フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

法人・複数フランチャイジーの将来性

 今回のレポートは、去る3月12日、フランチャイズ・ショーの特別セミナー「法人・複数フランチャイジーの戦略に学ぶ」の第1部、筆者が行った基調講演「法人・複数フランチャイジーの将来性」の原稿を基礎にして、1部書き加えたものである。
 この内容は、(社)中小企業診断協会東京支部フランチャイズ研究会(西野公晴会長)の、「法人・複数フランチャイジー調査・研究部会」(杉本収部会長)が06年、07年の2年間に亘って実施した研究をベースにしたものである。
 但し、この基調講演の内容は、すべて筆者の責任であり、研究内容を引用させていただいているが、各種推定はすべて筆者の独断であることを事前にお断りしておく。

Ⅰ フランチャイズ・ビジネスの市場規模

 (社)日本フランチャイズチェーン協会の調査によれば、2006年度の日本のフランチャイズ・ビジネスの市場規模は下記の通りである。

 
チェーン数
増減
店舗数
前年比
売上高
前年比
総  計
1,194
48
235,440
100.4%
19兆6,035
101.1%
小売業
346
85,582
100.6%
12兆9,675
101.6%
(CVS)
35
43,087
100.3%
7兆4,583
100.3%
外食業
497
30
56,188
98.8%
4兆0750
100.4%
サービス業
351
16
93,670
101.2%
2兆5609
99.7%

 これをまとめれば、次のようになる。
全体のチェーン数、店舗数、売上高はいずれも微増である。
小売業は、ほぼ全体と同じ傾向であるが、売上高の伸びがやや高い。
CVSの売上高は、ほぼ横ばいである。
外食業は、店舗数は減少したが、売上高は微増である。
サービス業の店舗数は、やや伸びたが、売上高は微減である。
総じて言えば、2000年以降の伸び悩みが、最も深刻に現れた1年であった。

Ⅱ 法人・複数フランチャイジーが重要視される時代背景

1. 法人・複数フフフランチャイジーの定義

 今回、話題にしている「法人・複数フランチャイジー」を定義すれば、次のように区分できる。

  名   称 店舗数又は売上高 組織形態
個人フランチャイジー 1店舗のみの加盟者 個人、法人
法人・複数フランチャイジー 店舗数2~15店程度、若しくは
FC売上高1~15億円程度の加盟者
法人
メガフランチャイジー 店舗数30店舗以上、若しくは
FC部門売上高20億円以上の加盟者
法人
エリアフランチャイザー 店舗数は問わない。本部との間で
エリアフランチィズ契約を締結
法人

 単純に法人・複数フランチャイジーと呼べば、2~4までが対象となる。 しかし、今回我々が、「法人・複数フランチャイジー」として調査したのは2. の「2~15店舗程度」の複数フランチャイジーである。3. メガフランチィジーについては、既に「成功するメガフランチャイジー」(同友館)として出版しており、そこで、メガフランチャイジーを次のように定義している。

 メガフランチャイジーとは、加盟店部門の店舗数30店舗以上、もしくは売上高20億円以上のフランチャイズ加盟店を言う。

 幸い、この定義は広く社会から受け入れられ、「メガフランチャイジー」と言えば、上記の定義が一般的に用いられるようになった。
 では4. の「エリアフランチィザー」とは何か。日本ではエリアフランチィザー、エリアフランチャイジー、サブフランチャイジー等様々な名称が用いられているが、取りあえず、ここではエリアフランチィザーに統一して検討してみる。
 エリアフランチャイザーとは、フランチャイザー(本部)と事前に契約して、特定の地域において、一定期間内に、事前に定められた店舗数(もしくは店舗数は定めない)を、直営若しくはフランチャイジーの形で出店することを認める形態を指す。
 ここで、明らかな通り、エリアフランチィザーには、一般的なフランチャイジーとは異質な機能を有している。それは、加盟店開発機能と、スーパーバイザー機能であり、明らかに1.2..3.とは異質な存在であり、ミニ本部とも呼ぶべき機能を持ち、一律にフランチャイジーとして議論することはできない。
  日本においては、エリアフランチィザー制度はCVS業界、飲食業界で広く採用されているが、今回はエリアフランチャイザーは、フランチャイジーと区別して考える。
 ここまで述べると、2. 法人・複数フランチャイジーとは、1店舗フランチャイジーでもなく、メガフランチャイジーでも、エリアフランチャィザーでもない、複数出店者であることがわかる。

 法人・複数フランチャイジーとは、1店舗フランチャイジーでもなく、メガフランチャイジーでもなく、エリアフランチィザーでもない、2~15店舗程度、若しくは売上高1~15億円程度の複数店舗を展開するフランチャイジーである。

2. 法人、複数フランチャイジーが重視される理由

 「成功するメガフランチャイジー」では、109社のメガフランチャイジー及び予備軍に対してアンケート調査を行い、31社から回答を得てアンケート分析を行った。 メガフランチャイジーの会社数については、いろいろな調査があるが、筆者は、飲食業100社、オートバックス、ブックオフ、ハードオフ、TSUTAYA、学習塾、CVS等のメガフランチャイジーが100社、合計200社程度と推定している。
 日本におけるメガフランチャイジーはせいぜい200社程度と推計すると、メガフランチャイジーの市場占有率には限度がある。仮に1社40億円の平均売上高としても、メガフランチャイジー全体の売上高は8千億円程度であり、20兆円近い日本のフランチャイズ業界の4%程度の市場占有率と推定される。
 我々が、法人・複数フランチャイジーを調査するために06年度に本部調査を行った。(以下本部調査と略す)
 実施方法は、「日本のフランチャイズチェーン2006年」(商業界)掲載のフランチャイザーより、原則として、100店舗以上の加盟店を持つ142本部を抽出し、アンケート票を郵送し、回答を依頼した。回答数は31社(21.8%)である。ただし、1社は回答期限後の回答であったため、本部調査には含まれていない。
 本部調査の問2で「個人加盟者の増減について,貴チェーンではどのようにお感じでしょうか」という質問に対する回答は次のようであった。

図表 Ⅱ-2-1-1 個人加盟者の増減について(単数回答)

回 答 内 容 社  数 構 成 比
減少も増加もしていない。前と同じである。
14社
46.7%
個人加盟者は減少している。
11社
36.7%
むしろ増加している。
5社
16.7%
合      計
30社
100%

 「減少している」「減少も増加もしていない」と回答した企業数を合わせると8割を超える結果となった。
   翌年に当る2007年度は、団塊世代の定年(2007年問題)、景気の持ち直し等により求人倍率は1倍台に上がり、個人加盟者の減少は更に厳しくなったのではないかと推察している。
   このような採用難、求人難の中で、かってフランチャイジー募集の中心をなしてきた脱サラ、個人商店の業態転換が少なくなった。例えば、CVSでは、個人のC型(加盟金のみで加盟できるタイプ)希望者が減少して、「店舗は作ってもオーナーが集まらない」という声も聞く。
 このような状況の中で、法人・複数フランチャイジーに対する期待がFC本部から高まっている。また、地域の中小、中堅企業でも、現在の事業の枠の中での維持・存続、成長に対する不安があり、フランチャイズを選択肢に入れて検討する企業も増加している。
 最近の事業説明会の開催を見ていても、個人向け説明会は集まりが悪く、法人向け説明会は参加者が多い傾向が見られる。
  時代は個人加盟者中心の時代から、法人・複数フランチャイジー加盟主体へ転換しようとしている。

3. 法人・複数フランチャイジーに対する本部の意向

 フランチャイズ・ショーのセミナーも見逃せない重要なものである。今年のセミナーはオープニングセッション(無料)、フランチャイズ本部・新規ビジネス立上げセミナー3本(会費1万円)、特別セミナー(無料)、フランチャイズ加盟希望者向けセミナー12本(無料)の4本立てであった。
法人・複数フランチャイジーに対して、フランチャイズ本部はどのような意向を示しているのであろうか。
   06年度に行った本部調査から引用すれば、次のような本部の意向が伺える。

図表 Ⅱ-3-1-1  複数フランチャイジーに対する考え方(単数回答)

本 部 の 意 向 社 数 構成比
現在も認めているが、今後もより一層、複数出店を推奨していきたい
16社
53.3%
複数出店または1店加盟のどちらでもよい
13社
43.3%
現在は認めているが、今後は推奨しない方針である
1社
3.3%
現在は認めていないが、今後は推奨していきたい
0社
0%
現在は認めていなく今後も認めない方針である
0社
0%
合計
30社
100%

 即ち、「推奨しない」と答えた本部は僅か1社(3.3%)のみであり、積極、消極併せて97%の本部が法人・複数フランチャイジーに期待をにじましている。
次に、複数出店を推奨する肯定的な理由を尋ねてみた。(本部調査より)

図表 Ⅱ-3-1-2 複数出店を推奨する理由(複数回答)

複数出店を推奨する理由
社数
構成比
複数出店すれば、加盟店は店舗オペレーションに慣れ 一般的に生産性が高くなるから
19件
24.1%
複数出店すれば、加盟店が企業として成長することが可能であるから
19件
24.1%
複数出店すれば、安定した資金力を持ち、一時的な赤字にも耐えられるようになるから
14件
17.7%
単独オーナーより資金力や人材面に優れており、今後も出店可能だ
10件
12.7%
複数出店すれば、加盟店は仕事に習熟して、今後の本部の指導が軽減
8件
10.1%
オーナー数は一定限度限られていた方が、本部の意思の徹底が図れる
3件
3.8%
複数出店者の存在は,自チェーンのイメージアップにつながるから
3件
3.8%
生業的加盟店のみでは、当社の発展が期待できないから
1件
1.3%
その他
2件
2.5%
合計
79件
100%

 この回答を見ると、本部は複数出店者に対して、高い期待を述べている。「生産性が高くなる」19件、「企業として成長する」19件、「資金力を持ち、一時的赤字に耐えられる」14件、「資金、人材面で優れ、今後も出店可能」10件、「本部の指導が軽減できる」8件、「本部の意思の徹底」3件、「自チェーンのイメージアップにつながる」3件、「生業的加盟店のみでは、当社の発展が期待できないから」1件と、法人・複数フランチャイジーに対する期待と、自チェーンの都合の両面から期待されている。

 更に、法人・複数フランチャイジーに対する優遇策を聞いたところ、次の結果が出た。

図表 Ⅱ―3-1-3 複数出者に対する優遇策(単数回答)

複数出店者に対する優遇策 社数 構成比
何らかの優遇策を講じている
21社
80.8%
優遇策は講じていない
5社
19.2%
現在は講じていないが、将来的には検討する予定である
0社
0%
合計
26社
100%

 即ち、回答した本部の8割以上が、何らかの優遇策を講じているのであり、講じていない本部は19%程度であった。
 本部調査によれば、優遇策は次のようなものであった。

図表 Ⅱ-3-1-4 優遇策の内容(複数回答)

優 遇 内 容 件  数 構 成 比
加盟金を減額あるいは免除
13件
35.1%
優良物件の優先的な紹介
6件
16.2%
ロイヤルティの逓減
4件
10.8%
優良直営店の売却
4件
10.8%
保証金を減額あるいは免除
4件
10.8%
その他
4件
10.8%
有利な融資制度や保証制度を設けている
1件
2.7%
ダブルブランドの許可
1件
2.7%
合計
37件
100%

 優遇策の内容も実に豊富であり、如何にFC本部が法人・複数フランチャイジーを優遇し、その数を増やそうとしているかが伺える。FC本部にとって、法人・複数フランチャイジーが、いかに重要で、出店政策の柱に据えているかが理解できる。

Ⅲ 法人・複数フランチャイジーの将来性

1. 法人・複数フランチャイジーが台頭した歴史

 日本の本格的フランチャイズの歴史は1970年からである。70年と言えば大阪万博が開催された年であり、日本経済は高度成長の真っ只中にあった。
 複数出店が目立ってきたのは、第1次石油ショック後の75年ごろである。
「成功するメガフランチャイジー」の中で、第1世代メガフランチャイジーの台頭の時期として、吉野家が、加盟者は店舗の内装、外装、厨房機器のすべてを用意し、店長や従業員は吉野家から派遣する「業務委託システム」が1974年からスタートを切ったと述べている。
「1974(昭和49)年と言えば第1次石油ショックの年であり、高度経済成長が行き詰まり、巷に不況風が吹き始めた時である。吉野家はこの不況を逆手に利用して多店舗化を断行していった。これは不況によって投資の行き場を失った地主たち資産家が、吉野家の委託経営に注目したせいである。5千万円投資しても5年で元が取れる(当時)うまい話に、地主たちが飛びついたのである」(柴田書店刊「吉野家再建」より引用)
「この{委託経営システム}によって、資産家が吉野家の加盟店(店舗運営は吉野家が行う)になり、1社が多店舗を展開する原型ができたのであります。」(同友館「成功するメガフランチャジー」より引用)
 同じ頃、ケンタッキー・フライド・チキン社(以下KFCと略す)も多店舗化の道を模索していた。
KFC富田会長(当時)は「月刊食堂」で次のように述べている。
「オーナーが増えるとコントロールが難しくなる。管理費もかさむ。またKFCの理念を理解してもらうには、多数よりも少数の方が良いことは明らかである。もう一つの理由は、やはり事業として面白味は5店以上ないと十分出てこない。従業員の働く意欲もかきたてられ難い。これは最初から戦略としてやってきたのである」(山口康太著、桂林書房刊「ケンタッキー・フライド・チキンの奇跡」より引用)
「KFCは2006年現在、加盟社は69社で、フランチャイズ店は800店、1社平均12店となっている。」(同友館刊「成功するメガフランチャイジー」より引用)
 要するに第1世代のメガフランチャイジーを排出したフランチャイズ本部が、現在でも法人・複数フランチャイジーを多数排出している。
  しかし、本格的に法人・複数フランチャイジーが多く現れたのは80年代からであり、フランチャイズ本部、フランチャイジー双方に複数出店のメリットがあったのである。
我々は、07年度に法人・複数フランチャイジー16社の聞き取り調査を行い、その結果をまとめた。(以下法人・複数フランチャイジー調査と呼ぶ)

 法人・複数フランチャイジー調査でも、次のような興味ある回答が寄せられている。

図表 Ⅲ-1-1-1  加盟1号店の開業年月(単数回答)

開 業 年 会 社 数 構 成 比
1979年以前
1社
6.3%
1980~1990年
4社
25.0%
1991~2000年
4社 
25.0%
2001年以降
7社
43.7%
合計
16社
100.0%

 法人・複数フランチャイジーが多店舗化を図ったのは、第1世代のメガフランチャイジーより、やや遅れて1980年より今日までの約30年間にわたることが伺える。
 この調査によれば、特に2001年以降に急増しているところからすれば、本各的な法人・複数フランチャイジーが目立つようになったのは、2001年以降の最近の傾向であることが理解できる。

2. 法人・複数フランチャイジーの数の推定と市場シェアーに関する推定

 商業界刊「日本のフランチャイズチェーン2006年」に複数出店者の会社数を推定計算している記事がある。その記事の計算方法に則り、2006年度フランチャイズ統計から複数出店者の会社数を計算してみた。(詳細は省略する)
計算の結果のみを掲載すれば、下記の通りである。
フランチャイズ統計の直営店の店舗数   4万9,630店(21.1%)
       "       加盟店の店舗数  18万5,810店(78.9%)
この加盟店店舗数を、1店舗オーナーと複数出店オーナーに分解してみると、次のような数値になった。(仮説の上に仮説を重ねており、年度の違う数字を使用しているため、単なる叩き台的な意味しかないことを、お断りする)
 1店舗オーナー     5万7,320 店舗(人)
 複数出店オーナー   1万9,900社 店舗数 12万8,580店舗
但し、この複数出店オーナーとはⅠで述べた (法人・複数フランチャイジー+メガフランチャイジー+エリアフランチャイザー)の3社である。
先に、述べた通りメガフランチャイジーの会社数は、概ね200社程度である。 エリアフランチャイザーについては研究書もないため、不明であるが、仮に500社として計算してみる。(この根拠は全くない)
法人・複数フランチャイジーの数は
1万9,900社―200社(メガフランチャイジー)-500社(エリアフランチャイザー)=1万9,200社
仮に、1社年商3億円と仮定すれば 5兆7,600億円(市場シェアー 29.4%)
仮に、1社年商5億円と仮定すれば 9兆6,000億円(市場シェアー 49.0%)
となる。仮設の範囲を超えないが、法人・複数フランチャイジーのフランチャイズに占める市場シェアーは29.4%~49.0%と極めて大きな存在であることが判る。
 これは、メガフランチヤイジーやエリアフランチィザーに比較すれば、会社数が圧倒的に多いためであり(複数出店社に占める比率は実に96.5%に達するから)、市場シェアーは30%~50%程度と見積もることが可能である。
  しかも、フランチャイズ統計は、本部の経営する直営店舗数も含めているので、加盟店のみの計算になれば、更に高い数値になる。
 所詮、仮定計算なので、これ以上多くは述べないが、加盟店の中で市場シェアーは50%程度と見ても大差あるまい。

3. メガフランチャイジーとの比較

 法人・複数フランチャイジーとメガフランチャイジーとを比較してみると、次のような差があることが判る。

図表 Ⅲ-3-1-1 メガフランチャイジーと法人・複数フランチャイジーとの比較

  メガフランチャイジー 法人・複数フランチャイジー
店舗数 30店舗以上 2~15店舗程度
売上高 20億円以上 1億円~15億円程度
会社数 200社程度 1万9,200社程度
総売上高 8,000億円程度 5兆7,600億円~9兆6,000億円
フランチャイズにおける市場シェアー 4%程度 29.4%~49.0%
店舗経営の特徴 ほぼフランチャイジーに特化しており、多角化で成功している事例は少ない 飲食業の自社ブランド開発を指向する者があり、複数店を展開している会社もある。
経営内容 株式公開している企業もあるが、優劣まちまちであり、複数業態を展開する場合は効率が悪いケースも中にはある 優劣まちまちであるが、ブランド数が少ないため比較的効率的経営と思われるケースもある。

(黒川作成)

 特記したいのは、法人・複数フランチャイジーの中には、オリジナルブランドの飲食店を展開している事例が、(16社中4社)見られる点である。成功、失敗は不明であるが、メガフランチャイジーと比較すると、オリジナルブランドの開発に意欲的であるケースが見られる。
  また、法人・複数フランチャイジーは、メガフランチャイジー指向に対して次のような回答をしている。(法人・複数フランチャイジー調査より)

図表  Ⅲ-3-1-2 将来メガフランチャイジィーを目指しますか(単数回答)

回 答 内 容
件  数
構 成 比
特に目指していない
10件
66.7%
目指している
5件
33.3%
できれば目指したい
0件
0%
有効回答
15件
100.0%
無回答
1件

 メガフランチャイジーを目指すが5社(33.3%)であり、特に目指していないが10社(66.7%)で、半数以上がメガフランチャイジーを目指していない。
  メガフランチャイジーを目指さない理由は、調査していないが、一般的には次の理由が考えられる。
「到底、店舗数30店舗以上、もしくは売上高20億円以上には到達しない」
「メガフランチャイジーの収益性は、法人・複数フランチャイジーに比較して高くない」
「メガフランチャイジーは契約する本部数が多くて、管理し切れない」
「オリジナルブランドの育成を図った方が面白い」
 経営内容まで今回は調査していないが、案外、効率性、収益性、オリジナルブランド育成の楽しさ等が、メガフランチャイジーとの大きな差かもしれない。

4. 法人・複数フランチャイジーの将来性

 法人・複数フランチャイジーに対する本部の評価は既に、Ⅱの3 「法人・複数フランチャイジーに対する本部の意向」で明らかにした通り、本部の評価は極めて高い。
 では、法人・複数フランチャイジー自身は複数出店のメリット・デメリットについてどのように考えているのであろうか。(法人・複数フランチャイジー調査)

図表 Ⅲ-4-1-1 複数出店のメリット・デメリット(複数回答)
回 答 内 容 件数 構成比
複数出店により、仕事に習熟して、本部の指導が少なくても効率経営ができる
12件
29.3%
複数出店すれば、店舗オペレーションにも慣れ、生産性が高くなった
11件
26.9%
複数出店により、家業から企業に変化した
5件
12.2%
複数出店すれば、銀行の融資も受け易く、企業として耐久力ができた
3件
7.3%
人材採用が難しく、複数出店はデメリットが大きい
5件
12.2%
その他
4件
9.6%
複数出店すれば、接客レベルが低下する
1件
2.5%
有効回答総数
41件
100%

 1番のメリットは「仕事に習熟して効率経営ができる」が3割近い回答を示した。2番目のメリットは「店舗オペレーションに慣れ、生産性が高くなった」が27%の回答を示した。案外少ないのは、「家業から企業への変化」(12.3%)、「銀行融資が受け易い」(7.3%)の2つである。これは法人・複数フランチャイジーが既に、「家業から企業へ」「銀行融資が受け易い」の段階から抜け出して、中小企業でも一応のレベルに達していることを表すものではないだろうか。
 一方、デメリットと答えている法人・複数フランチャイジーの声もある。
「人材採用が難しく、複数出店はデメリットが大きい」が12%の回答であり、
「複数出店すれば、接客レベルが低下する」は僅か2.5%であった。
 採用難によるデメリットは、当然予想できた回答であったが、12%の法人が答えているのは、注目すべきである。最も心配した、多店舗化による接客レベルの低下は1件止まりで、それ程心配する数字ではないと感じている。
 次に、法人・複数フランチャィジーは、現在どのような点が問題点と意識しているのであろうか。法人・複数フランチャイジー調査では、次の質問をしている。

図表 Ⅲ-4-1-2  現在の主要な問題点は何ですか(複数回答)

現在の主要な問題点
件数
構成比
人が集まらない
10件
33.3%
投資の割りに、利益が少ない
6件
20.0%
(競合激化やブランドの陳腐化で)売上高が減少傾向にある
5件
16.7%
魅力あるフランチャイズ本部が少なくなった
2件
6.7%
わが社のみでは人材育成ができない
2件
6.7%
資金作りが簡単にできない
1件
3.3%
その他
4件
13.3%
有効回答総数
30件
100%

 圧倒的な問題点は、「人が集まらない」10件(33.3%)である。労働人口の減少、人の奪い合いがここでは最大の問題点であるが、必ずしもフランチャイズ・ビジネス固有の問題ではなく、広くわが国で経営をする場合の共通の問題点である。しかし、次の「投資の割りに、利益が少ない」6件(20.0%)は、フランチャイズ・パッケージに対する批判であり、真摯に受け止める必要がある。「売上高が減少傾向にある」5件(16.7%)もわが国の流通・サービス業に共通した課題であり、スーパーマーケットは11年連続、百貨店業界も11年連続、コンビニは8年連続して既存店売上高が減少している。しかし、中には伸びている企業もあるので、単に全体的傾向と言って片付けてはいけない課題である。
  次の「魅力あるフランチャイズ本部が少なくなった」2件(6.7%)は、フランチャイズ業界共通の問題点である。件数は2件であるが、確かに「魅力あるパッケージが少なくなった」という指摘は的を得ている。フランチャイズ本部の努力に期待したい。「わが社のみでは人材育成できない」1件(3.3%)は、指摘としては少ないが、「加盟店の人材育成」は本部を超えて、フランチャイズ業界共通の課題であり、フランチャイズ協会も耳を傾ける必要があるのではないだろうか。
 では、一番の課題と指摘された「人材採用・育成に関して問題点はありますか」の質問の回答を見てみよう。(法人・複数フランチャイジー調査より)

 図表 Ⅲ-4―1-3 人材採用・育成に関して問題点はありますか(複数回答)

人材採用・育成に関して問題点はありますか 件数 構成比
若い人材(18~25歳)が全く集まらない。今後益々難しくなる
8件
36.4%
社員の採用もできない。多店舗化も進まない
6件
27.3%
人材教育が出来ない
(教育している期間の代替人材がいない)
1件
4.5%
外部にも複数出店者に対する教育機関がない
1件
4.5%
人材育成のノウハウを持っていない
その他
6件
27.3%
有効回答総数
22件
100.0%

 人材採用・育成に関する問題点は、表現の差はあるが、ほぼ同じことを述べている。
「若い人材が集まらない」8件(36.4%)、「社員も採用できない。多店舗化も進まない」6件(27.3%)、「人材教育が出来ない(教育している期間の代替人材がいない)」1件(4.5%)は、すべて採用難、人手不足を別の表現で表しているものである。わが国で、店舗経営をしていくためには、FC、直営を問わず、人員不足が現在の最大の課題であり、どこの店舗でも背負っている問題である。その中で、何とか採用して店舗を拡大していく組と、不可能として店舗拡大を諦める組に分かれていく。
「外部にも複数出店者に対する教育機関がない」1件(4.5%)は異質の問題である。ここでもフランチャイズ協会の出番が期待されている。
 では、このような人員不足の中で法人・複数フランチャイジーは「今後の方向性」として、どのように考えているのであろうか。(法人・複数フランチャイジー調査より)

図表 Ⅲ-4-1-4 今後の方向性(単数回答)

今後の方向性
件数
構成比
現在加盟のFC本部の店舗を増やしたい
10件
62.5%
現状維持である
3件
18.8%
現在加盟のFC本部との契約解除を検討している
1件
6.3%
新しいFC本部の加盟を検討したい
その他
2件
12.5%
有効回答総数
16件
100.0%

 上記のような厳しい労務環境にありながら、「現在加盟のFC本部の店舗を増やしたい」10件(62.5%)であり、実に6割以上のオーナーが加盟FC本部の店舗増加を考えている。「現状維持」3件(18.8%)で、やはり人員採用の難しさが、一つの要因であろうと推察される。「現状維持」は、自社ブランドを立上げ、そちらを優先して店舗拡大を図ろうとする意欲が汲み取れる。
「現在加盟のFC本部との契約解除を検討している」1件(6.3%)で、「人が集まらない」「売上高の減少傾向」「投資額の割りに、利益が少ない」等の要因が影響しているのであろう。
 ここで、特に注目したいのは「新しいFC本部の加盟を検討したい」0件である。法人・複数フランチャイジーは第2ブランド、第3ブランドの検討をしていると思ったが、案外新ブランドへの加盟検討はやめて、既存加盟のFCの店舗数拡大に意欲を燃やしている。
この辺が、メガフランチャイジーとの大きな差かもしれない。

 現在、人員採用は極めて困難であり、その環境下で法人・複数フランチャイジーの将来性をまとめれば、次のようにまとまる。

(1)  法人・複数フランチャイジーのフランチャイズに占めるシエアーは30~50%程度であり、他のフランチャイジーを圧倒しており、場合によっては直営店の売上高を凌ぐ場合もある。
(2)  しかも、厳しい労働環境下でも、店舗拡大を続ける意欲は高い。
(3)  しかし、魅力的本部は少なくなったので、現在加盟しているFC本部の店舗数を増加させようと考えている。
(4)  複数出店すれば、店舗オペレーションに慣れ、生産性が高くなった。
(5)  複数出店によって、仕事に習熟して、本部の指導が少なくても効率経営が出来る。
(6)  しかし、すべての法人・複数フランチャイジーが均等に発展する訳ではない。労務環境が厳しくなり、人材採用が引き続き可能なオーナーと、人材採用が出来なくなるオーナーに分解する。
(7)  複数出店によって、本部から様々な優遇策を受けており(加盟金の減額又は免除、ロイヤルティの減額、優良物件の紹介、優良直営店の売却等)、この本部と長く契約することによって、店舗拡大を続けた方が有利である。
(8)  まとめれば、法人・複数フランチャイジーは今後の日本のフランチャイズを担う有力な担い手として、更に発達する。

 フランチャイズ全体の伸びが低迷している中で、法人・複数フランチャイジーに対する期待は高まっている。本部や協会等フランチャイズ業界に関連する人は、単に期待するだけではなく、彼らの期待に応えるような対応を図らなければならない。

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