フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

協会設立35周年記念「パネル討論会」を紹介する

 

(社)日本フランチャイズチェーン協会(以下JFA)は1972(昭和47)年に設立されて、35周年を迎えた。
 08年1月10日に賀詞交換会と35周年記念が行われた。記念行事の一つとして、JFAの会長、副会長(3名)によるパネル討論会が行われた。会長、副会長はいずれも一流フランチャイズ企業のトップであり、かつ現代のフランチャイズ業界を代表する論客でもあり、極めて聞き応えのある内容であった。
 例年、FC市場レポートは「2008年フランチャイズ業界を展望する」として、当該年度のフランチャイズ業界の予測を行う慣わしがあったが、今年は予定を変更して、1月号は「パネル討論会」を掲載し、2月号で「08年フランチャイズ業界を展望する」に切り替えることにしたのでご寛容いただきたい。
 また、パネル討論会の記録も十分な余裕もなく、漠然と各社トップの方針を聞く程度の感覚で参加したため、十分な記録用紙もなく、多分7割程度しか収録できていないと思う。しかし、完全な収録を待つよりも、参加できなかった方のために7割の内容でも、先にお伝えした方が有意義であると考え、敢えて「35周年記念パネル討論会」をお伝えする。

 詳細な内容をご希望の向きは、「フランチャイズエイジ3月号」(3月1日発刊)、「フランジャ44号」(2月15日発刊)を購入して、是非精読いただきたい。

 なお、パネル討論会のテーマ及びそのメンバーは、次に紹介する。

● コーディネーター
 為定 明雄氏 日経MJ編集長
● パネリスト
  JFA会長  加藤 充氏 (株)ユニバーサルホーム代表取締役
  JFA副会長・外食部会長 桜田 厚氏 
                  (株)モスフードサービス代表取締役 CEO
  JFA副会長・CVS部会長 山口 俊郎氏
                 (株)セブンーイレブン・ジャパン代表取締役 COO
  JFA副会長・小売・サービス部会長  住野 公一氏
                 (株)オートバックスセブン 代表取締役  CEO
● テーマ 「JFA35年の軌跡と今後の方向」

【司会】 フランチャイズ協会が発足したのは1972(昭和47)年であり、日本としては節目の年であった。1964(昭和39)年東京オリンピック、1970(昭和45)年大阪万博、1972(昭和47)年札幌オリンピック開催の年であり、新しいビジネスが次々と生まれ出た時代である。ファーストフード、ファミリーレストラン、日経流通新聞の発刊も1971(昭和46)年であり、消費社会が発展の基礎を作った時代である。
まず、加藤会長より「わが国のフランチャイズの歴史・経緯」について述べてもらいたい。
【加藤】1. 日本のフランチャイズ・ビジネスの始まり
  1957(昭和32)年 コカコーラ、ペプシコーラのボトラー設立開始
  1963(昭和38)年 ダスキン、不二屋のフランチャイズ化の開始
  1972(昭和47)年 日本フランチャイズチェーン協会設立、正会員                 12社でスタート   

 スタートの頃は外食産業が主体であったが、間もなくコンビニエンス・ストアーのフランチャイズが爆発的に拡大した。

2. アメリカのフランチャイズに学ぶ

 わが国は、多くのものをアメリカのフランチャイズに学んだ。アメリカの歴史はシンガーミシン(1860年頃 )の代理店制度、テリトリー権との関係が強い。
1950年頃 マクドナルド、ケンタッキー・フライド・チキンが成功を売るシステムとしてビジネス・フォーマット型フランチャイズを確立した。
その、新しいビジネス・フォーマット型フランチャイズの要件は次の4点に集約できる。
① 本部は加盟店に対して商標、ノウハウを付与、対価としてロイヤルティを徴収する。
② 商品、オペレーションの基準を定める。
③ 加盟店を指導する。
④ 両当事者は独立した事業者である。
この結果、大量生産、大量消費の消費社会をもたらした。

 日本のフランチャイズ・ビジネスの創業者たちは、単なるアメリカ追随ではなく、日本の社会に適合するシステムを考案した。これがフランチャイズ・システムの隆盛に繋がった。しかし、失敗も沢山あった。
3. フランチャイズ・ビジネスが産業界・社会に与えた影響
家業的経営から組織化への変化を与えた。合理的・革新的ビジネスへの転換が図られた。店舗展開が速いため、スピードの早い、時間節約的ビジネスが時代のニーズにマッチした。
4. フランチャイズ・ビジネスの推移
    協会発足時の正会員社は12社      売上高 1400億円
   1977年     334チェーン   売上高   2兆円
   1992年    700チェーン    売上高  10兆円
   2006年   1200チェーン    売上高 約20兆円

【司会】 では各社のフランチャイズの特質をまとめて頂きたい。
【住野(オートバックスセブン代表取締役)】
1. わが社はビジネス・フォーマット型と商品供給の混合型フランチャイズである。元々、わが社は自動車部品会社であり、その頃(昭和40年代)はタイヤ、バッテリー、オイル、カーオーデイオ、アクセサリーは別々の会社で売っていた。そこで、車に関するものはすべて1店でまかなえる店(直営1号店昭和49年)を創めた。商品供給と看板使用をセットにした。その結果がフランチャイズであった。わが社の取扱い商品の幅は広い。大きな商品から小さな商品まで揃っている。それに取り付け等のサービスを付加した。
エリアによって気候が変わるため、商品構成に変化がある。加盟法人に併せて、緩やかなパッケージにした。
加盟店の意欲が成功、失敗の要因であると分析した。そこで、アメリカのSMIを導入して、目標を絵に描いたり、グラフにしたりしてモチベーション・アップを図ることが加盟の条件にした。
しかし、全国400店を超えると、出店の余地も少なくなり、モチベーション・アップも程ほどにしている。
2. アメリカに学んだもの
 アメリカからはかなり多くのものを学んだ。日本と違う点は、アメリカの自動車は下駄代わり、走れば良いとされる文化であった。
日本ではむしろ、同じ車でも「差」を付ける、つまりアクセサリー需要が大きかった。フランチャイズ・システムはアメリカから学んだ。

【司会】 では、セブンーイレブンについて述べてもらいたい。
【山口(セブンーイレブン・ジャパン代表取締役)】 わが社の1号店は1974(昭和49)年開業であり、今でも有力店として稼動している。
アメリカでは土地・建物・什器は会社が用意して、加盟店を募集してオーナーとする。日本でもC型として昔からあったが、基本は土地・建物を自前で用意するA型である。今でも、当社は7~8割の店舗がAタイプである。100店舗達成の時に創業者が涙したと伝えられているが、日本式のAタイプ重視で、コンビニ経営が成り立つ目処がついたのであろう。
私(山口氏)がヨークセブン(セブンーイレブン・ジャパンの前身)に入社した昭和52年頃は、150店舗位で、電話発注をしていた。成功の要因をまとめれば、次の4点に要約できる。
①第1次総合情報システムの導入(1978年)
電話発注では問屋が対応できなくなり、バーコードを読み取って電話で発注した。これがなければ、数百店で止まったと思う。オーナーの説得が大変な仕事であったが、仕入れベースのデータを毎日把握できて、それが生かせた点は大きい。
②デイリー商品(日配食品)の企画力
③徹底した社員教育、毎週月曜日は全国のマネージヤー会議、火曜日はOFC(スーパーバイザー)会議、創業者によるダイレクト・コミュニケーションが威力を発揮し、現在も続いている。
④徹底したドミナント政策
物流の合理化、1日に1700万人の顧客が来店される。7~8割のお客様は顔見知りである。

【司会】 では、次にモスフードサービスについて述べていただきたい。
【桜田(モスフードサービス代表取締役)】 成功の要因をまとめれば、次の4点に集約できる。
① 何故、飲食の道を選ぶのか?経営理念(チェーン理念)の共有化が出来る人を選んだ。加盟できた人は100人に1人で1%の確率であった。 しかし、当初は知り合いとかが加盟され、50店位までは、安易な加盟を認めたため、途中で脱落された方も多かった。 しかし、敢えて数を追わない、価値観を共有できる方に限定したことが、今日の繁栄につながっている。
② 商品の差別化。洋風化されたハンバーガーを和風化した。テリ焼きバーガー(味噌と醤油味)を昭和47年に発売したが、当初は従業員も戸惑ったが、半年後に積極的にお勧めして好調な商品となった。 立地の差別化。むしろ資金がなかったため、二等立地、路地裏に出店し、他のハンバーガー店と差別化になった。
③小型店舗 
省投資、省人数、初期投資が600万円位で、投下資本回転率は3回転に及んだ。
④共栄会の存在    
共栄会の存在がフランチャイズを促進した。オーナー会は圧力団体になるとする意見も外部にあったが、あえて7年後に組織化した。これが成功の要因である。

【司会】 作り置きはしないのは、当初からの方針か?
【桜田】 「美味しいものを目の前で作ることが飲食店の命」と思ってやってきた。
しかし、省投資は大きく変わった。小さな店では生産性が上がらず、売上高に限界が発生した。

【司会】 では、住宅のFCについて伺いたい。
【加藤(ユニバーサルホーム代表取締役)】 住宅FCは馴染みが薄いと思う。住宅フランチャイズを思いついた原因は、日本の住宅コストは欧米の4倍である。日本は平均25年で建てかえるが、欧米では50年は持つ。更にコストは2倍かかるので、トータルコストは4倍になってしまう。
 本来、日本の住宅でも耐用年数は長い。リフォームまで考えると、住宅産業は地域蜜着産業であり、住宅は極めてフランチャイズに適した産業である。 営業戦略として、価格の明確化を図った。
モデルハウスも生活道路沿いに40坪程度のものを作り、現実的なモデルハウスを見てもらった。 FCの組織は増加しているが、苦戦している。理念、意欲、店長の行動力が重要である。わが社はFCの先駆者であるセブンーイレブンから多くのものを学んだ。

【司会】 バブルとその崩壊は影響力はあったか?
【加藤】 注文住宅はバブル景気もなかったし、バブル崩壊の影響もなかった。

【司会】 これから更に発展するための課題について語っていただきたい。
【山口】 少子高齢化、人口減少が併行して進んでいる地域がある。単身所帯、二人(夫婦、親と子供)所帯の増加は、中食の増加が期待されるが、現実には不透明感がただよっている。高齢化、人口減少は地域格差が大きい。  全体の消費量が減少している中で、どのようにするかが課題である。コンビニにとっては、既存店の活性化が最大の課題である。  
当社に関して言えば、公共料金の収納代行は2兆3,800億円で物販を超える金額となった。またATMは全店に配置済みであり、1日の平均の利用者の数は120人(1店)に達している。 既存店の売上高減少は客数減ではない。むしろ客数は増加している。買い上げ点数の減少が大きい。立地面ではスクラップ&ビルドを行う。売場面積40坪は広げないで、よりお客様のニーズにあった商品を開発する。 高齢化すると、地域の味になじむ。コンビニにとって便利さの追求が重要である。お客様に基本は接客とサービスを求めている。生き残りを掛けた競争である。 売上が上がらなくても利益が出る体性を作っている。しかし、売上と利益の双方を追求しなければいけない。

【司会】 セブンーイレブンが進めている、御用聞きは加盟店主の商才に掛かるのではないか?
【山口】 半径500メートルの商圏に6割の固定客がいる。
直営店よりもフランチャイズ店の方が地域蜜着型、つまりお客様を大事にすると言う点では、直営店の社員より加盟店のオーナー経営者の方が上である。従って、御用聞きもオーナーの方が適していると思う。

【司会】 食の世界でも人口減、高齢化は大きな転換点を与えると思いますが、モスフードの桜田社長よりお願いしたい。
【桜田】 人口減、高齢化に対する答えは模索している。機能的サービスを強化している。例えば、若い人が外へ出なくなったので、お届けサービスを展開しているが、それは大きな変革ではない。わが社が数あるハンバーガー・チェーンの中で選ばれた理由は商品設計にあった。はっきりと他社とは違う。過去にビックリするような商品を開発した。 高齢化はオーナーの平均年齢の上昇(現在59歳)が大きな問題点である。チェーンが伸び盛りであった70~80年代には、オーナーの平均年齢は40歳であり、19歳も高齢化した。後継者がいるオーナーについては問題はない。後継者のいないオーナーについては「店舗の買取り」等も進めなければならない。従業員の主体である、パート・アルバイトは圧倒的に主婦が多く、50~60歳代でも可能なオペレーションを考えている。

【司会】 オーナーと経営者の分離ということも、今後あり得るのではないか。
【桜田】 当然、今後発生する。将来にわたってのプログラムを使用している。後継者がいない場合は、オーナーのリタイヤーを進める必要がある。

【司会】 次に、住野社長に伺いたい。最近、車社会の転換点に立っている。新車の販売が25年振りの低迷した数字になっている。若い人が車に興味を持っていないといわれている。
【住野】 若者の車離れが進んでいる。昨年はガソリン価格の高騰、今年はCO2の問題等で、新車購入は減少している。わが社は「カー用品」の店から「トータルカーライフ店」に転換している。車に関するものは何でも揃う店、車検も取り扱う店に転換している。中古車中心に買取事業も進めている。価格査定に時間が掛かったが、価格査定のシステム(ソフト)が開発できた。
 200万円の中古車を買うならば、オートバックスなら150万円で提供して、浮いた50万円でカーナビ、椅子の張替えをやってもらえるようにしている。

【司会】 FC店の意識の転換はできているか?
【住野】 FC店も大変だが、自動車が売れない時代という認識は行き届いている。

【司会】 住宅FCの世界では、どうか?
【加藤】 住宅コストが上昇し、年金も含めて将来不安が非常に大きい。リフォームの需要はあるが、大変標準化しにくい分野である。所帯数は増加しても、新築住宅は増加しない。 コスト的には欧米のレベルに近づいた。建築後50年は耐えるようになった。建築価格も坪30万円まで下がった。 差別化商品も作っているが、中々加盟店は利用しようとしない傾向もある。FC加盟すれば、簡単に売上が上がると考えている人もいる。

【司会】 食のコンプライアンス、FC店のコンプライアンスについて伺いたい。
【山口】 「食の安心・安全」に対するご質問は、3年前の3倍に増えている。わが社は原材料のトレーサビリティは出来ているが、仕入れる前の生産者の段階まで踏み込まねばならない。
1万1千8百店あるFC店の教育は重要な問題である。OFCの訪店・調査、賞味期限切れがレジを通過する場合には警報が鳴る。しかし、お弁当、おにぎり、サンドイッチ等には反応しない。
【桜田】 食品メーカーが定めた内規で良いかどうか考え直す必要がある。バンズ48時間、3日目に入ると廃棄することになるが、どんどん廃棄して良いかどうか。「もったいない」「大事にする」という精神も必要ではないかと思う。
【住野】 わが社は自動車の整備事業を進めている。国が定めた認定事業であり、それを守ることがコンプライアンスになる。車検の記載間違いがあると営業停止処分を受ける。記録の不備を発見した場合は、自発的に陸運事務所へ届けでている。

【司会】 カー用品協会として、人手不足や環境問題にどのように対応しているか?
【住野】 人手不足問題には、いずれの企業も苦しんでいる。先日、桜田社長からあるカフェの話を聞いた。東京から離れた場所であるが、従業員の接客が良く、生き生きと働いていた。顧客満足の高さを褒められると、更に褒めてもらいたいと思い、より一層生き生きと働くようなったそうだ。今では、そのカフェで働きたい希望が多くて、順番待ちだそうである。ほめてもらうことを、モチベーションにする会社にしたい。環境問題も、ゴミとか資源、排気ガス、こういった面で年々厳しくなっている。
【山口】 環境問題には意を用いている。1㎡当たりのエネルギー使用量は23%減少している。床をセラミックにして蛍光灯の照度を減らしている。店舗の省エネには努力している。配送のドライバーには急ストップを掛けさせない運動もしている。
 また、食品の期限切れの廃棄がでるが、資源として活用している。廃棄食品の飼料化、堆肥化を進めている。食料品の自給率が40%を切っていることも念頭に置かなければならない。
【桜田】 生命に関わる危険があるものは、きちんと表示しなければならい。アレルギーの表示等には注意している。 また、食育、しつけにも注意している。当社はキッザニアで、子供さんのしつけをしている。親の言うことは聞かなくても、インストラクターの言うことは良く聞いてくれる。

【司会】 今後の協会活動の方向を加藤会長にまとめてもらいたい。
【加藤】 まず、環境問題が大きな課題である。環境問題には、更に協会として取り組む。
次に、情報開示をキチント行う。 最後に、コンプラインアスを徹底する。

【司会】 では、これで終了とします。
                                                    以   上

 冒頭申し上げた通り、この記録は決して十分なものではない。せいぜい、6~7割程度しか再現できていないし、中には誤った理解があるかも知れない。掲載された文言の責任は、すべてフランチャイズ研究所代表黒川が負うものであり、発言者の真意に沿わない部分もあるかも知れない。
 記録として完全なものは、フランチャイズ・エイジ3月号か、フランジャ44号に掲載される記事であり、この文章はそれまでの、つなぎ程度の意味しか持たないことを再度お断りします。
 また、35周年の記念席上配布された「JFA35周年史」に海江田専務理事の司会による、同じ会長、副会長による座談会が収録されている。これも極めて優れた記録であるので、是非両方の記事を読んで、フランチャイズ業界の共通の今日的課題を理解していただくよう、お願いしたい。

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