金を投じて、オリジン東秀の23.6%の株式を取得した。その意図は、同社が事業拡大の一環として進めているコンビニ業態の強化に大きな効果が期待できると判断したからであろう。(飲食店経営12月号より)

3. 米国産輸入牛肉の解禁

 03年12月に米国でBSE感染牛が発見され、日本政府は直ちに輸入禁止措置を取った。当初は半年程度の処置と思われたが、結局2年の禁輸の後、今年の12月12日に米国産牛肉が条件付きで輸入が再開されることになった。実際に米国産牛肉が店頭に並ぶのは、06年1月中旬頃といわれる。吉野家は1月中旬の再開を目指し、手当てを開始した。流通業では業務用スーパーのハナマサ(東京。港、小野博社長)が月内にカナダ産牛肉を販売する方針を決めた。流通大手は消費者の反応を見極めようと様子見の構えである。
 食品安全委員会は①生後20ケ月以下の若い牛に限定する②脳などのプリオンの集まりやすい部分を取り除くという条件を付けた答申案を出した。
 この輸入禁止期間中に米国産牛肉に依存していた牛丼・焼肉業界は大きな打撃を受けた。牛丼3社の対応を見ると、最大手の吉野家は牛丼を販売しなかった。それによる売上高の低下、赤字への転落は大きかったが、メニューミッスク型の業態の開発に目途を付け、牛丼専門店とメニューミックス店舗で合計3千店のポテンシャルを作ったといわれている。米国牛の輸入が再開されれば、上記のように直ちに牛丼の販売を再開する。
 業界第2位の松屋フーズは、輸入停止前の牛めしの出食比率は40%であったが、米国牛の輸入停止に伴い、まず豚めしの販売に踏み切って、そこそこの売上高となったが、やはり牛めしがないと駄目との結論に達して、昨年10月から中国産の牛肉を使用した牛めしの販売を始めた。現在の出食比率は牛めしが25%、豚めしが25%、合計で50%を占めている。米国産牛肉が輸入再開された場合は、現在使用している中国産のものと同程度の価格で、かつ質が良いということが使用の前提になるとして、直ちに米国産に切り替えるわけではないそうだ。
 ゼンショウが展開する「すき家」ではオーストラリア産の牛肉を使用した牛丼をいち早く販売して06年3月期の連結経常利益が前期比2.4倍の17億円になる見通しである。米国産牛肉が輸入再開されるが、「現状の検査基準、管理体制を見ると使えない」(日経11月2日)として、輸入再開後すぐには牛丼に使わない考えを述べた。
 米国産牛肉は12月12日に輸入は再開されるが、直ちに牛肉需要の回復には繋がらないとする意見が多い。

4. ロイヤル創業者、江頭匡一氏逝去

 ロイヤル創業者、江頭恭一氏が4月13日福岡市内の病院で肺炎のため死去した。82歳であった。1950年の朝鮮戦争時に米軍基地で働いたことを機に、レストラン事業に着目して、53年に初のレストランを福岡市に開いた。56年にロイヤルを設立して、ファミリーレストランの草分けとなった「ロイヤルホスト」を多数展開した。1970年の大阪万博で、アメリカ館のレストラン経営を任され、セントラルキッチンの威力を発揮して、外食の経営に自信を持ったといわれている。
1960年代までは水商売といわれ、経営が不安定な飲食業の近代化にいち早く取り組み、外食業の産業化に力を尽くした。産業化のためには「調理の技術やおもてなしの仕方など、人材育成も欠かせない」として人材教育にも熱心であった。
城山三郎の小説「外食王の飢え」のモデルの一人であり、外食業の超個性的な経営者として描かれている。

5. 外食大手持ち株会社制に移行

 持ち株会社制が広がったのは外食業だけではなく、金融、小売、メーカー等あらゆる業種の大企業に見られる。持ち株会社制度が広がった背景には1997年の独占禁止法改正がある。
 戦後、財閥の復活を防ぐため独占禁止法によって持ち株会社の設立が禁止されたが、経済活動のグローバル化とともに、海外では持ち株会社制が認められ、これを活用した海外の企業が機動的な事業戦略によって国際競争力を高めている状況に対抗するため、日本においてもこの改正で解禁された。多くの企業が持ち株会社制へ以降した理由は、グループ運営の効率化という事業面でのメリットが挙げられる。
 現在、外食企業で持ち株会社制に移行した企業は次の6社である。
 日本マクドナルドホールディングス
 コロワイド
 ヴィア・ホールディングス
 ロイヤルホールディングス 
 レックス・ホールディングス
 デニーズジャパン
今後、導入を予定している外食企業は次の2社である。
 すかいらーく
 モスフードサービス

6.外食メニューの原産地表示ガイドライン
 農水省は生産から販売までの情報を消費者に伝えるトレーサビリティ(生産履歴の追跡)の仕組みを07年度までに約70品目の生鮮食料品や加工食品に普及させる目標を掲げ、民間への支援事業を年内に始める。相次ぐ偽装表示などで「食の安全」に対する消費者の関心が高まっていることに対応する。(日経5月10日)
 これまでの生産履歴の取り組みは国産牛肉が法律で義務付けられているほか、モスフードサービスや一部の野菜小売店で自主的に進められてきた。

7. ビュッフェ業態広がる

外食大手が食べ放題のビュッフェレストランの展開を加速している。今後3年間ですかいらーくが洋食店などを約110店、惣菜の柿安本店が和食店をやく30店、新規に出店する計画である。単品が中心の従来の食べ放題店と異なり、イタリヤ料理や有機野菜などを使った惣菜など数十種類の料理を用意し、女性や家族客に売り込んでいる。
料金は夕食時で1人千数百円から2千数百円である。従来1人千円以下で食事ができる低価格店は客足が遠のいている。やや高めだが、本格的な料理をたくさん楽しめることで、大勢の客を集客している。(日経1月8日)

Ⅳ サービス業界の動き

1.明光ネットワークジャパン20011年8月期に2千教室へ

 少子化や経営者の高齢化で個人経営の学習塾が減少している中で、受験ノウハウを売り物に上場学習塾や予備校は生徒数を増やしている。学習塾、予備校で株式公開している20社のうち、17社が経常利益を改善しており、今期に経常最高益を見込む10社は大手に集中して、上場企業間で成長力に格差が出そうである。(日経7月20日より)
 特に、個別指導でフランチャイズ展開する明光ネットワークは、地方でのフランチャイズ展開を加速する。今後2年間で山陰地方や四国を強化して、両地方で百教室程度を出店する計画である。北海道や東北地区でのフランチャイズオーナーの募集も拡大して、2011年8月期を目途に2千教室体制の達成を目指す。(日経MJ5月20日)

2. カギの救急車が自己破産

 合鍵複製・小売などのフランチャイズチェーン「カギの救急車」「カギの110番」を運営する(株)カギの救急車(本社・福岡県、上野耕右社長)と、関連会社の(株)「カギの110番」(本社・福岡県、同代表)は、1月7日に福岡地裁に自己破産を申請した。
 (株)カギの救急車は、1976年3月に合鍵複製機の卸を目的に(株)九州フキとして設立。78年に合鍵や防犯用具などを販売する九州地区の直営店を(株)カギの110番として別法人化した。95年にはFC東京本部、99年にはFC大阪本部を開設、2001年4月に現商号へ変更した。九州では「カギの110番」、それ以外の地域では「カギの救急車」のブランドでフランチャイズ展開し、ピーク時の2001年には年商30億7千万円に達した。
 2001年後半からは店舗網拡大を目的に、FC店に対して包括保証する融資制度を導入したが、不採算店舗や脱退する店舗に対する立替払いが増加し、ピーク時には直営・加盟店併せて180店あった店舗も160店に減少、2003年同期の売上高は21億円にまで低迷した。2004年10月には消費税未払いで税務署から差押さえを受けるなど、資金繰りは逼迫していたという。

3. CCCネット配信に参入

 AVソフトレンタル最大手のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は11月8日取締役会で、ネット構築最大手のIMJ(アイ・エム・ジェィ)とIT専門人材派遣のデジタルスケープ、IT専門学校を経営するデジタルハリウッド(東京・千代田区)の3社の営業譲渡を受けることを決定した。3社が持つ人材や営業資産を活用し、来春をメドに音楽、映像、ゲームなどのコンテンツ配信事業に本格的に参入する。3社の株式をCCCの増田宗昭社長の資産管理会社であるマスダアンドパートナーズ(東京・渋谷)から総額160億円で取得する。
 IMJは500社以上のネットサイト構築を手がけ、デジタルスケープはゲーム制作人材の派遣では最大手、デジタルハリウッドはクリエーターなどの人材育成を手がける。
 CCCは2006年3月1日付けで持ち株会社に移行する。3社に加え、CCC子会社であるレントラックジャパンを完全子会社化することも決めた。
 11月に増田社長とマスダアンドパートナーズを引受先とする第三者割当増資を実施して、105億円を増資することで、ネット関連事業を強化する。(日経MJ11月8日)

4. サービス業急伸

 日経MJの第23回サービス業総合調査によれば、全体の売上高は前年比6.8%増で高い成長を示している。(日経MJ11月9日)規制緩和や、家族層に焦点を当てたマーケティングで商機を掴んだ業種の伸びが目立つと分析している。特に次の業種の伸びが高い。
保育園の設置基準を緩和する東京都の認証制度創設以来、保育サービスの成長率は49.4%と、47業種中最も高い伸び率を記録した。
 複合カフェは38.1%で、育ち盛りの新興勢力である。事実、ネットカフェの大手メディアクリエイト、アプレシオの2社が、夫々マザーズ、名証セントレックスに上場した。
 在宅看護は19.6%の増加である。高齢化で05年7月時点の要介護認定者が、介護保険制度が始まった00年度末から6割増えるなど需要が拡大して、前期(05年6月末)に約300カ所の介護拠点を新設したコムスンは在宅介護部門の売上高を51%伸ばした。
 04年3月に製造現場への労働力派遣が解禁された人材関連サービスは17%増加した。
 若手労働力が不足しがちな生産現場への派遣にスタッフサービス(東京・千代田)やアデコ(東京・港)など大手業者が参入した。

5. 学習塾で講師の大学生が小6の女児を刺殺

 12月10日、京都府宇治市内の大手学習塾・京進(大証2部上場)で、小学校6年生の女児が、同塾講師(同志社大学4年生)により刃物で刺殺された。
 学習塾の中で、塾講師による犯行という極めて異例な事件である。学習塾は学校教育を補完する立場にあり、仮にも教育の一端を担う業務であるため、その社会的責任は大きい。事件は直営教室で起きたが、最近安易に学習塾のフランチャイズに「儲かるから」という理由で加盟する法人が増加していると聞くが、改めて学習塾の持つ社会性と講師の選抜の方法などを検討する必要があるであろう。
 全国800社の学習塾が加盟する(社)全国学習塾協会(東京)は11日に東京都内で緊急役員会を開き、講師の管理や倫理教育の指針を近く作成することなどを決めた。
 同協会は「子供たちの一番そばにいて、最も信頼されるべき立場にいる学習塾で、このような事件が起きたのは大きな衝撃で、事実を重く受け止める」と発表した。(日経・夕刊12月12日)

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