フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

2007年・フランチャイズ業界のまとめ

Ⅰ フランチャイズ全般

1. フランチャイズ業界の伸び鈍る

 11月に発表された2006年度フランチャイズ統計によれば、フランチャイズ全体の売上高は19兆6千億円で、前年比101.1%の低い伸び率となった。特に、昨年の伸び率が高かったサービス業の売上高が前年を下回り、99.7%に止まった。小売、コンビニ、外食いずれの部門の伸び率は低かった。
 2007年度は不明であるが、加盟店の意向を聞いても概して不振であり、今年も低い伸び率になるのではなかろうか。

2. 景気回復に一服感

 いざなぎ景気を超えたとされる日本経済には、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が陰を落とし始めた。事態の全容が掴めず、金融機関の損失拡大への疑心が募っている。
 アメリカの景気一服感は、アジア、世界に影響力を強めており、わが国でも、原油価格の高騰、諸物価の高騰などで、生活防衛に回る意識が高まっている。株価も一時1万5千円を切る安値を示し、たださえ弱い景気回復感に一服感を与える結果となった。
 12月5日に開催された「年末エコノミスト懇親会」でも、「サブプライム問題の長期化、住宅建設の落ち込み、年金問題が解決しないと閉塞感が続く」等2008年に対して、「景気減速感が強まる」との認識を示すエコノミストが多かった。

3. パート・アルバイト(P/A)の人件費上昇

 少子化の力により、若い労働力が減少している。更に、追い討ちを掛けるように厚生年金の毎年の値上がり、最低賃金の底上げにより、人件費の上昇は全国的に広まっている。全国的な失業率の低下、都心部における若年労働力不足は慢性化しており、特に東京都心部では時給1200円でも日本人の採用は難しいという意見が聞かれる。
 厚生労働省は9月7日に、都道府県別の最低賃金の決定状況を発表した。全国平均では時給14円の値上げであり、労使が参加する中央最低賃金審議会が示した引き上げ幅の目安に沿う形となった。しかし、先の参議院選挙で民主党は「最低賃金大幅引揚げ、全国平均時給1千円」から見れば程遠いものであり、来年以降は更なる大幅な最低賃金の引上げがあることは覚悟しなければならない。フランチャイズビジネスは労働集約型産業が多く、最低賃金の引上げは大きな影響を受けるので、注目が必要である。

4. フランチャイズ業界に不祥事続発

 今年は、食品偽装、生産地偽装、賞味期限切れ食材の利用など、社会全般に不祥事が多発した。残念であるが、フランチャイズ業界でも実に多数の不祥事が発生した。不二屋の賞味期限切れ食材の利用、ブックオフのリベート着服、ペッパーランチ店長の女性強姦事件、マクドナルドのサラダのラベル張替え、ローソンの使用期限切れ食材の利用等、数え上げれば切がないほど続発した。これらの事件の大半は従業員の内部告発が発覚の端緒であり、今後の企業経営では「内部告発は当然」とする考え方が必要である。「判らなければ良い。どこでもやっていること。」という感覚は通用しないことを肝に銘じていただきたい。
  1年の世相を漢字1問字で表す2007年「今年の漢字」が12月12日「偽」に決まったことと、無縁では無さそうである。

5. フランチャイズ協会「セーフテイステーション」活動を強化

 (社)日本フランチャイズチェーン協会は,加盟社の店舗を防犯拠点として、地域の安全・安心に貢献する「セイフティステーション(SS)」活動を一段と拡充する。従来、コンビニの全加盟社の取り組みであったものを、6月からコンビニ以外の小売り、外食、サービスにも広げる。高齢化や世帯人員の減少など社会構造が変化し、地域の防犯や助け合いの態勢が弱まる中、社会貢献の一環として取り組む。各店ではゾウのキャラクターを使った統一のポスターを掲げて周知する。
  SS活動は警察や行政と連携して地域の安全・安心に貢献しようと、2005年10月から協会に加盟する13のコンビニチェーン4万1千店で開始し、スタート半年間で通報は3万件超、女性や子供の駆け込みは5千件以上を数える。成果が着実に上がっていることから、外食チェーンなど協会の多業態に参加の輪を広げた。(日経MJ、5月23日)

Ⅱ サービス業界の動き

1. 学習塾の再編・統合進む

 教育問題への関心の高まりは、学習塾業界にも影響が及んだ。 通信教育最大手のベネッセコーポレーションは5月18日、東証1部上場で学習塾大手の東京個別指導学院のTOBを実施すると発表した。買収額は最大で127億円強となる見込みであり、東京個別指導学院も、同日TOBに賛同すると発表した。ベネッセはTOBにより、東京個別指導学院の株式を発行済み株式の51.5%を買い付けることにした。ベネネッセは、学習塾事業を通信教育に次ぐ主力事業と位置づけている。
 学習研究社は九州で学習塾を運営する照和(北九州市)を買収した。学研は東北地域の「あすなろ学園」、関東地域の「桐杏学園などを買収し、受験指導事業の全国展開を進めている。また兵庫県の進学塾「ホットライン」(三田市)を買収して、関西での塾ビジネスの拠点とする。
  また「タートル先生」のブランドで知られる家庭教師派遣大手のタートルスタディスタッフ(東京・新宿)を買収した。学研はタートルを傘下におさめることで受験関連事業を強化、自社の教材出版事業との相乗効果を狙う。
 首都圏で「城南予備校」を運営する城南進学研究社は、小学生から高卒者を対象にした個別指導教室「Covez」の展開を加速する。
 予備校業界では数十人や百人単位の受講生に対し、科目ごとに講師一人が教える集団指導型が不振となり、個別指導事業を強化するものである。
  学習塾のフランチャイズ最大手の明光ネットワークジャパンは10月17日、ベネッセコーポレーションが発行済み株式数の14.69%を取得し、第2位の株主になったと発表した。
 矢野経済研究所(東京・中野)によると、2006年度の学習塾・予備校の市場規模は9550億円で、4年連続減少している。
  教育問題に対する世論の高まりと予備校・学習塾の市場規模縮小を背景に、ベネッセや学研が学習塾事業の強化、個別塾への傾斜が読み取れる。

2. サービス業の伸び率下がる

 (社)日本フランチャイズチェーン協会が発表した2006年度のフランチャイズ統計によれば、サービス業はチェーン数は16、店舗数は約1千店舗増加したが、肝心の売上高は前年比0.3%の減少となった。
 また、日経MJがサービス業47業種を対象に実施した2007年版(06年8月~07年7月)の「第25回サービス業総合調査」によれば全体の売上高は4.9%と伸びたが、伸び率は前回調査より1.2%鈍化した。
 成熟化した日本経済で、一番伸びが期待される分野での伸び率低下は、やはり景気上昇に対する懸念、生活防衛が先にたったのかと思われる。しかし、長期的観点からすれば、個人向け、ビジネス向けサービス業は今後も伸び続けるだものと思う。

3. 複合カフェの伸び止まり、難民の言葉に泣く

 複合カフェ業界は05年版の「第24回サービス業調査」(日経MJ)によれば、前年対比59.6%と過去最高の伸び率を示したが、06年版によれば15.3%の伸び率となった。前年の伸び率がい異常に高いだけに、目立つ数字となった。次年度の見通しは11.5%と更に低い伸びを見込んでいる。
 複合カフェの一方の旗頭であったアプレシオは07年3月中間期の連結決算は、最終損益が5億7千万円の赤字であった。女性層の取り込みを狙った都内の新店舗が不振だったほか、収益が低迷する既存店4店で減損損失が発生した。
 アプレシオはこの中間決算を受けて、中古書店や複合カフェを運営するテイツーと業務提携することで、一旦基本合意し、「テイツーからの出資も協議する」としていたが、その後他の系列のファンドの資金を受け入れた。アプレシオ等上位各社の苦境は「業種に成長イメージを消し、フランチャイズの募集難と言う形で他社にも影を落としている」と業界関係者は指摘する。(日経MJ8月10日)
   また民放やNHKが、日雇い仕事をしながらネットカフェで長期間寝泊りする「ネットカフェ難民」という言葉を使い出して、一挙に複合カフェに対する否定的意見が現れ、厚生労働省は初の実態調査に乗り出した。その調査によれば(日経新聞夕刊8月28日)、全国で推計5千4百人にのぼり、半数が日雇い派遣やパートなど非正規雇用だったほか、40%は失業者や就職活動をしていない無業者だった。
 実態は良く判らなかったが、今回の調査では、ネットカフェを週3回以上利用する「住居喪失不安定就労者」をネットカフェ難民と定義した。後日談がある。このネットカフェ難民は「2007年ユーキャン新語・流行語大賞」に選ばれ、「ネットカフェ難民」の著作がある川崎昌平氏が受賞した。
   この言葉の流行も複合カフェには痛かった。日本複合カフェ協会(会長・加藤博彦氏)が、この用語に対してに対し9月上旬に「私たちは大切なお客様を決して?難民?と呼びません」と抗議、声明を発表したが、既にタイミングを失っていた。

4. 女性専用フィットネスが活況

 手軽な女性専用フィットネスとして人気のサーキットトレーニング。45カ国に進出する最大手の米カーブスインターナショナルは、日本ではカーブズジャパンを通して326店を展開する。創業者兼CEOのゲイリー・ヘイブン氏は「手軽さが日本女性のニーズをつかんだ」と話した。(日経MJ1月12日)
 アルペンが初めてフランチャイズ展開する女性向け小型フィットネスクラブ「アルペンクイックフィットネス」は5年間で5千店舗を展開する計画である。 加盟金や初期投資を競合より約4割安く設定し、FCオーナーを募りやすくして、主力のスポーツ専門店に次ぐ、収益の柱に育てる。(日経MJ1月15日)
 1回30分だけ運動する手軽なフィットネスクラブが増えている。「サーキットトレーニング」と呼ばれる形態で、店舗は百平方㍍と小型である。買い物や仕事帰りに通いやすい駅前などの立地に出店し、顧客は女性限定が多いのが特徴である。手軽さや気安さが受け、幅広い年齢層に浸透しつつある。(日経2月20日)

5. 英会話教室最大手NOVA破産、ジコミュニケーションが事業承継

 英会話教室最大手のNOVAが10月下旬に会社更生法を申請したが、保全管理人は11月6日にジー・コミュニケーション(名古屋市、稲吉正樹会長兼社長)に事業を営業譲渡すると発表した。ジー社の子会社(ジー・エデュケーション)がNOVAから30教室を譲り受けて、授業を再開し、当面2百教室を目指すとしている。経営破綻の直前に約6百70あった教室は大幅に減り、譲渡後,NOVA本体は清算される。(日経新聞・11月7日)
  講師や従業員の処遇については、保全管理人は「希望する人は原則すべて採用する。従業員の未払い賃金は国の立替え制度に基づき1部を支給する」としている。(日経新聞・11月7日)
 日経新聞・11月9日の「NOVA清算」下では、英会話教室の市場性を次のようにまとめている。「1990年代以降、右肩上がりで成長してきた語学教室の市場規模は2003年度をピークに減少に転じている。市場動向に大きな影響を及ぼしたのが国の教育訓練給付制度だ。厚生労働省が98年に始めた同制度は当初、最高で受講料の80%を支給し生徒数増加を牽引した。しかし、03年から支給額が最高40%に半減すると、歩調を合わせるように語学教室の売上高も減少に転じた。支給額は今年十月から20%と更に圧縮された。」
 また日経新聞11月30日では、「破産手続き中の英会話教室最大手NOVAの負債総額が、11月26日の破産手続き開始時点で約855億円に上ることが29日分かった。負債のうち、受講生が前払いした受講料が570億円」と報じた。

Ⅲ 小売業界の動き

1. コンビニ・ Aタイプ店の減少

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は、自著の「商売の創造」の中で次のように述べている。
  「海外のセブンーイレブンでは、本部が物件を開発し、そこでフランチャイジーを募集して、加盟店になってもらうのが一般的です(Cタイプ)。日本にもそうした形はありますが、むしろ、既存の小売業の人にフランチャイジーになっていただくというやり方の方が主流になっています(Aタイプ)。例えば街の酒屋さんとフランチャイズ契約を結ぶというようなやり方は、日本においても、私たちがやるまでは、ほとんど見られなかったチェーンの形態です。いま日本ではそういうことがあたりまえのように考えられていますが、世界的には、いまでもCタイプが主流で,Aタイプは殆どみられません」
 コンビニにおける店舗運営形態はA・B・Cの契約タイプと、本部が直接運営する直営店、この4つのタイプに分かれる。
 月刊コンビニ11月号の記事によれば、年々ファミリーマートを除くコンビニ各社のAタイプ店は減少している。(セブンーイレブンは持株会社に移行して詳細不明につき除く)

契約タイプ別店舗構成比(月刊コンビニ11月号、佐々木文博氏の論文より)
 
2005年2月期
2006年 2月期
2007 年2月期
  直営 直営 直営
ローソン
51.6%
44.1%
4.3%
47.2%
47.9%
4.9%
43.5%
51.0%
5.5%
ファミリーマート
51.0%
44.0%
4.8%
53.3%
41.3%
5.4%;
57.1%
40.5%
5.5%
サークルK
46.0%
43.2%
10.7%
42.7%
45.0%
12.3%
38.0%
47.7%
14.0%
サンクス
48.1%
45.7%
6.2%
46.0%
46.3%
7.7%
42.3%
49.1%
8.5%
(ローソン、サンクスのA型にはB型も含む)

 表を見れば明らかな通り、ファミリーマートを除き、ローソン、サークルK、サンクスはAタイプが減少すると共に、Cタイプと直営店が毎年増加傾向にある。コンビニは鈴木氏の述べられる通り、FCシステムとしては、本来Aタイプ加盟店を軸に構成されてきた。しかし構成比はAタイプ店の減少、Cタイプと直営店舗の増加という顕著な傾向が見られる。 コンビニはAタイプを中心とした出店が、その後のコンビニの成長に大きく寄与した。そして後から加盟したオーナーの目標店となっていたことは、本部にとっても、地域を強化するためにも大きな財産であった。
  Cタイプの投資額は小さく、自己資金だけでCタイプ店として開店できた。Cタイプが増えるにつれて、本部の施策の徹底度が減少してきたように感ずるという識者がいる。即ち、Aタイプのオーナーに比較すると、Cタイプのオーナーには独立した経営者であるととの自覚が不足している人が多いという意見である。
 FCシステムは今更言うまでもなく、本部と加盟店の双方が独立の事業者として契約を結び成立する事業であり、一方の加盟店の性格が変われば、当然、本部全体の、マネジメントを変更しなければならない。本部の意識改革が思い切って変革されないと、明るい明日はない。

2. ローソンが九九プラスに20%出資

 ローソンは2月28日に、生鮮コンビニを運営する九九プラスと業務・資本提携すると発表した。ローソンが20%を出資し、将来は子会社化を検討するほか、店舗運営のなども一体化する。生鮮コンビニ事業を強化したいローソンと業績テコ入れを狙う九九プラスの思惑が一致した。コンビニ市場が伸び悩む中、業界再編の機運が高まりそうだ。(日経新聞、3月1日)
 それに先立って、九九プラスの業績悪化が伝えられていた。例えば、07年3月期で、直営を中心に全店の1割に当る92店を閉鎖する(日経MJ1月22日) また、2007年3月期の連結最終損益が9億円の赤字になりそうだと発表した。(日経新聞、1月19日)
  業績が悪化する九九プラスをローソンが資金面、運営面で支援し、かつローソンも生鮮食品コンビニを強化したいとの思惑が一致したものと思われる。
  ローソンと九九プラスとの提携は、コンビニ業界に大きな波紋をもたらし、知り合いのコンビニオーナーからは「晴天の霹靂」という言葉を聞いた。既存コンビニにとっては「天敵」と思われてきた、九九プラスとローソンが提携するとは夢にも思わなかったそうである。
 話題のみが先行して、その後1年近く経過するが、業務提携・資本提携の成果は具体的には見えない。地下で静かに進行して、来年度にも大きな変革が現れるのであろうか?

3. 電子マネー市場が急速拡大

 電子マネー市場が急拡大した1年であった。鉄道系と流通系の新顔が今春登場し、11月末時点の主要各社の発行枚数は7千万枚を超え、前年の2倍以上になった。中でも利用が多いのはコンビニで、国内最大のコンビニ網を抱えるセブン&アイ・ホールディングスの電子マネー「nanako」が買い物決済件数で、首位となり、各社の顧客争奪戦も激しくなった。(日経新聞、7月17日)

前払い方式の主要電子マネーの普及状況(日経MJ、12月9日)
 
エディ
スイカ
パスモ
ナナコ
ワオン
イコカ
運営主体 ソニー系 東日本旅客鉄道系 東京急行電鉄など セブン&アイ・ホールディングス イオン 西日本旅客鉄道
発行枚数(万枚)
3,520
1、953
621
517
190
332
利用できる店舗数
70,000
26,240
13,926
12,700
5,500
月間決済件数(万件)
2,250
1,883
304
3,000
非公表
43.4

 2006年6月号の月刊コンビニの第2回コンビニ・オーナー世論調査でも、電子マネーに対する期待は大きかった。しかし、結果として、電子マネーの普及がコンビニの売上高を押し上げる力はなかったようであるが、店舗オペレーションの簡素化や、顧客の固定化には力を発揮したものと思われる。

4. TSUTAYAの加盟店増加策

 AV(音響・映像)ソフトレンタル最大手のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の加盟店拡大策が目だってきている。
 CCCは09年度までに売上高を06年度に比べて4割増しの3千億円に引き上げる計画をまとめた。出店に意欲的なフランチャイズ加盟店に優遇策を講じて、年間出店数を06年度比2.7倍の125店に増やし、09年度までに1500店超の店舗網を構築する。
 有力なFC企業が加盟する「1%クラブ」会員に対して出店条件の優遇策を拡充する。CDやDVDなど貸出件数に応じてメーカーに手数料を支払う出来高払い調達を活用、新規出店時にかかる投資額を軽減する。前年度は2千万円かかっていたが11月から1千万円に半減、さらに今年度中にゼロにすることを目指す。初期投資額を抑えてFC企業が出店しやすくする狙いで、販売用CD・DVDの仕入れ値や店舗の陳列棚などの設備投資も優遇する。これにより1%クラブ加盟企業による総出店数を前年度の20店舗から大幅に増やす。(日経MJ、11月28日)
  中四国でショッピングセンターを展開するフジはTSUTAYAとFC契約を結び、「バッハ書店」「メディアバッハ」の名称で36店舗を展開しているが、統廃合を含めて検討し、残った店舗については来年9月までに名称をTSUTAYAに変更する予定である。(日経MJ、10月1日)
  TSUTAYAは多店舗化と同時に、メガフランチィジー化を支援する。

5. ブックオフの挑戦

 坂本元会長の一連の不祥事を受けて、6月23日に株主総会を開いて、佐藤弘志執行役員(36)の社長就任を正式に決め、前社長の橋本真由美氏(58)は代表権のない会長に就いた。
 坂本氏が退いた後も、ブックオフは成長を維持するために、新しい戦略を次々と打ち出している。
  まず、2009年3月期から、首都圏や政令指定都市の主要駅前など都心部への新規出店を本格化する。直営店の2~3割に当る約10店を都心部に出す計画である。出店コストはかさむものの、地方都市や郊外部の店舗に比べ単位面積当たりの売上高が多いため、経営効率は高くなる。(日経新聞、11月22日)
 また海外出店を加速する。現在9店舗ある在留日本人向けの和書店に加え、今秋から洋書専門店を開始し5年後に30店体制を目指す。洋書専門の1号店はパリ市内に9月に開設する。(日経新聞、8月15日)
 また、新刊と中古書籍の通販サイト「ブックオフオンライン」を開設した。新刊書籍を販売するのは始めてである。CDやDVD、ゲームソフトでも新品と中古をそろえ、消費者は一つのサイトで商品を売買できる。2008年3月期に12億円の売上高を見込む。

Ⅳ 飲食店業界の動き

1. 不二屋、山崎パンの傘下で再出発

 1月10日に不二屋埼玉工場で、昨年11月に賞味期限切れの牛乳を使ったシュークリーム2千個を製造し、一都九県に販売していやことが判明した。その後様々な不祥事が判明して、不二屋はスーパー、百貨店、コンビニから撤退を迫られ、最終的には全工場の生産停止、フランチャイズ店の営業中止へ追い込まれた。
 不二屋の独自再生は難しくなり、パンメーカー最大手の山崎製パンが不二屋に35%を出資して傘下に収め、代表取締役を含む半数の取締役を派遣する事などを骨子とした資本・業務提携を発表した。1910年の創業以来百年近い歴史を持つ不二屋は品質問題を端緒に、山崎製パンによる資本増強と半数の経営陣を受け入れ同グループの会社として再出発する。(日経新聞、3月27日)

2. 外食のM&A加速

 吉野家ホールディングスは大証2部上場のステーキ店チェーン最大手どん(旧フォルクス)を買収することで同社と大筋で合意した。
 どんは昨春,元ダイエー系の旧フォルクスと合併し、「ステーキのどん」「フォルクス」など約200店を運営していたが、07年8月中間期に不採算店の閉鎖などで5億5千万円の債務超過に陥り、増資引き受け先を探していた。(日研新聞12月12日)
  外食産業の共通の課題として、少子高齢化による国内市場の縮小で、自力による規模拡大が難しい。かつ高度成長期の発展を担った創業経営者の高齢化などで後継者難問題も浮上している。今後、外食企業のM&Aが加速すると見られる。(日経新聞、12月12日) 外食業界の最近の再編の主な動き

2007年3月
ゼンショー、サンデーサンを子会社化、カッパクリエイト、 あきんどスシローに資本参加
5月
ジー・コミュニケーション,焼肉屋さかいをTOBで子会社化
8月
吉野家HD、ラーメン一番本部から「びっくりラーメン」の事業譲受を発表
10月
ドトールコーヒーと日本レストランシステムが経営統合

3. マクドナルドの方針転換・FC主体へ

 日本マクドナルドホールディングスは全国に約3800店ある店舗の運営形態を変更すると発表した。現在7対3の直営店とFC店の比率を、直営店をFCオーナーに譲渡するとか新規に数十店から百店単位で経営できる大規模オーナーを開拓する等で、5年後を目処に3対7に逆転させる。直営店の比率を下げることで新メニュー開発や効率的な食材供給体制の整備など本部業務に集中し、収益力の改善を目指す。(日経新聞、3月16日)
 アメリカを始め、全世界でマクドナルドの直営、FC店比率は3対7であり、日本のみが、世界の標準から外れていた。世界標準に戻すということである。
 筆者は95年に故藤田田社長に「何故、日本マクドナルドは直営店に拘るのか?」と質問したことがある。藤田田氏は、独特の口癖で「こんなに儲かるビジネスを他人にやらせる理由が無い」と一蹴された。
 しかし、時代は変わった。日本マクドナルドは06年12月期に5年振りに全店売上高が過去最高を更新した。しかし、肝心の利益は約57億円で99年12月期の5分の1である。当時と比べて人件費で百億円、食材費の上昇で百億円のコストが急増している。
 マクドナルドが30年以上に亘り続けてきた直営店主義を転向したのは、こうした環境の変化とアメリカマクドナルドの意向に左右されたのであろう。

4. 外食既存店伸びる、外食市場に底入れ感、しかし

 低迷していた外食産業に回復のきざしが出てきた。日本フードサービス協会のまとめによれば、1月から9月まで(除く7月)の外食の既存店の売上高(120社)はファーストフードが牽引し、前年同月に比較して2%程度プラスになった。既存店売上高の増加を支えているのは全体の客数の伸びである。
 特にマクドナルド、吉野家等和洋のファーストフードが牽引役となり、外食全体の伸びを引っ張り上げている。ファミリーレストランや居酒屋は構造的な問題を抱え低迷している。(日経新聞、4月25日)
  また外食産業総合調査研究センターがまとめた2006年の飲食店の売上高は2年連続で上向くなど「景気に回復により、全体として底入れしつつある」としている。
 しかし、10月の既存店売上高(日本フードサービス協会)は、前年同月比2.1%減少となり、再び暗雲が漂いだした。低迷が続くファミリーレストランや居酒屋だけではなく、牽引役だったファーストフードの伸び率も鈍った。食品、食材の値上げやガソリン高騰などを受け、外食を控えるムードがひろがりつつある。飲酒運転の取締強化の影響でパブ・居酒屋は5.9%減と19カ月連続の前年割れとなった。(日経新聞、11月27日)

5. 原材料の値上げ続く

 原材料の高等を理由に食品メーカーの製品値上げが続いており、外食にもその影響がジワジワと響いている。
 100%果汁、コーヒー、大豆、食用油、マヨネーズ、小麦粉等食材価格が原油高騰等を理由に値上げに動き、外食の原材料価格も上昇し、外食業の経営を圧迫している。

6. 外食値上げに動く

すかいらーくが主要店舗のほぼ全商品で一律10円値上げした。日本マクドナルドも地域別価格の導入を謳い文句に、実質90%の店舗で値上げに動いた。
 食材価格と人件費の上昇が理由で、他社に広がる可能性がある。消費者に受け入れられるかどうかは不明である。
 コーヒー豆の世界的な価格上昇を受けて、スターバックスコーヒージャパン、タリーズコーヒージャパンは値上げに踏み切った。

7. マクドナルド地域別価格導入

 日本マクドナルドHDは6月20日から地域別価格を導入した。アルバイトの時給の格差や、家賃の格差から地域別価格の導入には強い関心を示す外食企業が多い。特にモスフード,KFC、吉野家が高い関心を示している。(日経新聞、6月21日)
 カレーチェーンのココ壱番屋が8月10日、地域別価格を導入すると発表した。まず9月1日から東京23区内や大阪都心部などの106店で50円値上げする。また9月1日から全店同時にトッピング商品のチーズの価格を30円値上げすることにした。(日経新聞、8月11日)
  日経MJ(8月27日)の調査によれば、日本マクドナルドの値上げした地域の店舗数は3,515店(91.5%)に達し、据え置きは7県の197店、値下げは5県(130店)(3.4%)に過ぎない。これは、地域別価格に名前を借りた大幅な値上げ以外の何物でもないのではないか。マクドナルドのしたたかな「ユダヤの商法」は、形を変えて生き続けていると言うべきか?

本文の無断引用は禁止いたします