フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

本部と加盟店のコミュニケーションについて

 日本フランチャイズチェーン協会が6月7日に発表した「フランチヤイズ本部と加盟店のよりよい関係の有り方研究会」の最終報告については、翌日の新聞に極めて簡単に報告され、殆ど要領を得ない内容であった。日経新聞は6月8日に次のようなベタ記事を13行で報告した。

 「FC本部と加盟店の関係強化に向け、9項目の対策を盛り込んだ報告をまとめた。既存店の近隣に出店する場合の適切な対応の必要性や、消費期限の迫った弁当などを値下げする見切り販売を制限できないことなどを明記した」

 まるで1年前に戻ったような記事であり、あれだけの叡智を集めて3ケ月も掛けた研究会がこの程度の結論しか出せなかったのかと思った。幸いフランチャイズ協会のホームページに、最終報告の全文が出ていたため、何回も読み直してみたが、やはり適切な理解は出来なかった。

 日本で唯一のフランチャイズ専門誌「フランジャ」59号が、FRANJAリポートとして2ページにまたがる報告書を発表している。様々な政界事情や経済産業省等のアンケート調査の実施など、詳細な報告をしている。概ねこの記事が最終報告に対する意見であることについての異論はないであろう。
 しかし、あれだけの関係者が3回も集まり、その報告書を「お茶を濁した報告書」と断定することは、いかにも惜しまれる。報告書の別紙に座長の明治大学専門職大学院教授の上原征彦氏が「フランチャイズシステムの本質的意義」と題して2ページの報告書を添付されている。座長のご意見であるだけに、ここには参考になる意見が表明されていると思う。
 このペーパーでは上原氏は、フランチャイズシステムを簡潔に5項目にまとめている。いずれについても異論のないご意見である。そこで「上述の仕組みにおいて、ザーとジーが常にウィン・ウィンの関係にある、ということが要請される」として、それを4項目にまとめている。最後の項目は次の通りである。
 「第四に、以上の3つを実現するために、ザーとジーとが有効なコミュニケーションを取れる仕組みが用意されていなければならない」とまとめている。

 ここで、フランチャイズ本部とフランチャイジーのコミュニケーションの有りかたについて、纏めて見た。

Ⅰ 本部・加盟店間のコミュニケーションは、まず一義的にSVが担う

 スーパーバイザー(以下SV)の基本機能は5C+1Pと言われる。
  1.  コミュニケーション(意思及び情報の伝達)
  2.  コンサルテーション(経営相談及び指導)
  3.  カウンセリング(個人的相談)
  4.  コーディネーション(調整)
  5.  コントロール(点検及び統制)
  6.  プロモーション(促進)

 このSVの基本機能は、フランチャイズ協会の「SV学校」では最初に教える。中でもコミュニケーションはSV活動の基本であり、本部・加盟店間のコミュニケーションを第一義的に担うのはSVである。 フランチャイズ・ビジネスは法律的には、本部と加盟店間の相互のフランチャイズ契約に基づいて成立しているが、わが国の場合はこのフランチャイズ契約が遵守されていくベースには、この「コミュニケーション」の存在が強く介在している。
 筆者は、本部は加盟店に対して命令権はないと解している。しかし、チェーン・ストアとしてのイメージの統一性を維持しなければならないので、直営店以上にFC店には「コミュニケーション」という機能を重視しなければならない。だから、フランチャイズ・ビジネスは「コミュニケーション・ビジネス」と言ってよいであろう。
 SVは、人的アプローチによる「コミュニケーション」を担当するが、「意思や情報の伝達」の流れは「ツー・ウエイ・コミニュケーション」が必要とされている。「コミュニケーション」がワン・ウエイ・コミュニケーションであるならば、それは単なる連絡担当に過ぎない。それならば文書による伝達の方がはるかに早く正確である。
 「ツー・ウエイ・コミュニュケーション」というのは、一方的な伝達ではなく、SVと加盟店との多くの対話の中で成立するのである。「意思及び情報の伝達」の流れの方向は【フランチャイズ本部 => 加盟店、加盟店 => フランチャイズ本部】を指すものである。組織活動として、フランチャイズ本部のプランが加盟店に的確に伝達されていなければならず、その伝達は単に伝えるというだけでは,SVの「コミュニケーション」とは言い難い。フランチャイズ本部のプランの実行に当っては、加盟店の十分な理解が必要であり、そのためには文書だけではなく、必ず説明が必要になってくる。
 いわばフランチャイズ本部のプランが、本当に理解されているかどうかの確認が必要であり、そこにSVの「コミュニケーション」における対話性が不可欠な要因になってくる。
 組織活動では往々にして、フランチャイズ本部 => 加盟店の「コミュニケーション」は通りやすいのに比べて、加盟店 => フランチャイズ本部の「コミュニケーション」は、通り難いという現象が多く、これが目に見えない加盟店の不平不満の原因となっていることに気がついていない本部が多いのに驚かされる。 「コミュニケーション」は、SVの機能の中でも重要な位置を占めるが、必ずしも円滑に機能している訳ではない。
 フランチャイズ本部としては、SVの基本機能が十分果たされているかどうかを不断にチェックする必要がある。

Ⅱ 本部と加盟店とのコミュニケーション

 本部と加盟店の「コミュニケーション」は、一義的にはSVが担うものであるが、すべてSVに任せておいて良いものではない。ここでは、SV以外の「コミュニケーション」について考えてみる。

1. 本部の役職者が加盟店を臨店する

 本部の役職者が、定期的、不定期的に加盟店に臨店することは重要である。役職者とは,SVの上司のエリアマネージャー、地区部長、地区本部長等や役員等が臨店することもある。
 目的は、季節の挨拶、加盟店の意見聴取、クレーム処理等様々である。出来ればクレームに発展する前に、日常的にエリアマネージャーや地区部長が加盟店を訪店することが望ましい。クレームを未然に防止したり、新商品に対する希望や意見を聞く機会にもなる。
 かって担当SVであった人が、地区部長や地区本部長に昇進した時に旧知の加盟店を訪店し、挨拶を交わし、本部経営に対し隔意の無い意見を聞けるような体制は望ましいものである。
 モスフードサービスの桜田厚社長は、モスの加盟店全店を訪問したいと述べられたことがあるが、1千店を越すチェーン店では難しいが、数百店の規模ならば、社長にやる気があれば、それは十分可能である。
 加盟店がどこまで本音を話してくれるかは判らないが、本部と加盟店の距離が近くなることは間違いない。

2. 加盟店が本部に行き、意見を述べる

 加盟店の社長が、本部を訪問し、色々な意見を述べることは実際に多い。 目的は季節の挨拶、商品開発に対する希望、会社方針に対する意見、クレーム、SVに対するクレーム、会社方針に対するクレーム、テリトリー侵犯に対するクレーム等様々である。
 この加盟店の本部訪問を嫌ってはいけない。わざわざ、本部まで来て責任者に意見を述べるのは、それなりの意思があって来たのであり、できるだけ上位者が、加盟店の意見や希望を聞く姿勢が必要である。
 問題が大きくなる前に、問題点を察知して対策を講じたり、本部の考える意向を述べれば、事前に理解してもらえることがある。組織のみに依存せずに、組織以外の意見聴取の姿勢があることを加盟店に理解してもらうことも大切である。

3. 本部と加盟店の文書の交信

(1)本部から加盟店への文書

 本部から加盟店への文書の発信は多い。凡そ、重要事項はすべて文書(またはメール)で、まず本部から加盟店宛て送り、SVはその内容を改めて徹底する役割を果たすものである。文書の内容は、次のようなものである。
 新商品開発、新商品発売、販売促進、新しい本部・加盟店間の取り決め、会社方針、原材料価格変更、新規原材料の取り扱い開始、一部原材料取り扱い廃止、メニュー廃止、マニュアル変更、 本部と加盟店の連絡事項で重要な案件は、必ず文書(またはメール)で通知される。これらもコミュニケーションの重要な内容である。
 文書によるコミュニケーションは、情報を同質的に関係者に伝えられる、一時に多くの関係者に伝えられる、保存がきく、事前にキャンペーンが張れる、といった長所がある。しかしその一方で、文書によるコミュニケーションは、「一方通行」だという欠点がある。反対意見が拾えない、とか、理解したのかどうか確認できない、といった不便さがある。したがって、文書によるコミュニケーションだけで「事足れり」とするのは危険である。常に文書によるコミュニケーションには、SVによるフォローが必要であることを確認したい。

(2)加盟店から本部への文書

 加盟店が本部に文書を送り、コミュニケーションの一方法として採用することもしばしばある。加盟店から本部への文書の内容は次のようなものが多い。
 会社方針に対する意見、会社方針に対する建議、新商品開発に対するアイデア、会社に対するクレーム、SVに対するクレーム等 加盟店から本部に文書が送付される場合は、かなり深刻な場合が多い。本来、加盟店を訪店するSVに対して口頭で意見を述べる機会が多いにも係らず、敢えて文書を送る場合は,SVを相手にしないで、会社のトップ、もしくはトップに近い層に訴える内容が多い。
 加盟店から本部に送られた文書には、慎重な対応が必要である。放置すると、とんでもない事件に展開することが稀にはある。SV対応に任せないで、SV同行のうえ地区長、本部長などが加盟店に出向いて、文書の真意の確認、提案事項の解決に向けて、真摯に対応すべきである。
 本部側の姿勢が、そのまま本部の誠意、もしくは不誠意と取られることがあり、真剣に対応することが求められる。

4. 機関誌の発行

 本部が加盟店との意思疎通のために機関誌を発行する事例も多い。筆者も多くの本部から機関誌をお送りいただいている。だから機関誌は単に、本部と加盟店の意思疎通だけではなく、関係者に送り、会社の考え方を広く社会に理解してもらおうとする役割もある。この場を借りて、機関誌をお送りいただいている各社にお礼を申し上げる。
 機関誌は、1~3ケ月に1回というように、定期的に発行されることが多い。どちらかと言えば、本部の意向、社長の考え方、本部方針を伝えるものが多い。中には、毎回社長が丁寧に「加盟店通信」を書いたり、新規加盟店のオープン情報の通知、新入社員の写真付き紹介、社員の写真付き紹介等各社の特徴が出ている。
 しかし、加盟店を紹介したり、加盟店の意見を載せる機関誌は少ない。どうしても社内報的な機関誌が多いようである。
 日本フランチャイズチェーン協会とかフランジャ誌等でコンテストを試みて、一部を紹介するなどの企画があっても良いだろう。
 本部が作成するものだから、どうしても本部からの連絡、伝達事項が中心になるのは残念である。加盟店の意見も掲載する機関誌になってもらいたい。

Ⅲ オーナー会儀の開催

 一般的には、会社が主催して、加盟店オーナーを集めて、トップや本部長が会社方針、予算、会社の進路等を語るケースが多い。定期的に行う場合は、年2回程度が多い。資金も会場の準備もすべて会社が行うものであり、加盟店オーナーはお客さんである。
 オーナー会議の出席者は、フランチャイズ・オーナー,SV、トップ、それに本部の取締役等経営責任者というのが一般的である。
 オーナー会議はフランチャイジーが本部の経営責任者と直接意見交換できるところに最大の魅力がある。
 フランチャイジーが本部のトップ層に直接コミュニケーションできるチャンネルを作っておくことは、チェーン運営をスムーズに行う上で極めて重要である。
 また、オーナー会議に順ずる機関として、オーナー・店長会を開催する本部も多い。オーナー・店長研修会は経営技術の習得,向上を目的とするものであり、時には本部の説明のみではなく、業績好調な加盟店オーナーに講演を依頼して、非常に多数の加盟店を集めているケースもある。成功事例を直接加盟店の成功者から聞くのは,SVを通して間接的に聞くよりはるかに刺激的であり、この場を通して加盟店同士の横のつながりが生まれ、新たな信頼関係が生まれる可能性がある。
 外食、サービス、コンビニ等各種のフランチャイズ本部がオーナー会儀を開催し、その後懇親会となり、相互親睦を深める機会となることがある。
 勿論、オーナー会儀の開催は本部に対するクレームを述べる機会にもなる。本部側は、これらの事態を恐れず、真摯に話し合う姿勢が必要である。
 まだ、オーナー会儀を開催していない本部があるならば、是非積極的に開催することをお勧めする。必ず、将来的に明るい展望が開ける筈である。
 店舗数が多くて、一会場では収まらない場合は、エリア毎に開催している事例が多い。すべての会場にトップ層の出席が求められる。

Ⅳ 加盟店会の結成と活動

1. 加盟店会の歴史

 現在、文献でたどれる加盟店会の歴史は1972年(昭和47年)7月の「ミスタードーナツ共同体」が最初である。(「ミスタードーナツ物語」桑原聡子著)同書によれば、{ミスタードーナツの創業期を支えた日比野清二(故人)は1966年にダスキンに入社し、1973年には取締役に就任、総合企画部長としてダスキンにおけるフランチャイズシステムの礎を築いた。ミスタードーナツの本格的なフランチャイズ展開に当って彼が提唱したのが共同体機構づくりの発想であった。

日比野は 「アメリカのフランチャイズチェーンにおいては加盟店同士の横のつながりは認められていないが、“祈りの経営”の理念に即していえば、ミスタードーナツでは本部も加盟店も一緒になって艱難辛苦と喜びを分かち合っていくべきであろう」ということで、熱心に共同体づくりの提案をした。旧来のどのフランチャイズチェーンシステムにも見られないこの仕組みが結成されることになった。
そしてその運営を代表理事として率先して担ったのがフランチャイズ第1号店の山西利夫(「ヤマヨフーズ」相談役、故人)であった。

ダスキン創業者の鈴木清一(故人)は「我々の考えるフランチャイズというのは運命共同体である。本部だけがレギュラーチェーンのように勝手に決めて全国いっせいにおふれを出して、それをやらせるというようなことは決してしたくない」と言い、また「私は生意気のようだけれども、世の中に数多く見られるようなフランチャイズとは一線を画したい。金を取るための本部ではない。要するに加盟店になった人が喜んだ結果として本部に利益が出てくる。そのためには本当にこちらが痛い思いをし、苦しい思いをして試行錯誤を重ねながら、一つの完全になったものをノウハウという形にして初めて加盟店を支援できる。その本部と運命を共にする人たちとは共同体にならなければならない」ということを常日頃から言い続けていた。
 つまり本部と加盟店とは縦の従属関係ではなくて、互いが対等の関係をもった異なった機能の組織集団として啓発しあい、それによってミスタードーナツ全体として発展・成長を実現していきたいとしているのである。
 この共同体は総会、常任理事会、未来開発運用基金管理委員会、理事会および①福利厚生、②教育研修、③未来開発基金運用、④販売促進の四つの専門委員会からなっている。共同体の会費は1独立店舗ごとに月額1万3千円である。これを基金として四つの専門委員会を軸にしたさまざまな事業活動が共同体独自の運営によって行われている。この共同体の基金は今では(平成10年)43億円に達している。
 この共同体の総会には加盟店の代表がすべて出席する。そしてミスタードーナツの事業運営は、この共同体をベースにした加盟店の代表とともに相談しながらすべて進められていく。
 言ってみれば、本部はこの共同体の事務局的な役割を果たすものであると言ってもいい。「もちろん最終的な決定権と責任は本部にあるが、しかしあくまでも本部としては、フランチャイズチェーン運営において共同体を軸にした加盟店の意見を尊重していこうという姿勢を創業から今日まで貫いている」という千葉社長の言葉に、共同体のこの性格と位置づけが読み取れるというものであろう。}
 このミスタードーナツ共同体に関する言葉をすべて鵜呑みにすることは出来ないが、フランチャイズ運営の基本的部分で尊重されたことは間違いない。

 飲食フランチャイズの加盟店会として一番有名なのは、モスフードサービスの共栄会であろう。以下「夢見る雑草たち」(加藤勝美著)によって、共栄会の歴史を辿ってみる。
{昭和55年(1980年)というと、ジー1号店の小林敏美がオープンして6年目、3号店の鈴木一生が5年目を迎える。本部組織も54年(1979年)12月現在で、桜田社長(現社長の叔父)、吉野専務(故人)、渡邉常務のもとに総務、営業、開発の3部が置かれ、営業部(渡邉兼務)にはトレーニングセンターがあり、取締役3人を除く社員は45名、会社組織として体を成しつつあった。
 一方、ジーの側では地域によって自発的な会合が開かれるようになっている。まず名古屋でかなり早い時期から小林敏美を中心に時々集まって飲む会が開かれていた。また神奈川県内のジー数店が集まったのは54年(1979年)のこと。
 それまでは、本部としては、不確定情報が乱れ飛んでは困るという理由でジー同士が話をするのは禁じており、ジー同士の横のつながりはパティの貸し借りをする程度であった。桜田(社長)たちは、ジーの集まりがある地区とない地区があってはいけないと、全国にこの動きを広めることにし、渡邉常務と田村茂が日本地図を広げて全国を15の地域(支部)に分割してみた。ジーはどこにだれがいるのかお互いにほとんど知ることがなかったので、支部長は古いジーを本部が推薦することにした。
 東京は東西に分けた。東京東支部は巣鴨店の清水孝夫が支部長として推薦され、8名のオーナーが本部に集まった。地方ではその地区担当のスーパーバイザーと部長クラスが出席した。支部長は本部推薦通りに承認され、次に全支部長が本部に集まった。
 ここもみな初対面である。本部は理事長に清水孝夫(後にモスフード第2代目の社長)、小林敏美に副理事長、鈴木一生に会計理事になってもらう予定で、あらかじめ3人の承諾を得ておいた。予定通り三役が決まり、会の名称は清水理事長が「ヤクザじゃないけれどもわれわれは共存共栄だから共栄会がいい」と発言し、その通り決まった。(これが昭和55年(1980年)の7月末)
 第一回全国大会は昭和55年(1980年)9月10日、11日に熱海の大野屋で開かれた。大会前の臨時理事会(各支部長がメンバー)で三つの委員会(福利厚生、商品開発、販売促進)の設置が決定された。
 全国大会の司会は渡邉常務、桜田社長が共栄会会長として会の趣旨を説明、理事長として清水孝夫の挨拶、来賓の挨拶の後、奥住正道(奥住マネジメント研究所所長)と桜田慧の講演という形で会は進められた。
 会の発足に当って桜田社長は「お互い、いいことも悪いことも言い合おう。一店が悪ければモスバーガーチェーン全体のイメージが悪くなる。仲間同士が切磋琢磨し合って負け犬になるのはやめよう」という考え方をジーに示した。
 それまでは、本部とジーの関係は一店ごとに指導 => 被指導というタテの関係にあったがジー同士が横につながることによって、指導 => 被指導という契約関係を含みつつ、ジー同士が刺激し合い助け合うという非契約的な関係が組織化されることになった。そして他方では、各店のレベルアップにおのずとつながっていくという効果が生まれた。
 支部会の活動として、まず第一に取り上げられたのが「店舗クリニック」だった。年に3回開かれる支部会では、まずどこかのジーの店に集まってもらい、本部が作ったチェックシートを渡す。内容は「掃除、味、サービス」に大別され、他に「外回り、看板、ポスターの張り方」などである。それに各自がコメントを書いたり○×をつけたうえで、支部会の席上で結果を発表し、それを受けて店側(オーナーか店長)が「こうしたい」と所信表明する。
 そのうち神奈川支部から“HDC運動”の提案が出てきた。それまでH(ホスピタリティ=おもてなし)もデリシャス(デリシャス=味)もC(クレンリナス=掃除)も単独で使っていたが、これは、ジーの教育につながるので、新たにモスバーガー共栄会に教育委員会を設置したのが、昭和57年(1982年)1月であり、HDC運動の開始が決まった」}

 個別指導学習塾として最多の店舗数を誇る明光ネットワークジャパン(以下明光)は創業4年目の1988年(昭和63年)に、会社の要望でフランチャイジーにオーナーズクラブを結成してもらった。明光はFCオーナーとの共存共栄が基本方針であるため、オーナー同士が自由に横のつながり持てるような「オーナーズクラブ」の結成を図ったのである。現在は全国を9つのブロックに分けて、各ブロックから2名(近畿のみ3名)で合計19名の理事を選出している。更に、理事会の連続性が担保されるように、任期は2年であるが毎年半数の理事が改選される仕組みである。理事会には本部から社長や役員が参加するが、オブザーバーの立場で、運営を主導することはしないそうである。
 事務局は本部の人が担当している。オーナーズクラブと本部が一体となり、研修会、勉強会、懇親交流会、ノウハウの共有を推進している。

2. 加盟店会の運営

 ミスタードーナッ、モスフードサービス、明光ネットワクジャパン3社の加盟店会(若しくはオーナー会で、夫々名称を付けている)の誕生と、会の運営について述べたが、これ以外の本部の加盟店会に概ね共通する「加盟店会の運営」は次のような内容が多い。

(1)加盟店会の設立

 多くは本部が主導して作り、場合によっては第1回の理事選任に当っては、本部が選定しているケースが多い。2回目以降は、加盟店会の意向によって選定されている。最初は、社長が加盟店会の会長を引き受けている事例もあった。

(2)事務局

 殆どすべての加盟店会では、現在でも事務局は本部側が引き受けている。加盟店会の都合と、本部側の都合が一致するためであろう。

(3)運営費

 加盟店会として、1店舗に付き年間の会費を徴収している。本部もそれなりの負担をしている。加盟店の会費と同額、もしくは直営店1店舗につき、加盟店会と同じ会費を支払う等のケースがある。

(4)会則

 いずれの加盟店会も会則を有し、毎年決算、予算を組んでいる。本部側の負担を上記の例が多い。

(5)事業

 オーナー研修、店長研修が一番多い。本部主催の研修会もあるが、加盟店会と共催の形を取ることが多い。

次に、福利厚生、本部の方針発表会、加盟店表彰等が行われることが多い。

(6)目的

 加盟店間の交流、相互親睦を上げる会が多いが、モスフードの共栄会のごとく、会社施策を共同して行う会も多いし、効果も上げている。
 本部と加盟店、加盟店間の情報交換、コミニュケーションには、加盟店会の後で開催される懇親会が、非常に有効に活用されている。本部のトップや経営層との意見交流は、本部運営の判断材料として活用されるケースが多い。

(7)効果

 加盟店会を作った本部では、当初は加盟店会による“突き上げ”“ロイヤルティ減免要求”等の動きがあっても、最終的には「本部と加盟店は共存共栄」という基本理念に立ち返っているケースが大半である。
 また、調査した範囲内では、加盟店が本部との間で訴訟を起す事例は非常に少ない状態であった。
 例えば、明光ネットワークジャパンの渡邉社長は「加盟店からの訴訟は1件もない」と絶えず語られる。

Ⅴ 加盟店会のモデル規約

 加盟店会を結成する場合に、会の規約を定めるものである。この加盟店会規約のモデル案を求められる場合が多いので、以下に一つの規約安を提示する。これはあくまでも、モデル案であり、これを参照しながら各チェーンの実態にあった加盟店会規約を作られることを期待したい。

               〇〇加盟店会規則

制定  平成20年1月1日

(名称)      
第1条 本会は〇〇会と称し、事務局を○○株式会社(以下本部という)に置く。
(組織)      
第2条 本会は○○(株)が主催するフランチャイズ・チェーン店に加盟して、店舗を経営するオーナーで組織する。
(目的)      
第3条 本会は会員相互の親睦と情報交換を行うことにより、本部・会員相互の共存共栄を目的とする。
  (2)本会は○○本部に対して経営上の意見具申ができるものとする。
(役員)      
第4条 本会に次の役員を置く。
  (1)会長   1名
  (2)副会長   3名
  (3)幹事   若干名
  (4)会計監査   2名
(役員の任期)      
第5条 役員は会員からの互選によって選任し、任期は毎年1月より1ケ年間とする。但し再選は妨げない。
(機関)      
第6条 本会に次の機関を置く。
  (1)総会    
  (2)幹事会    
  (3)支部会    
  ①北海道・東北支部 ②関東支部 ③中部支部 ④関西・四国支部 ⑤九州支部 但し、各支部には支部長を置き、支部長は支部で互選する。
  (4)店長会    
(会議の開催)      
第7条 本会の各会議は下記の通りとする。但し、増減することがある。
  (1)総会 年2回 3月、9月
  (2)幹事会 年4回  
  (3)支部会 年6回  
  (4)店長会 年6回  
(会費)      
第8条 1.本会の会費は1店舗につき月額5,000円とする。本部の負担する会費については加盟店数に月額4,000円を乗じた額とする。
  2.前項に拘らず、幹事会が必要と認めた場合には臨時会費を徴収できるものとする。但し、事後総会において承認を得るものとする。
  3.会費の納入は毎年1月~6月分を7月末日日までに、7月~12月分を1月末日日までに納入するものとする。
  4. 納入された会費については、いかなる場合においても返還しないものとする。但し、月の途中での入退会は当該月の会費は免除する。
(会計)      
第9条 1.本会の会計は予算をもって運営し、会計処理は事務局で行う。
  2.会計年度は1月1日より当年12月31日迄の1年間とし、収支決算は会計監査委員による監査を行った後、総会において事務局長より報告しなければならない。
(その他)      
第10条 1.本会則は幹事会において変更、修正することが出来るものとするも、事後必ず 総会にて承認を得るものとする。
  2. 本会則に定めない事項については、その都度幹事会で申し合わせ確認することとする。

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