フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

日本サブウェイはどこまで伸びるか

 日本サブウェイは、ここ数年目立って元気の良いチェーンになってきた。
日本サブウェイの伊藤彰社長にお目に掛かり、サブウェイの現状と今後の展望について話を聞かせて頂いた。世界的に展開するグローバルな姿と、日本の市場で、どこまで通用するか筆者なりの見解を述べてみる。

I サブウェイの歴史

 サブマリンとは潜水艦である。だからサブマリンサンドイッチと呼べば、潜水艦型のサンドイッチであり、世界中のサンドイッチ愛好者から好まれている。サブウェイのサブは、サブマリンのサブである。ウェイとは行き方、道、進むべき道等であるが、伊藤社長は「自分の道を切り開く」=起業家(アントレプレナー)と解したいとの意向であり、筆者もこの意見に賛成である。
 サブウェイは1965年の夏、フレッド・デルーカという17歳の少年がアメリカ・コネチカット州に開業した「ピーツ・サブマリン」というサンドイッチ店が創業である。2号店、3号店と展開するうちに、お客様と向かい合い、細かな注文に応え、目の前で作るというオーダーシステムを開発した。
 1974年に店名を現在の「サブウェイ」に変更し、フランチャイズ化を図った。この作戦は見事に当り、現在では世界でもマクドナルド(31,800店舗)に次ぐ、第2位の店舗数を誇るチェーンに成長した。
世界全体では90ケ国、店舗数31,317店舗(09年7月15日現在)となる。世界中の店舗数を各国別に見ると、次のようになる。
アメリカ    22,461店
カナダ      2,429店
中南米      1,308店
オーストラリア  1,149店
イギリス・ドイツ 2,090店
その他ヨーロッパ   692店
アジア(除く日本)  585店
ニュジーランド    210店
中東         203店
アフリカ        16店
日本         177店
アメリカのアントレプレナー誌では、総合評価で過去15回も全米第一位のフランチャイズチェーンに選ばれている。
日本ではサントリーの子会社である日本サブウェイが91年10月にマスターフランチャイズ契約を締結し、第1号店は赤坂見附に92年3月に開店した。
 同じ時期に開催された日経フランチャイズショーでは、入り口に最大10コマを取り、その年の最大の話題となったが、その後一度も出展していない。
 会社としては試行錯誤はあったが、2005年に100号店を開店しており、現在(09年7月31日)177店舗(直営25店、加盟店152店)の展開であり、必ずしも順調な展開ではなかった。
177店舗のうち、米軍基地内に19店が開業している。これを除けば158店舗である。1店舗オーナーは34名であり、それ以外は複数出店オーナーである。複数出店オーナーは33社で、1オーナー平均3.75店舗の割りとなる。  サブウェイの会社案内書では、積極的に複数店展開を推奨している。パンフレットを簡単に紹介する。
「サブウェイは複数店出店することを推奨しています。」
サブウェイを3店舗以上展開することによって、以下のビジネス上のメリットが考えられます。
1 投資回収・・ モデル通りで3店舗運営した場合,約4年で投資回収が可能
2 投資リスクの分散・・1店舗への多額投資より、3店舗への分散投資
3 人材・組織づくり・・フードビジネスで一番重要な人材づくり、組織づくりが可能
4 アルバイトの有効活用・・立地タイプの違う店舗間で効率的な人材活用可能
いずれも妥当な意見であり、サブウェイに加盟するならば複数出店が前提となるであろう。事業としての妙味も3店舗目当たりから出てくるのではないだろうか。 
 平均的なFC本部よりは複数出店社が多いのは、後ほど述べるエリアフランチャイザーが4社あるためである。
 店舗展開の形態は様々である。
路面店           病院内
フードコート店       コラボ店(ファミリーマート等)
商業施設内         野球場(サッポロドーム)
大学構内          ロードサイド型
空港内           アメリカ軍基地
 僅か177店舗で、出店形態が10タイプもあると言うことは、コンビニのように大きな可能性を秘めていると見るべきか、手当たり次第の出店と評価すべきか、現時点では評価は難しい。
 現在、一番のびている店舗形態はフードコートである。ショッピングセンターが大幅に伸びる時代ではないが、フードコートのテナントの入れ替えが多く、ガス・水道等のインフラ工事は既に出来上がっているため、低コストの出店が可能であり、今後は主力出店形態にしたい意向である。
伊藤社長に店舗展開の今後の見通しを伺ったところ、次のような見通しであった。
200号店の見通し   2009年中に出店する
500号店の見通し   2012年に達成したい

II 商品の特徴・制作過程・原材料開発、メニュー開発

 サブウェイの商品の最大の特徴は野菜タップリのサブマリンサンドイッチである。野菜タップリのサンドイッチで、ヘルシー、健康志向時代に向いた商品である。事実、日本サブウェイの消費者調査によれば、利用動機は次の通り。
味が美味しい         75.7%  (複数回答)
野菜が取れる         68.6%
自分の好きなメニューがある  44.3%
自分の好みにつくってもらえる 39.5%
ボリュームがちょうどいい   35.9%
低カロリー          33.3%
(出典:マクロミル)
食材の調達方法を調べてみると、面白い結果が出てくる。

 世界的スケールで調達する
  ハム、ソーセージ、ターキー、ローストビーフ、アボカド(概して肉類)

 ニュージーランドから調達
  ブレッド(但し、国産に切り替えることを検討している)

 国産品
  野菜類、調味料
基本の調味料は当初から国産を使用していた。
 野菜については壮大な計画が進行中である。
今年中に一部のトマト、を有機野菜に切り替える。これは有機のインフラを作った農家との契約で、サブウェイが決めた農法により生産をしてもらう。従来のJA経由ではなく、農家との直接契約で生産の全量を引き受けることを計画している。レタス、タマネギは来年度以降、減農薬野菜に切り替える予定である。 野菜のように価格の安い原料は通常「現地調達」にするチェーンが多いが、さすがに「野菜メニュー」が重点であるだけに、強いこだわりを感じた。本来ならばもっと早い時期(95年頃の創業間もない時期)に有機野菜、減農薬野菜に切り替えるべきであったかもしれないが、やはり100店の壁を越えないと、農家が相手にしてくれないものである。遅すぎたきらいはあるが、思い切った転換を進めてもらいたい。
 植物工場(農業プラント)の計画もあるが、初期投資額が大きいので、現在植物工場製はレタスで2倍の価格になる。現在は更なる合理化により市価の7掛けを目指している。いずれ遠くない時期に植物工場を利用できる時代になるだろうとのことであった。
トマトは今後も店内カットを行い、ピーマンは、現在カット野菜として店舗に納入している。
 カット野菜、有機野菜、減農薬野菜を活用するためには、野菜に特化したロジスティックを組みたいとの意向であった。完全なドミナント出店であると可能であるが、200店舗以下で全国展開をしていると、野菜単一のロジは難しいが、チェーンの特徴から言っても、いずれ採用せざるを得ないであろう。
 もし、野菜で歩留まりが悪くなれば、野菜ジュース、野菜スープを作れば、また一つの売り物になるだろう。
 兎に角、今の段階では協力してもらえる農家の手元にメリットを与えないといけないし、農家サイドでは「産地を表に出してもらいたい」という要望が強いそうである。モスバーガーの農家特定野菜は1,500店舗の物量がものを言っているのであろう。
 ブレッドをトーストするようになったのは05年以来であり、アメリカが先行し、現在のトースト機はアメリカからの輸入だそうだ。トーストパンを導入した年の11月から2月には売上高が上がり、現在もその好みは続いている。トーストブレッドは冬場8割、夏場5割で、いかにトーストが好まれているかがわかる。
 商品種類は主力サンドイッチは次の3品である。
BLT、えびアボカド、チーズローストチキン
その他グランドメニューとしては、ベジーデライト、たまご、ケイジャンチキン等全部で12アイテム、ラップ商品5アイテムである。
 年間6回の季節商品を販売する。丁度7月、8月はタンドリーチキンサンド、えび&7種の豆カレーサンドといったインド風のサンドイッチであった。
 注文の仕方は、ご存知だろうが、次のような順序で進む。
1. サンドイッチのメニューを決める
2. パン(種類及び大きさとトーストするかどうか)
3. トッピング(チーズ、ベーコン、ツナ、たまごアボカド、えび等で有料)
4.野菜(6つの基本野菜で増減無料)
5. ドレッシング(オイル&ビネガー、シーザードレッシング等)
 この注文の順序は難しそうだが、スタッフの話を聞きながら進めば自然に出来上がるので、是非お試しをしてもらいたい。
 肝心の商品開発は、現在は日本サブウェイに任されているそうである。契約上は、アメリカサブウェイの決定であろうが、90ケ国に展開すれば、地元の意向を聞かねばならないし、宗教や国民性等を配慮すれば、地元主導になるのかも知れない。マクドナルドがメニュー決定権をしっかり握っているとはやや趣を異にする。
 原材料は先に述べた通り、ハム、ソーセージ、タンドリー、ターキー等肉類は海外から調達、その他は国産品の調達である。新商品の発売に際しては、必ずテスト販売を行い、不振の場合は中止することもある。お客様のアンケートを重視するが、一番重視しているのは店で働くパート・アルバイト(P/A)の意見である。ヘビーユーザーがP/Aとして働くケースが多いからであろう。
 メニュー改訂はオペレーション説明会の実施と、SVの現地指導を行っている。メニュー改訂の実施を見ると、そのチェーンのIT利用度が分かる。最近取材したナポリの窯では、ITで「ナレッジ」と呼ぶWEBを流しており、メニュー改訂はWEB上で動画を流すことにより、全加盟店に利用してもらっているそうである。
 メニュー説明会は、本部と加盟店店長、P/Aとの交流には有効であり、捨てがたい魅力を持つが、年間6回のメニュー改訂となれば、手間も大変だろう。

III 本部の指導体制

 加盟店の経営指導にはMC(マーケット・カウンセラー)が当っている。一般的にはSV(スーパーバイザー)と呼ばれる機能であるが、サブウェイではMCと呼んでいるので、本稿ではMCで統一する。
 現在MCは日本サブウェイ内に5名いる。(後ほど述べるディベロップメント・エイジェント=DAに4名いる)合計9名となる。
 MCの業務は、月に1回店舗を訪店して、店舗チェック、クリンリネスチェック、店長への指導であり、それ程特記する内容ではない。
 しかし伊藤社長は,MCに店舗開発業務もさせたい意向である。先に説明した通り、フードコートの入れ替え出店が一番多いので、売上予測、収益予測はSCの年間売上高が分かれば、かなり高い精度で予測できる。
 従って、地域情報を一番持っているMCに店舗開発の一部を担わせることは、必ずしも難しいことではないだろう。
 また、サブウェイでは現在ミステリーショッパーズをMS&コンサルティングという会社に委託している。この会社はミステリーショッパーを一般から公募して教育し、年間4回店舗調査を行っている。今までは、その結果は店長もしくはオーナーに届けられていたが、今後MCの活動に連動させたいとの意向である。(現在もサブウェイに報告を受けている。)
 ミステリーショッパーズの調査は、細部に渡るため、その詳細をMCと店長が共有して,MCの店舗指導に活用しようとする意見である。
 MCの業務は、従来の店舗指導から、店舗開発、ミステリーショパーズのデータ活用と広がり、将に「MCのスーパースターを育成したい」という伊藤社長の希望につながる。

IV 店舗投資額と採算について

サブウエイの会社案内書には「加盟金・保証金」と「投資モデル/15坪店舗」の金額が掲載されている。また売上収支モデルとして15坪店舗のモデルが示されている。全く同じ内容がホームページにも掲載されているため、各雑誌はこの数値を示している。しかし、筆者は比較的近い時期にフードコート型1店、路面店型1店を取材しており、現実の数字であるため、あえてモデル案ではなく、取材内容を記載する。


表―1 イオンモール川口キャラ店 表―2 恵比寿駅前店
(フードコート店) (路面店)
項  目 金  額 備考 項  目 金  額 備考
加盟金 190万円   加盟金 190万円  
保証金 100万円   保証金 100万円  
内外装厨房 2010万円   内外装厨房 1770万円 含備品類
物件取得費 500万円   物件取得費 1000万円  
合計 2800万円   合計 3060万円  

表―3 イオン川口キャラ店 表―4 恵比寿駅前店
(07年12月度) (08年10月度)
項  目 金  額 構成比 項  目 金  額 構成比
売上高 720万円 100% 売上高 530万円 100%
原価 238万円 33% 原価 182万円 34.3%
人件費 180万円 25% 人件費 94万円 17.7%
賃料 80万円 11.2% 賃料 53万円 10%
ロイヤルティ 58万円 8% ロイヤルティ 42万円 8%
宣伝負担金 18万円 2.5% 宣伝負担金 13万円 2.5%
その他  56万円  7.8% その他 40万円 7.7%
営業利益 90万円 12.5% 営業利益 105万円 19.8%

 一般論として投資金額は両店とも低い。100店舗を超えればFCパッケージの統一が図られ、比較的投資金額が低くなる。サブウェイの特徴としてガスを一切使用しない、オール電化であり、油を使用しないのでダクトが不要である。これが厨房投資額を低くする理由である。
 なおイオンモール店の加盟金は2号店目以降であるので90万円であるが、両店を統一するために190万円にした。また、両店は本部から「優良FC加盟店」として紹介を受けた店であり、ここに表された売上高や営業利益は、モデル店より高目であることをお断りしておく。
 ロイヤルティ8%、宣伝負担金2.5%はいかにも高い。多分、飲食フランチャイズの中では一番高い部類であろう。アメリカ本部へのロイヤルティが含まれているため、止むを得ない部分もあるが、店舗展開が思うように進まない最大の理由ではないだろうか。(食材価格への上乗せがないので透明であることを、主張する加盟店が多い)
 恵比寿駅前店の人件費率が低いのは、オーナーの労務費が含まれていない可能性がある。また営業利益率が異常に高いのは、94年の開店以来の技術の蓄積が高く、P/Aの移動も少ない店であるからだろう。本部の示すモデル採算表の人件費率は25%である。
 投資金額の低さを述べたが、伊藤社長によれば、フードコートの入れ替え物件は、給排水、ガス工事が終わっているため、看板とカウンター、コルトン差し替え工事のみで1千万円以下で開業できるそうである。サブウェイはガスを使用しないし、油汚れがないため、飲食業の中では非常にきれいな店であり、女性経営者も多い。

V ディベロップメント・エイジェント制度について

 アメリカのサブウェイにはディベロップメント・エイジェント制度がある。これは加盟店開発代理店制度であり、1店舗の経営経験が無くても代理店になれるし、アメリカでは、この代理店制度がサブウェイを急速に大きくした理由の一つに上げる人もいる。
 日本サブウェイも設立と同時に代理店を募集したが、これは最低1店舗の直営店を経営しないと、代理店には認めない制度であった。しかし、創業当初のもたつきもあり、この制度は順調には進まなかった。契約年数は5年のため、いずれも解約し、改めて07年よりディベロップメント・エイジェント(DA)を始めた。選定されたDAはいずれもサブウェイを数店(もしくは10店舗程度)運営し、熟達したフランチャイジーの中から営業力、資金力、運用力等に優れた会社が選ばれ、5年契約である。
1. (株)エスアンドエスデペロップメント
  埼玉県入間市   担当エリア  埼玉県、千葉県
  直営11店   FCジー  12店   合計  23店
  開拓目標は2012年までに60店舗であり、予算到達の場合はオーバーした店舗1店舗につき毎月若干のボーナスが出る。逆に予算未達の場合は同額のペナルティがある。エリア権は0で、保証金は500万円である。開発に伴い受け取る収入は、1店開店につき加盟金の半額、ロイヤルティの受取額は売上高の2%である。実質的にはMCをDAが採用するので,MCの人件費相当額と言える。
2. (株)エージー・コーポレーション
  東京都品川区    担当エリア  栃木県・茨城県
  直営 10店舗   FCジー 6店舗   合計 16店舗
3. ネオ・コーポレーション
  北海道札幌市    担当エリア  北海道
  直営 8店舗               合計 8店舗
4. サンケン
  愛知県名古屋市   担当エリア  愛知県、静岡県、神奈川県
  直営 2店舗    FCジー 14店舗  合計 16店舗
 このDA制度は、フランチャイズでは一般的にエリアフランチャイズ制度と呼ばれるものに等しい。(アメリカの制度とは大きく異なる日本型である。)
 現在は関東、北海道、東海地区に集中しており、特に近畿地区が本部直轄になっているが、近畿地区にDA制度を設けない訳ではない。東京地区は直轄地域とするが、その他の地域はDA制度を設けたいそうである。伊藤社長の構想では、全国に10~15のDAを設け、その参加に100店舗近いFCジーを配置することが究極の目標である。それは1ユニット20億円(DAの売上高)という構想である。

VI ブランド ブック

 日本サブウェイは07年に「ブランドブック」を作成し、オーナー、社員、P/A全員に配布した。
 伊藤社長に聞いたところ、「ブランドブック」とは、本部の従業員はもとより、直営店、加盟店に働くすべての人達へのメッセージであり、「I LOVE SUBWAY」と題された、サブウエイの理念を集約したノートである。
 このノートを開けば、サブウエイに関するすべてが理解できるハンドブックである。07年と言えば、サブウェイが再生し、前途が明らかに見え出した時期であり、「これから我が社はこの方向へ進むのだ」という宣言であったのだろう。加盟店には明るさと自信が戻り、「この道こそが我が道」と解されていた時期を象徴する小冊子である。
 最後のページにSubway Statementとして、次の経営理念が述べられている。
 

「わたしたちは、環境に配慮し、人々のからだとこころの{健康}に貢献する新しいファーストフード文化を創造していきます」

VII サブウェイはどこまで伸びるか

 筆者は東洋経済の記者の質問に対して、「日本に上陸したファーストフードで1千店を越すのはサーティーワン・アイスクリームで終わりである」と断言した覚えがある。(週刊東洋経済08年5月24日号)
 それは消費の多様化により単一業態で1,000店を超えるような魅力あるファーストフードは、今後出現しないという思いがあったからである。

ではサブウェイは、1千店を超える程魅力的なパッケージであろうか?まず、 この事業のフランチャイズの欠点について考えてみたい。
(1) ロイヤルティ8%、宣伝広告費分担2.5%合計10.5%の毎月の負担はいかにも重い。果たしてそれだけの魅力があるのか。
(2) 当初からフランチャイズ展開を意図したためか、ドミナントの概念がない。もしくは薄い。ドミナント戦略なくして1千店構想は絵に描いた餅に終わる可能性が高い。
(3) サブウェイが伸びている地域はアメリカ大陸、ヨーロッパ大陸、豪州に限定されており、食文化を異にするアジア、アフリカ、中東は非常に店舗数が少ない。
(4) サンドイッチは昼食にはなっても夜食にはならない。日本の食文化の壁は厚い。野菜中心では夜食にならない。
(5) 上陸して20年近い歳月が経過している。それで200店にも達しないのは、普及に限界があるのではないか。
(6) わずか200店舗足らずで、10タイプの立地はあまりにもバラツキが多い。主力出店タイプが欠けているのではないか。
(7) 大きな話題を呼ぶ商品開発が出来ていない。所詮マニアが選ぶチェーンである。
(8) 現にサンドイッチ店はすべて日本から撤退している。マックが手がけたプレタ・マンジェも、ドミノピザが手がけたクイズノスもすべて撤退した。
(9) サブウェイが日本に上陸した92年~2000年ごろに大学を卒業した人達に、サブウェイの評判を聞いたところ、殆どのヒトが「パンが固い。まるでフランスパンをかじっているようで二度と利用したくない」と答えている。現実には、柔らかいパンもあり、トーストをするようになって食べ易くなった。この一番大切なチェンジがPRされていない。

では、「サブウェイ」の将来性は無いのか?それは違う。サブウェイは変わった。大きく変わった。今度はサブウェイの可能性について述べてみたい。
(1) まず、遅ればせながら主力立地を発見した。それはフードコートである。今後日本のショッピングセンター(SC)は大きく増えない。しかし、店舗の入れ替えは頻繁に行われる。フードコートの入れ替え立地こそ、サブウェイの主力立地である。今更、言うまでもなく、アメリカのサブウェイはあらゆるSCにテナント出店している。日本では赤坂見附店の成功で、立地の方向を「都心店」と誤ったのではないだろうか。
(2) ロイヤルティと宣伝広告費の負担は重い。しかし、サブウェイは食材に上乗せしていない。極めて透明な食材価格決定をしている。日本の飲食フランチャイズと大きく違う点である。
(3) 食文化の差を言うならば、ハンバーガーもフライド・チキンも日本には無い食文化であった。ハンバーガーやチキンがあれだけ大きな売上高を取ったことはサンドイッチにも大きなチャンスがある筈である。
(4) サンドイッチの重量化は何時でもできる。野菜と肉類の比率の問題であり、サブウェイでは野菜を取ることに力点を置いており、それで顧客が増加している。
(5) SC出店を主力立地にするとドミナント形成は出来ない。ドミナント出店をするためには、多様な立地タイプの経験が生きてくる筈である。
(6) 競合するサンドイッチ店がすべて日本から撤退したことは、むしろサブウェイには好機である。コンビニであれだけサンドイッチが売れているのだから、トーストをした本格的サンドイッチが安く食べられる場所はサブウェイを除いて日本には無くなった。
(7) マックもKFCもアメリカ大陸、ヨーロッパ大陸のみではなく、広くアジアにも展開している。食の壁は今や無いといっても過言ではない。サンドイッチのみが例外とは思えない。

こうやって考えてみると、サブウェイの前途については可能性もあるし、否定的要素もある。
最後に筆者の意見を述べて終りとしたい。
(1) ロイヤルティ、宣伝費合計10.5%は、高いけれども止むをえない。本部としてはフードコストの削減に努力するべきである。その最終目標は原価率30%程度である。世界中に3万1千店を展開する「サブウェイ」の力で原価の削減が出来なくては1千店構想は難しい。いずれ1ドル80円時代が来る。その時に合わせて原価率30%を目指してもらいたい。FLコストで55%となる。この程度まで落とせば吸収できる。
(2) DA制度を活用せよ。サブウェイの信奉者がDAには多い。良い時も悪い時もサブウェイと共に歩んできたDAはサブウェイの宝である。
(3) 複数出店を思い切って推奨せよ。複数出店社に対する応援が少ない。
(4) サブウェイのパンは固いと思い込んでいる30代、40代に対するPRが弱い。もっと、この層を取り込め。本来、主力層である。
(5) まずは300店の出店をせよ。世間の見る目が変わってくる。そこから先は、現在では描け切れない未来が広がる可能性がある。
(6) 1千店の可能性は極めて難しい。しかし、「サブウェイは日本で最後の1千店を達成したファーストフード」と言える時期が来ることを期待している。

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