フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

スーパーバイザーの自己啓発

Ⅰ スーパーバイザーの機能と役割

1.スーパーバイザーの定義

 (社)日本フランチャイズチェーン協会が編集したフランチャイズ・ハンドブックの用語集では、「スーパーバイザー」を次のように簡潔に定義している。
「加盟店の経営指導を行う本部従業員のこと。チェーンによってはフィールドカウンセラー、ストアアドバイザーと呼んでいる。」
 定義があまりにも簡潔なため、付言するならば、スーパーバイザー(以下SVと略す)という言葉の意味は管理する、監督する、指導する、指揮するという意味である。従ってSVとは管理者、監督者、指導者ということになり、かなり高圧的なイメージになる。そこで、例えば「つぼ八」では「指導員」、「セブンーイレブン」では「オペレーション・フィールド・カウンセラー」ミニ・ストップでは「ストアアドバイザー」等と呼ぶ。
 日本のフランチャイズでは指導員、相談員、カウンセラーと言う意味合いで使用されるケースが多いようである。
 実質的なSVの機能は、フランチャイズ本部において、加盟店の店舗や本社事務所等(複数店舗を展開する加盟社の事務所乃至は本部)を継続的に訪問して、店舗のオペレーションやマネジメントについて指導、助言または相談に当たることを職務とするフランチャイズ本部の要員である。
 但し、複数出店社が増加している昨今(詳しくは弊社「FC市場レポート」参照)、SVは単なる店舗のオペレーションやマネジメントの指導役では済まなくなり、経営者(オーナー)に対するアドバイザー的な機能まで期待されている。(後述する「フランチャイズ・コンサルタント」の機能を、日本ではSVに期待している面がある。)

2. SVの役割

 フランチャイズ本部がSVに期待する役割は非常に多い。
まず、第1に、加盟店に対して本部を代表して加盟店との折衝の窓口になり、本部の経営方針の伝達、新商品の発売の連絡、販売促進に対する詳細説明等を行い、加盟店を本部の良きパートナーとして協力関係を構築したり、逆に加盟店の本部方針に対する希望や苦情を吸い上げて、本部に対する批判が生じないように事前に最善の手を尽くす役割を持つ。
 第2に加盟店に対する継続的店舗運営指導、助言、援助を行う役割である。継続的指導の内容は種々であるが、加盟店が期待する最大の機能は継続的に利益を生み出す指導、助言、援助である。フランチャイズ契約では売上高も、利益高も保証していないが、加盟者の最大の期待は自己が行った投資に対する適切な利益の実現であり、SVに対する期待もこの1点に集中している。この事実は、フランチャイズ本部もSVも真摯に受け止める必要がある。この点からSVの自己啓発の主要課題も浮上する。
 第3に、本部と加盟店の良好な関係を作り、相互に信頼できる関係を構築することである。メガフランチャイジーとして著名なセント・リングスの青木謙侍社長は、「フランチャイズ本部に、優秀な加盟店であると認められるようになること」が大切と指摘している。(「成功するメガフランチャイジー」同文館)
従って、SVの重要な役割であると同時に、優秀な加盟社の目標でもある。
 SVの役割は書き出せば切りが無いほど多岐に渡り、これほどの仕事をこなせる人がいるのかと聞き返したくなるほど、多様である。
 列挙されるSVの役割は、正直な話、SVのレベルを超えて、本部機能のブラッシュアップに関わる内容にまで及ぶ。昨今の既存店の売上高不振をすべてSVの責任にして、自社のフランチャイズパッケージの時流不適応を適切に考慮しない本部の考え方に対しては、いささか苦言を呈しておきたい。

3. 社内における地位について

 SVに対して期待される役割が大きい割には、その社内的地位は高くない。一般的なSVへの昇格経路は入社後、数年の店舗勤務、店長経験を経る者が多い。年齢的には20歳代もいるが、30歳代が一番多い。40歳代のSVも外食やサービス業に多い。
 データとしてはやや古いが、次のデータを提示したい。(弊社HP参照)
(社)日本フランチャイズチェーン協会の正会員社のSVの意識調査を厚生労働省の予算で「フランチャイズチェーン事業雇用高度化推進事業報告書」としてまとめられた。本調査は平成14年12月にフランチャイズチェーン協会の正会員企業に勤務するSV2511名(コンビニ1000名、サービス業・小売業626名、外食業885名)に従業員規模に応じて比例配分して配布された。回収状況は919通(36.3%)である。
年齢別数字は次の通りである。

  全体 男性
20代
男性
30代
男性
40代
女性 不明
合計 919
100
237
25.8
469
51.0
174
189
34
 3.7
 5
 0.5
小売業
コンビニ
外食
サービス
116
488
121
185
23.3
33.0
17.5
14.5
46.6
57.2
47.5
40.3
22.4
 8.2
31.7
36.6
6.9
 0.8
 3.8
 8.5
0.9
 0.8

上記の表から、次の点が指摘できる。
① コンビニのSVは、比較的20代が多い。(33.0%)しかし、最大の年齢層は30代(57.2%)である。
② 小売業のSVの年齢層は30代が一番高い。(46.6%)女性も比較的多い。
③ 外食業のSVは30代が一番多い。(47.5%)しかし、それに次いで40代も多い。(31.7%)
④ サービス業のSVも30歳代が最多である。(40.3%)しかし、40代も多い。(36.6%)また、女性SVも相対的に多い。(8.5%)
SVの社内的地位は、主任、係長クラスであり、SVを数名統括するエリアマネージヤーになって初めて管理職になり、社内的地位も年収も上がる。
SVが加盟店に対する窓口であり、会社を代表する立場にありながら、社内的地位が必ずしも高くないことは、SVの位置づけを考える場合、考慮すべき課題である。

4. SVの社内教育について
 SVの昇格経路として、入社後数年の直営店勤務、直営店店長の経験後SVに昇格するのが、一番多い一般的経路である。SV昇格時に社内教育を実施する本部は比較的少ないように感ずる。
 一般的には先輩SVについて、OJTでSV業務を習得するケースが多い。SV昇格研修を行い、SVとしての自覚や、専門性を与える教育が行われるべきであるが、現実には少ない。
 (社)日本フランチャイズチェーン協会が行う「SV学校」へ毎年SVを派遣して、それによって社内教育に代替させるケースも多い。SV学校は77年に開校されてから、延べ修了者は1500人余であり、既に経営層まで上り詰めた修了生もいる。
平成18年度のSV学校は、年間6回の1泊2日、又は2泊3日のスケジュールで16日間の研修である。出席させる企業側の負担も大きいし、受講するSVも日常業務をこなしながらの受講であり、自身の負担も大きい。
 SVの役割で論じた通り、SVに加盟者が期待する最大の機能は、投資額に対する適切な利益を継続的に生み続けるように、指導、援助を受けることである。特に近年、複数出店者が増加しており、単なる販促的指導ではなく、経営的判断をSVに求める傾向があり、現時点でSVのすべてが、このような能力を持ち合わせている訳ではない。
 特に、経営的判断を行うために欠かせない科目は「計数管理」や「経営管理」であるが、この科目については、必ずしも修了者全体が高いレベルに達している訳ではない。9月号の「FC市場レポート」で明らかにした通り、オートバックスセブンのSVが総じて「計数管理」に明るいことは、SV学校の講師陣の中でも定評のあるところである。(弊社FC市場レポート「オートバックス住野代表に聞く」参照)
 複数出店社が増加して、SVに経営的判断を求める時代には、SV学校で取得した知識のみでは足りなくて当然である。計数管理を学ぶ時間数は12時間(2日間)であり、この時間内で計数管理をマスターすることは事実上不可能であり、企業の中か、自己啓発で自社のP/L、B/S等の勉強をしないと、実務的には計数管理は使いこなせない。

5. フランチャイズ・コンサルタントについて
 ジェフリー・L・ブラッダー著「ハーバードのフランチャイズ組織論」(河野昭三監訳、文真堂)には、SVとは違い、次のような名称を使用している。
 「フランチャイズ部門と直営部門に配属されたチェーン本部所属の現場担当者の肩書きは、それぞれ“フランチャイズ・コンサルタント”と“エリアマネージャー”となっている。エリアマネージャーは会社従業員を管理し、フランチャイズ・コンサルタントはフランチャイジーと協働していた」と述べている。
 では,SVとフランチャイズ・コンサルタントとは同一人なのだろうか。同書では、直営店のエリアマネージャーの管理スパンが狭いのに対して、フランチャイズ・コンサルタントの管理スパンが広いとして、具体的に次の表を提示している。

チェーン組織本部フィールドスタッフの管理スパン

会社名 フランチャイズ・コンサルタント 直営店のエリア・マネージャー

フランチャイジー数 店舗数 直営店舗数
KFC社
ピザハット社
ハーディーズ社
ジャック・インザ・ボックス社
15    90
   9    175
   6     35
   8     45
 6
 7
 6
 8

 直営店のエリア・マネージャーの管轄店舗数と比較すると、フランチャイジーを管轄するフランチャイズ・コンサルタントは6倍~25倍の店舗数を管轄していることになり、権限の差異は明らかではないが、フランチャイズ・コンサルタントの方が、より大きな権限を持っているように思われる。
 また、フランチャイズ・コンサルタントの社内地位については、同書では、「エリアマネージャーよりは上、ディストリクト・マネージャーよりは下位に位置づけている」ので、日本のSVに比較すれば遥かに上位職位と思われる。
 1987年にダイヤモンド社から刊行された「マクドナルドー我が豊饒の人材」では、次のように記されている。「1950年代の後期には、各(加盟)店舗の評価を専門に行う“現場コンサルタント”が置かれた。これは、最初のうちは店の検査ではなく、経営者の相談役として従業員教育、開店準備、地域の納入業者の斡旋、営業の向上、販売計画などを助ける役目だった」
「しかし、本社の他の部門がそうした個々の相談を引き受けるようになるにつれ、各店舗が営業基準に従っているかどうかを検閲するスペシャリストになっていった。1960年代の中ごろには、現場コンサルタントは店の増設を許可するか否かを決めるようになったので、現場コンサルタントは生殺与奪の権を持つことになった。」
「現在(1980年代)、マクドナルド社には約300人の現場コンサルタントがいる。1人が18店舗を受け持ち、年に4回、各店を見て回って評価を出している」
 フランチャイズ・コンサルタントと現場コンサルタントは同一役職と思われれるが、詳しい内容は不明であった。
 過日、マクドナルド大学の教授の職を務められた経験の持ち主である、王利彰氏(立教大学、ビジネスデザイン研究科教授)にお目に掛かる機会があり、立ち話ながら、“現場コンサルタント”とSVの機能の差異について質問してみた。王教授によれば、SV(米国マクドナルドでは別の名称を用いている)と現場コンサルタントの能力の差異は明らかであり、現場コンサルタントはP/L、B/Sを解読してフランチャイジーに適切な経営アドバイスが出来る役職であり、SVより遥かに能力は高いとのことであった。
 筆者は、日本のSVの仕事の範囲の広さ、期待される役割の多さに比較して、SVの社内地位が低い、報酬が低いことを常に問題点と指摘してきたが、SVとフランチャイズ・コンサルタントの2種類の職位があり、能力的に明確な差があれば、上記の問題点は、かなり明らかになったように思う。
 しかし、米国におけるSVの仕事の内容と“フランチャイズ・コンサルタント”の仕事の内容の差異が明確になった訳ではないので、今後も研究を続けていきたい。

Ⅱ SVの自己啓発の必要性について

1. SVの役割からくる必要性

 SVは、加盟店に対して本部を代表する窓口であり、加盟店に対する継続的指導を行う役割を持つ。加盟店のSVに対する最大の期待は、投資に見合った利益が継続的に作り出されるように指導することである。
 加盟店の売上高が既存店ベースで前年割れが常態化している現状を直視すると、加盟店の投資に見合った利益を継続的に生み出すことは容易ではない。この機能は米国に見る“フランチャイズ・コンサルタント”に匹敵する技能レベルであり、SVに期待するのは過剰な荷物を背負わせることのような気もするが、契約書で訪店義務を約束した以上、毎週1回なり、毎月1回なり、加盟店への訪店義務があり、適切な経営指導を行う義務がある。
 このSVの役割からしても、本部の行う教育のみではなく、積極的な自己啓発を行う必要がある。

2. 自己啓発の意味するもの

 自己啓発とは、「自分の知識、才能、知性を環境に対して適応させる能力を開き起こすこと」と定義できる。経営者であろうと、ビジネスマンであろうと、SVであろうと、世の中の動きに対して適応していけないと、時代の取り残されてしまう。
 今日のように社会や経済的環境や、人口構成の変化が激しい時代に、その変化を常にキャッチしていかなければならず、かっては時代に対応していれば良かったが、現在では即応しなければならない能力が必要とされる。

3. 自己啓発を阻害するもの

 「自己啓発」というと、なかなか出来ないというのが、一般的な答えであります。その理由は次のようなものがある。
①SVは忙しすぎて自己啓発どころではない。
②今の会社のシステムに追いついていくだけで精一杯である。
③休日は、子供と遊びにいかなければならないので自己啓発の余裕がない。
④普段は疲れて、休日はテレビを見ながらゴロ寝である。
⑤自己啓発と言っても会社が教育してくれないからできない。
⑥自己啓発は会社のためにやるもので、会社がお金を出してくれない。
いろいろな口実を考えてみたが、自己啓発は自分のためということを理解していない。

4. 自己啓発はなぜ自己啓発なのか

 「自己啓発」と言うと、「意思、金、時間」がつきまとうので、往々にして出来ないということに成り勝ちである。
 「自己啓発」は自分のためであるが、それが引いては会社のために少しでも役立つということであり、フランチャイズ・ビジネスであるならば、「加盟店」「お客様」のためにもなる。
 SVは加盟店の良き相談役であり、この相談の答え次第では加盟店に利益を与えることもあるし、ドン底に落とすこともある。その相談が「環境の変化に適応していく能力」を持ち合わせていなかったら、加盟店に適切なアドバイスが出来ないことは言うまでもない。
自己啓発とは、「自己実現」であり、しかも「自己啓発」は人に頼るものではなく、自分自身の課題である。
会社が行う研修やOJTは、言うならば「馬を水際まで引っ張っていく」ことであるが、その「馬が水を飲むのは馬の気持ち一つ」である。

5. 自己啓発の目的の確立

 自己啓発の大きな目的は、やはり「己を環境の変化に対応できる人間にして、自己実現を達成させる」ことの一点である。
①自己開発能力と自己統制能力
「自己啓発」を実行するには、まず自分自身の能力をどう開発していくかの「開発能力」と、「自己啓発」はしばしばさぼりたくなるので、その誘惑に負けない「自己統制能力」を自分自身で作らねばならない。
②自己目標達成能力とスペシァリティ・スキル具備能力
「自己啓発」を本格的に行うには、自分で目標を立てて、かつその目標を達成する能力と、この問題ならあの人という「スペシャリティ・スキル」を備える能力が必要になる。
③コミュニケーション能力
SVのみではなく、人間はすべて一人で出来る仕事はしれている。この社会で仕事をしていうためには「コミュニケーション能力」は絶対必要である。
④人間的魅力づくり
 人間的魅力がないと、部下も加盟店もついて来ない。
人間的魅力は生来のものも有るが、後天的な努力による部分も大きい。

Ⅲ 自己啓発のチャンス

1. 自己啓発作り

「自己啓発」をするためには、やはり自分で環境づくりをしなければならない。
そのためには、自己啓発を阻害するものを除去しなければならない。
①時間づくりの工夫
 時間づくりで一番大切なことは、自分で時間を作ることを意識して、積極的に時間づくりをすることである。
例えば、1時間早起きして読書の習慣を作ることである。
また、通勤の時間を利用して(座るために1時間早起きして各駅停車の電車に乗る)新聞、本の読書に当てる等である。
この方法で1週間に1冊読めば1年間で52冊、10年間で520冊読める。40年掛ければ、2千冊以上の本が読めるのである。
②目的を作る工夫
 いくら自己啓発と言っても、「目的」を作らないと、何をしてよいか分からなくなる。SVならば、仕事との関連で「コミュニケーションの技術」とか、「コンサルティングの技術」とかが必要になる。例えば「コミニュケーションの方法」を習得するためには「話し方教室」に通うとか。「コンサルティングの技術」を磨くには「中小企業診断士」の資格取得にチャレンジすると言った方法がある。
③得意分野を伸ばす
 SVの必要技術の中でまず得意分野を伸ばすことが一番入りやすい方法である。
例えば、計数管理に自信のある人は、計数関係の本を読んだり、セミナーを受講したりすることを勧めます。
得意分野で業績を上げると、自然に不得意分野にも手を伸ばそうとおもうようになるものである。むしろ、そう言う気持ちが湧いてくるまで、得意分野のみでの自己啓発をお勧めする。
④師と友づくり
 「自己啓発」を永続するためには、良き師と良き友づくりに尽きる。
学校や、セミナー参加はもともと「良き師、良き友」づくりが一番の目標と言っても良い。
 また、必ずしもセミナーに行かなくても、ちょっとした事が聞ける「コネ」を作ることも大切である。
 人生には「良き師、良き友」が必要であり、その気になればどこでも「良き師、良き友」は出来るものである。

2. 人脈づくりのノウハウ

①先輩を選ぶこと
 先輩はいろいろな経験を積んでおり、知識もあれば体験から生まれた工夫の仕方はマニュアルにも無い貴重な手本になる。しかし一方で、マニァルを無視し、自分勝手な仕事を進める人もいる。
自分から見て、優秀な先輩を選び積極的に教えてもらう習慣を作ることが重要である。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」である。
②会社内に友人を作る
 同期の入社とか、年頃が似ている人を友人に選ぶ時は、技能的に自分より優れている人を選ぶことが大切である。
特に、自分が不得手なことに優れている人は、すごく助けられることがある。
③外部の友人
 セミナーや学校に通学する場合は積極的に名詞を交換しあい、面識を作っておくことが大切である。このSV学校で作った友人は一生のお付き合いになる。。名詞にはメールが印刷してあるので、その日の内にメールで挨拶をしておくと、必ず覚えてもらえる。年賀状や暑中見舞いという古典的な方法もあるが、印象に残るのはメールをくれた人である。
学校時代の友人は生涯の友人である。専門外の人でも生活に密着したフランチャイズ・ビジネスについては一人前の論評をする時代である。

3. 読書の薦め

①フランチャイズ・ビジネスに関する専門書
 さまざまな本があるが、私はまず次の本をお勧めする。
1 日本フランチャイズチェーン協会編
「フランチャイズ・ハンドブック」  商業界      2520円
 2 内川 昭比古 「フランチャイズチェーンの実際」 日経文庫860円
 3 並木 雄二著 「スーパーバイザーの実務」 商業界   1680円 
 4 杉本  収著「計数管理の基礎知識」
日本フランチャイズチェーン協会(非売品)
 
②「フランチャイズハンドブック」
 日本フランチャイズチェーン協会の30周年記念として再編集された冊子であり、協会が30年かけて作ってきた日本のフランチャイズの教本である。
全体の利用方法は、辞書のように常に手元に置いて、不明な点があったら調べるのに適している。
第1部の「フランチャイズ・システム総論」は、このハンドブックの中でも唯一のテキストであり、通読を薦める。
第2部 フランチャイズ・システム関係法
 第1章 フランチャイズ・システムの中核となる法律とガイドライン
 第2章 関係法令
  商標法、特許法、不正競争防止法、特定取引に関する法律等の法文集
 第3章 フランチャイジングに関する判例集
  川越弁護士による判例集と解説
第3部 協会関係規範類
第4部 海外の倫理綱領と規則
第5部 統計資料・年表・参考資料
第6部 フランチャイズ用語集
 フランチャイズに関する用語の定義であり、日本では一番権威のある用語集である。辞書のような使い方が望ましい。
③内川昭比古著 「フランチャイズ・ビジネスの実際」日経文庫 860円
 まず、フランチャイズ・ビジネスの基礎知識として、日本のフランチャイズ・ビジネスの歴史、フランチャイズ・ビジネスの定義、フランチャイズ・パッケージについて解説する。
 続いて、フランチャイズ加盟のためのポイントを詳細に説明し、本書が加盟店の案内書であることから、内容は詳細であり、加盟の手引きとしては第1級の図書である。
 第3部のフランチャイズ本部の構築については、ページ数も40ページ程度で、到底この程度の知識で本部構築が出来るわけが無いので、参考にする程度の内容である。
 第4部の有望なフランチャイズ・ビジネスを探るは、最新のトレンドや、新しいフランチャイズ形態や、メガフランチャイジーに言及している。
④並木雄二著 「スーパーバイザーの実務」  商業界  1680円
 著者はセブンーイレブン・ジヤパンに勤務経験があり、セブンーイレブンのSV(フィールドカウンセラーと呼ぶ)の経験がある。本書はセブンーイレブン時代のSV経験を基礎に書かれたものであるが、SVの実践書としては第1級の著作である。
 第1部は「スーパーバイザーの役割と改善指導」で、比較的SVの一般論として読むことが出来る。但し、経営数値の読み方はコンビニ独特の損益計算書であり、外食業、サービス業のSVが読む場合には注意が必要である。
 コンビニの契約タイプは、大別してA型とC型がある。(チェーンによって様々な呼び方をしていたり、内装費の一部を負担する等変形もある)A型,C型に共通する損益計算書とするため、次の部分が計算に入れていない。
減価償却費、家賃、オーナー給料、
 この事実を知らないと、損益計算構造がまるで変わってしまうので注意を要する。
 第2部の「業績向上のための技術と指導法」は、コンビニの共通財産となった「単品管理」「発注分担」等が大きな内容となっている。逆に、単品管理のような共通財産を持たない外食、サービス業のSVの指導力の弱みを実感される。
しかし、店内ミーティング、ワークスクジュール、緊急時の行動基準等は、外食に1日の強みがあるように感じた。
 いずれにせよ、SVの実務経験者によって書かれた、最高の「SV実務実践書」であることは間違いない。
⑤杉本収著 「計数管理の基礎知識」(社)日本フランチャイズチェーン協会
                  非売品(SV学校受講者のみに頒布)
 商業界の上保陽三氏の「商品と売り場の計数」(2900円)「会社の計数」
(2500円)を利用しても良いが、既にSV学校の受講者には、杉本収氏の著作がテキストとして頒布されているし、かつ杉本収氏の授業を受講しているので、あえて非売品のテキストを上げた。
 本書はSV学校のために書き下ろされた著作であり、最初からフランチャイズチェーンのSVを意識して書かれた点に特色がある。
 杉本収氏は中小企業診断士であり、「計数管理」には一番明るい人である。この本の内容は、一般の「計数管理」と同じであり、経理の基本、損益計算書・貸借対照表の基本、財務分析の基本、資金管理と資金繰りの基本から成り立っている。
 敢えて、「計数管理」をSVの必読書に上げたのは、SV学校の受講者は、一般論として「計数管理」に弱いと筆者は思っている。本来、SVの使命は加盟店への経営指導であり、その基本は「計数管理」「マネジオメント」にあることは言うまでもない。しかし、現実のSVの姿を見ると、一般的に直営店の店長経験者からの登用が多く、かつSV昇格時に必ずしもオリジナルなSV研修を行わないまま、フィールドに出し、フランチャイズ協会のSV学校に通わせて終わりと言うタイプが多い。SV学校の「計数管理」の授業は12時間程度で、到底理解できるものではない。むしろSV学校は「計数管理」の重要性を教える場であり、それを使いこなすためには、自己啓発が絶対必要である。敢えて、SV学校の卒業式とも言うべき日に「SVへの提言」として、「自己啓発」を取り上げたのは、率直に言って、加盟店を指導するためには「計数管理」を使いこなし、マネジメントに強いSVを育成しないと、SV学校の意味がないと思い、話題に取り上げた次第である。

4.通学・通信教育・セミナーの利用 

①通学による自己啓発
「自己啓発」で最高に効果を上げる方法は、学校とか教室に通学することである。時間が掛かるし、お金も掛かるし、苦痛も大きいが、思い切ってチャレンジすることをお勧めする。
 皆さんは、会社の厚意により「SV学校」へ通学することが出来て一番幸せな人達である。会社の時間とお金で、通学できる機会は一生に1回か2回しかない。会社の厚意に対して、これからのSV活動によって返していただきたい。
 コミュニケーションがSVにとって極めて重要な手段であることは論を待たない。その技能を磨くために、例えば「話し方教室」に通えば、更に高度の技能が身に付く。
②通信教育による自己啓発
 通学は時間的に無理な人が多いので、次の手段として通信教育がある。通信教育は一応期間が限定されていても、何時でもテキストが読め、費用も比較的安いという特徴があるので、忙しい人には格好の自己啓発の方法である。
最近は、厚生労働省の費用負担の制度もあり、非常に利用し易くなった。
計数管理との関係で言えば、自習ではどうしても理解しにくい場合には簿記3級程度の資格を取る通信教育が適しているだろう。
個別業界別の通信教育があれば、最適である。例えば「フードサービスコース」「コンビニコース」「学習塾コース」等である。Eラーニングが進んでいるので、探せばあるかも知れない。
③セミナーによる自己啓発
 セミナーによる自己啓発も効果が高く、実現性がある。1日のコースもあれば、2~3日のコースもある。多種多様であり、会社で派遣されなくても、休日を利用して、いろいろなことが学べる。
セミナーの最大の欠点は受講してみて、自分の期待に沿わないことが間々あり、後悔することがあるので、選定に慎重さが必要である。セミナーの参加費用は通学や通信教育に比べて、高いのが一般的である。
一般的に、社団法人の行うセミナーは、比較的安価であり、内容も充実している。
(社)日本フランチャイズチェーン協会
(社)日本フードサービス協会
ホームページや協会誌に詳しい内容や日程が公表されている。
(本稿は日本フランチャイズチェーン協会の主催する「平成18年度SV学校」の最終講義に当たる「SVへの提言」をベースに抜本的に書き改めたものである)

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