フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

加盟金を再度考える

 加盟金については、いろんな場所で従来議論をしてきたが、今回は加盟金の現状を踏まえて、問題点や現実的課題について再度考えてみる。

1.加盟金の性格

 例によってフランチャイズハンドブックの加盟金の定義を調査したら、驚くべきことに、加盟金の項目は無い。ある意味で加盟金はフランチャイズ関係者にとって自明のことであり、あえて定義をしなかったと解釈もできるが、やはり「フランチャイズ用語策定専門委員会」の手落ちであったと思われる。筆者も新版フランチャイズハンドブックには委員として参加しているので、不明を詫びなければならない。
 その代わり、フランチャイズハンドブックでは「フランチャイズ・フィー」という用語を定義している。定義によれば「フランチャイジーがフランチャイザーから受けるフランチャイズ・パッケージの見返りとしてフランチャイザーに支払わなければならない金銭を総称してフランチャイズ・フィーという」と定めている。更に「フランチャイズ・フィーは徴収の時期によって大きく2つに分けられる。1つは契約締結時に支払わせるものであり、通常、契約金、加盟金、加盟料またはイニシアル・フランチャイズ・フィーと呼ばれる。もう一つは契約期間中に継続的に支払わせるもので、通常はロイヤルティと呼ばれる。」としている。
 なお、このフランチャイズ・フィーの定義では加盟締結時に支払う一時金(契約金、加盟金、加盟料など)の内容については触れていない。やはり、フランチャイズに関する有権的解釈として不十分であったと思う。
 川越憲治弁護士の「フランチャイズシステムの法理論」によれば、「ビジネスフォーマット型の場合、フランチャイズ料の性質を分解すると、商標等の使用料とノウハウの付与料に分かれる。わが国では、これを契約の当初に支払うのを加盟金という、各時期毎にわけて継続的に支払うのをロイヤルティということが多い。(中略)また、実例をみると、加盟金という名目の金員を徴収すると同時に、立地選定料、開店準備金、開店指導料等といった名目で、さらに別個の金銭を徴収するケースが一部にみられる。しかしフランチャイズ契約の締結を目的として、その前後に支払われる金銭である以上、やはり加盟金にあたる。したがって、中小小売商業振興法11条の適用がなされる」とされている。大変よくまとまった加盟金の解釈であると考える。
 金井高志弁護士の「フランチャイズ契約裁判例の理論分析」によれば、加盟金の性格を議論しているわけではないが、特に「ノウハウの修理及び改良・開発ならびに指導・援助の法的性質」として、次のように論じている。
 「フランチャイザーが継続的に契約締結時のノウハウが陳腐化しないようにする補修義務の範囲を超えて、新しくノウハウを改良・開発しなければならず、かつ新規に改良・開発されたノウハウを積極的にフランチャイジーに対して開示・交付し、かつ指導、援助を行わなければならない(中略)」
 金井高志弁護士の意図を筆者が推定すれば、「契約締結時のノウハウと、それが陳腐化しないようにする補修義務」は加盟金に該当し、「新規に改良・開発されたノウハウを積極的にフランチャイジーに対して開示・交付し、かつ指導、援助を行う(中略)義務」は、ロイヤルティに該当するのであろう。」
 いずれにせよ、加盟金の性格は商標の使用料と、ノウハウの付与料に二分され、立地選定料、開店準備金、開店指導料等はノウハウの付与料に区分されるのであろう。

2.中小小売商業振興法の定め

 中小小売商業振興法施行規則第11条では、特定連鎖化事業を行う者(フランチャイザー)は、加盟店希望者に対して、次の内容の書面の交付と、その記載事項に関する説明を義務付けている。

事 項 内 容
一:加盟に際し徴収する加盟金、保証金その他の金銭に関する事項 イ:徴収する金銭の額又はその算定方法
ロ:加盟金、保証金、備品代その他の徴収する金銭の性質
ハ:徴収の時期
ニ:徴収の方法
ホ:当該金銭の返還の有無及びその条件

 この稿では、加盟金のみを考えているので、保証金、備品代その他徴収する金銭の性質については、加盟金と同等の金銭のみを対象とする。

3.現実の規定

 現実に、各フランチャイズ本部がどのように規定しているかを「ザ・フランチャイズ」によって調べてみる。

セブンーイレブン・ジャパン(A型)

1. 加盟金 総額 300万円
内訳 研修費用 50万円
加盟店が10日間の研修に参加して受講、実地研修をするための費用(食事、宿泊費を含む)
開業準備手数料 100万円
加盟店の店舗計画から商品陳列まで加盟者の開店がただちにできる状態にするために、当社が担当実施する開店準備の諸作業に関する手数料
開業時出資金 150万円
開業当初の販売のための在庫商品代、つり銭用現金の額、什器、備品、消耗品の代金および加盟保証金50万円也などをまかなうための一部として、加盟者が自己資本として自ら調達する最低限度の金額(上記金額を当社に振り込み、それ以外の分は、当社が調達し、加盟者に融資します)
2. 加盟金の支払い 契約締結の日
3. 返還の有無 加盟契約がやむをえない事由その他により、解約された場合には、未充当の分については返還されます。
(筆者注:保証金50万円を含むためと思われる)

オートバックス・セブン

1. 加盟金 100万円
2. 加盟金の性格 FC契約締結にあたって、本部が調査や開設相談指導、教育訓練準備等の対応に取り掛かった対価としてお支払いいただくものです。
3. 返還の有無 加盟金はいかなる事情があっても返還されません。

BOOK OFF

1. 加盟金 200万円
開店準備金 300万円
2. 加盟金の性格 (1)BOOK OFF事業の営業権
(2) 商標、サービスマークの使用権
(3) 契約時に開示するノウハウ
3. 返還の有無 加盟金はいかなる場合にも返還しない。

日本マクドナルド

1. 加盟金 新規契約の場合 250万円
第2号店以降 500万円
2. 加盟金の性格 当該レストランでのマクドナルドのフランチャイズ権を獲得するためのフィー
3. 返還の有無 フランチャイズ加盟金は一切返還しない。

モスフードサービス

1. 加盟金 新規加盟 300万円
2号店 250万円
3号店 200万円
4号店 175万円
5号店以降 150万円
2. 加盟金の性格 (1)ノウハウの開示に対する対価
(2)商標、サービスマーク使用に対する対価
(3)店舗造作に関する企画料
(4)開店に必要な什器・備品等の企画料
(5)開店時の宣伝広告の企画料
(6)その他、開店までに関わる一切の指導に対する対価
3. 返還の有無 一切返還しない。

ドトールコーヒー

1. 加盟金 300万円
2号店以降 150万円
2. 加盟金の性格 これについては触れられていない。
3. 返還の有無 いかなる場合も返還しない。

ダスキン ホームインステッド

1. 加盟金 80万円
2. 加盟金の性格 本チェーン加盟に対する対価
3. 返還の有無 加盟金については、本部へ支払い後は一切返還しない。

明光義塾

1. 加盟金 300万円
2. 加盟金の性格 (1)商号、商標、サービスマーク等の使用許諾
(2)広告、宣伝物の企画、提供(有料)
(3)学習指導システム及び経営のノウハウ
(4)教材及びテストの提供(有料)
(5)各種帳票の供給
(6)新設オーナー、教室長の研修
(7)開設準備(市場調査、オープン指導、訪問指導、経営指導)
(8)明光義塾オーナークラブの会員資格
(9)教室経営マニュアルの貸与
(10)開業資金の借り入れ斡旋
(11)設備機器リース斡旋
3. 返還の有無 フランチャイズ加盟金は理由の如何を問わず返還しない。

ユニバーサルホーム

1. 加盟金 500万円
2. 加盟金の性格 (1)商標等マークの使用料
(2)その他加盟契約に基づき本部より許諾する権利に対する基本対価
3. 返還の有無 いかなる事情があっても返還しない。

TSUTAYA

1. 加盟金 (1)レンタル事業 300万円(但し、2号店以降は半額)
(2)CD等のセル事業 100万円
(3)TSUTAYABOOKNETWORK事業 50万円
(4)GAME TSUTAYA事業 50万円
(5)リサイクル事業 100万円
2. 加盟金の性格 「フランチャイズ付与の対価」すなわち「特定の場所において、当社の下記のノウハウを用いたレンタル事業及びセル事業を行うための店舗を運営して、特定の店舗名で経営する権利の対価」
(1)当社が過去において開発したコンピューターとデータベース等のデータベースによる情報管理を核とした、各種商品のレンタル、販売、サービス提供に関する施設・運営・企画等のユニークな一連の事業システム
(2)当社の商標、意匠、カラーリング、店舗システム等により統一されたイメージの下に展開されている事業システム

 日本を代表するフランチャイズシステム10社の「加盟金の金額」「加盟金の性格」「返還の有無」を記した。加盟金の金額については、1号店は高く、2号店以降は逓減、もしくは半減する規定が多い中で、日本マクドナルドのみが2号店は、1号店の2倍を徴収するのが目立つ。多分「1号店で利益が出たから2号店を出すのであり、利益の多い加盟店からは沢山加盟金を徴収する」というマクドナルド独特の理論が背後にあるのだろう。
 加盟金の性格については、川越憲治弁護士の意見通り「商標の使用料、及びノウハウの許諾料」が共通した性格であるが、明光義塾は11項目、モスフードサービスは6項目を記載しているのに対して、ドトールコーヒーは一言も触れていない。反対にTSUTAYAは、自社のノウハウのオリジナル性や事業の性格について細かく規定している。
 加盟金の返還については、いずれのチェーンも「返還しない」で共通であるが、唯一セブンーイレブン・ジャパンのみは「加盟契約がやむをえない事由により解約された場合は、未充当の部分については返還されます」と規定しているのは、開業時出資金の中に50万円の保証金が含まれているために、このような表現になったのであろうと推察する。この開業時出資金150万円には、消費税が掛からない金銭であるので、ある意味で預り金的な性格であろう。

4.加盟金の決め方

 加盟金の金額については、表―1、表―2、表―3で、「日本のフランチャイズチェーン2006」から小売業、飲食業、サービス業の別に分類記載した。(以下本調査と呼ぶ)この種の調査では一番詳しい、かつ最新のデータであると自負している。
 本調査を実施してみて、加盟金が大きくバラツイテいることに驚いた。加盟金は0円から1千万円まで実に細かく分かれている。傾向として言えることは
(1)1970年以前に成立したいわゆる日本式フランチャイズの加盟金は0円か、極めて低い金額である。
(2)飲食業で特徴的に言えることは、投資金額の大きい、売上高の大きいパッケージの加盟金は概して高い。
(3)2000年前後に加盟を開始、もしくは事業を創業したフランチャイズの加盟金は概して高い。
(4)中でも特別に高い500万円以上の加盟金を徴収する本部の相当の部分は、かってベンチャーリンクに開発依頼をしていたフランチャイズ本部が多く、ベンチャーリンクとの関係を絶った後も、そのまま高い加盟金を徴収している傾向が明らかである。
ベンチャーリンクは加盟金の半額程度を開発手数料として本部から徴収していたとされるから、ベンチャーリンクに開発を依頼しなくなった後は、当該本部は2倍の加盟金を徴収し続けていることになる。
 加盟金をどのように決定するかは、同業他社との比較、相場といった見解が多いが、本調査を通じて感じた点は、日本のフランチャイズ本部の加盟金の決定方法は、かなりいい加減であり、デタラメに近い部分も一部に散見されるということである。しかし、これが正しい加盟金の金額だとする根拠はない。加盟店希望者が、その加盟金を支払ってビジネスとして成立するかどうかの判断であり、最後は本部とそのパッケージを購入しようとする加盟店希望者の判断で決まることである。一部に、「加盟金の高い本部は、自信があるから高い加盟金を設定するのであり、加盟希望者は比較的加盟金の高い本部を選んだ方が安全である」という説があったが、本調査により、その仮説は全く間違っている。
 国際的に見て、日本のフランチャイズの加盟金は低いというのが定説であった。川越憲治氏の「フランチャイズシステムの法理論」によれば、「現実に支払われる加盟金の金額については(中略)、一般的な趨勢としては、日本よりもアメリカの方が高額である。(中略)アメリカにおける知的財産権に対する信頼の強さを示している」(166ページより引用)
 筆者は川越弁護士の信奉者であり、本調査をするまで、川越弁護士の説の通りに考えてきたが、特に2000年以降の「飲食フランチャイズのバブル時代」に、川越理論と現実はマッチしなくなったか、あるいは日本のフランチャイズがクレージーであったか、いずれかであろう。筆者はクレージー理論を取りたい。本調査(特に欄外に記入した500万円以上の加盟金を徴収する本部)で500万円以上の加盟金を徴収する本部は38本部に達している。何度も繰り返すが、加盟金の額は本部と加盟希望者の同意で成立するものであり、比較的高い加盟金が悪いわけではない。フランチャイズ本部立上げ時に、抜群の収益力を誇るパッケージならば、それは妥当な金額であろう。
 因みに、アメリカのフランチャイズシステムの加盟金の近況を調べてみた。ジェフリL.ブラダック氏の「フランチャイズ組織論」(河野昭三監訳、文真堂)の第3章に次のような状況が述べられている。(原著は1997年刊であるため、その時期と推定する、以下1ドル110円で換算する)

KFC社(旧ケンタッキー・フライド・チキン) 2万ドル(220万円)
ピザ・ハット社 (ピザ、パスタ) 2.5万ドル(275万円)
ハーディーズ社(ハンバーガー) 1.5万ドル(165万円)
ジャック・インザ・ボックス社(ハンバーガー) 2.5万ドル(275万円)

 アメリカの外食フランチャイズの代表格の加盟金は1ドル110円換算で200万円から250万円程度である。これと比較すると、日本のフランチャイズの500万円を超過する加盟金は国際的に見て割高であるように感ずる。
 「フランチャイズショウ&ビジネスエキスポ2006を振り返る」で明らかにした通り、これからの日本のフランチャイズは人口減少社会を迎えて、国内店舗の増大には一定の限度が生じてくるため、アジア、アメリカへ事業拡大する時代であり、常に国際常識で考える必要がある。加盟金の金額についても国際的視野からの判断が求められる時代であると思う。

5.加盟金の支払い時期

 加盟契約時の一括払いが大半である。これも開示事項の1項目であり、開示書面に開示する必要がある。
第3項で見た日本を代表するフランチャイズシステムはいずれも加盟契約時(もしくは前日まで)である。

6.加盟金の返還

 一旦支払われた加盟金は、その後返還されることがない旨の規定が一番多い。
第3項で見た日本を代表する10社のフランチャイズ・システムはセブンーイレブンを除き、すべて「返還しない」旨の規定である。唯一セブンーイレブン・ジャオパンのみは「加盟契約がやむをえない事由により解約された場合は、未充当の部分については返還されます」と規定しているのは、開業時出資金の中に50万円の保証金が含まれているために、このような表現になったのであろうと推察する。この開業時出資金150万円には、消費税が掛からない金銭であるので、預り金的な性格であろう。(「日本のフランチャイズチェーン2006」では加盟金は50万円としている)
 加盟金の返還を巡って紛争は多い。筆者にもメール相談で「加盟金を支払ったが、返還を求められないか」とする相談が後を絶たない。03年7月24日、神戸地方裁判所で「ベンチチャーリンクが開発代行を行ったFC本部【ステーキワン】は、FC店の収益性に不安を感じて出店を取りやめた加盟店希望者に対し、加盟金800万円のうち600万円を返還せよ」との判決が出ている。
 判決理由は、「本件加盟金に商号・商標使用許諾料及び営業許諾料が含まれているとしても800万円に相当する価値があるとは到底認められない上に、FC本部は開業準備費用も支出していないのであるから、本件加盟金800万円は著しく対価性を欠き、高額に過ぎるのであり、その返還を一切認めないという本件加盟金不返還特約は、暴利行為であって公序良俗に違反し無効というべきである」として、「商号・商標の使用許諾料及び営業許諾の対価としては本件加盟金の800万円の4分の1、すなわち200万円を上回ることはない」と推認され、「これを超える600万円の部分は不当利得に該当すると認められる」として被告に対して600万円の支払いを命じた。(FRANJA25号参照)
 地裁レベルの判決とは言え、加盟金の返還を認めない特約があっても、暴利行為、公序良俗違反と断ずる判例は厳しい。今後、高額の加盟金を徴収する本部は、相当の覚悟が必要である。

7.加盟金の売上高への計上の時期

 常識的に、加盟契約は開店が具体化した段階で(店舗予定地が決定する、店長候補者の研修が開始する等)締結するものである。最近、店舗予定地が決定する前の段階で加盟契約を交わす本部が増加している。本来、このような契約は「加盟予定契約」「加盟仮契約」として処理するべきであると考えるが、エリアエントリー等と称して、「加盟契約」を締結したり、加盟の意思表明をした段階で「加盟契約」を締結して、加盟金を全額徴収する事例が増加傾向にある。健全なるフランチャイズ本部としては、いささか疑問に感ずる。
 (社)日本フランチャイズチェーン協会では、「申込金に関する指針」を出して、次のように指導している。「本部は加盟店希望者から加盟申込金を徴収する場合には、次のことに留意しなければならない。この申込金は、通常、不誠実な契約の申込を未然に防止する他に、契約申込者の適格性、店舗候補物件や立地の適・不適、その他契約の可否を判断するための調査に必要な費用として徴収されるものである。本部は加盟店希望者からいわゆる申込金を徴収する前に、その金額、金銭の性質、返還の有無、返還するとすればその条件について、書面を交付して明確に説明しなければならない」(旧フランチャイズハンドブック72ページ)
 なお新版フランチャイズ・ハンドブックで、この部分を「今更不要」としてカットしたことは、新版フランチャイズ・ハンドブック編集委員の1名として不明であった。できれば、フランチャイズチェーン協会の理事会で、再度この「申込金に関する指針」を決定していただければ、フランチャイズビジネスの健全化に役立つと思うが、如何であろうか。
 フランチャイズ・ビジネスに対する社会的批判が相変わらず強いのは、これ等の指導事項を無視して、物件を決定する前に「加盟契約」を締結したり、加盟金を全額徴収して、その期の売上高に計上する仕組みに、多くの人たちは不健全性を感じているのであろう。(FRANJA25号参照)
 このような申込金的な性格を持つ、加盟金の全額徴収と、それを当期売上高に計上することを、安易に認めた監査法人の責任は重い。金融庁が中央青山監査法人に対して、「法定監査」先企業を対象に監査業務の停止を求める行政処分を出すとされる時期であるだけに、監査法人は安易な売上高計上を認めるべきではないと考える。

8.加盟金頼りの本部経営は邪道

 筆者が所属する中小企業診断士東京支部フランチャイズ研究会(西野公晴会長)の場で、ベテラン会員から「フランチャイズ企業の利益は加盟金が原資である」旨の発言があり、驚いたことがある。筆者は高額な加盟金を徴収して、本部が加盟金収入で凌いでいる状況を見て不安に感ずる。しかも、加盟金前取り本部が増加傾向にあることに対して、大いなる不安を感ぜずにはいられない。本来フランチャイズビジネスでは、加盟金は所詮一時金に過ぎない。オートバック・セブンの住野社長が「加盟金はわずかな金額であり、会社経営にとっては、あっても無くても良い金額」と発言されたことを覚えている。けだし名言であった。
加盟金等一時金に頼る経営は、パッケージが陳腐化したり、新業態開発が予定通り進行しない場合には、命取りの危機をもたらす恐れがある。「加盟店開発さえすれば資金は生まれる。利益計上できる」と社員や幹部が錯覚したら、その本部は既に危険ゾーンに入っている。
 フランチャイズ本部は、継続的収入であるロイヤルティとか、商材の差益(リベート等)とかの収入によって支えられる体質に転換しなければならない。本来フランチャイズビジネスとは加盟店の繁栄の上に成り立つビジネスであり、加盟店の売上高なり、粗利益からわずかに受け取る対価の上で成立する、地道なビジネスである。多額な加盟金に依存しないで、わずかなロイヤルティで継続的収益を構築するのが、フランチャイズ・ビジネスの本道であると信ずる。
(FRANJA29号参照)

9.加盟金一覧表について

 冒頭でも述べた通り、小売業(表―1)、飲食業(表―2)、サービス業(表―3)のフランチャイズ企業の加盟金の一覧表を作成した。本調査を行うに当たって、次の要領に従った。読者は是非本調査を有効に活用されることを期待する。特に、現在、フランチャイズ本部立上げを検討中の方は、本調査と筆者の見解を理解した上で「加盟金の金額と徴収時期、売上高計上時期」を決定いただければ幸いである。

1. 本調査は、商業界出版の「日本のフランチャイズチェーン2006」の加盟金の部分を抜き出したものである。商業界には厚くお礼申し上げたい。
2. すべて消費税は除いてある。従って実際の加盟金は、この5%増しである。
3. 1坪3万円等の面積比例の加盟金は、すべて~99万円の項にまとめた。
4. 業態区分は概ね商業界の区分に従ったが、一部飲食業で細かく区分した。
5. 加盟金の区分は小売業では300万円まで、飲食業、サービス業では500万円までとして、それ以上の金額は欄外に注記した。
6. 加盟金について全く記入されていない本部は、省略した。
7. 本調査はすべて「日本のフランチャイズチェーン2006」に従ったため、ザ・フランチャイズ等の記載と異なる点があることはあらかじめお断りする。

表―1 小売業加盟金一覧表(「日本のフランチャイズチェーン2006」)

業 態 ~99万円 100万円 ~199万円 200万円 ~299万円 300万円 合計
コンビニ - 25
スーパー食品 - - - 11
薬・化粧品 - - - -
衣料品・靴 - - - 15
メガネ - - - -
家電 - - - - -
雑貨 - - 13
書籍 - - - -
文具 - - - - - -
TVゲーム - - - -
自動車関連・
工具
- - - -
その他   - 16
合計 22 25 32 106
書籍 550万円 1社
その他 800万円 1社
合計 2社加算

表―2 飲食業加盟金一覧表(「日本のフランチャイズチェーン2006」)

業態 ~99
万円
100
万円
~199
万円
200
万円
~299
万円
300
万円
~399
万円
400
万円
~499
万円
500
万円
合計
菓子・パン - - - - - 15
サンドイッチ - - - - - - - - - -
ハンバーガー - - - - - - - -
アイスクリーム - - - - - - - -
お好み
たこ焼き
- - - - - 18
クレープ - - - - - - -
コーヒー - - - - -
チキン - - - - - - - - - -
ドーナッツ - - - - - - - - - - - -
レストラン
和食
- - - - 19
焼き肉 - - - - - 11
ラーメン 11 15 11 - - - 46
中華料理 - - - - - -
パスタ
イタリアン
- - - - - - -
ピザ   - - - - - - -
そば
うどん
- - - - 10
- - - - - - -
カレー - - - - - - - -
弁当
惣菜
- - - - - - - 10
寿司 - - - - - - 11
居酒屋 - - - 25
その他 - - - - - - -
合計 48 49 40 26 35 10 233
コーヒー 800万円 1社、レストラン、和食 800万円 1社、1000万円 1社,焼き肉 600万円 1社、 中華料理 1000万円 1社、居酒屋 550万円 1社、600万円 1社, 合計 10社加算

表―3 サービス業加盟金一覧表(「日本のフランチャイズチェーン2006」)

業態 ~99
万円
100
万円
~199
万円
200
万円
~299
万円
300
万円
~399
万円
400
万円
~499
万円
500
万円
合計
衛生・
クリーン
- - - - - - -
クリーニング - - - - - - 14
学習・教育 14 10 - - - 45
DPE
・印刷
- - - - - - -
レンタル - - - - - - -
理容・
美容・健康
- - - - - 17
リフォーム・
リペア
- - - - - - 11
リサイクル - - - 21
不動産・仲介
修繕
- - - - 21
情報ビジネス - - - - - - 11
ネット喫茶 - - - - - 12
その他 11 - 47
合計 13 58 23 26 32 13 20 11 209
クリーニング600万円 1社、理容・美容に600万円1社、1000万円1社、
ネットカフェ550万円1社、700万円1社 合計 5社加算


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