フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

停滞期に入った日本のフランチャイズ・ビジネス

 2009年度の「JFAフランチャイズチェーン統計調査」が、10月25日に発表された。店舗売上高(システムワイドセールス=協会用語では末端売上高)は前年比▲0.03%減(56億円減少)であり、この調査が始まって以来初の減少である。また、チェーン数も昨年に引き続き25チェーン減少であり、日本のフランチャイズ・ビジネスが停滞期に入ったことを示すものであり、長期に亘る停滞期の始まりの恐れもあると思われる。
 本報告では、2009年度の統計調査の詳細と、国際比較、小売業・飲食業におけるフランチャイズのシェアー、各国のフランチャイズ・システムの比重比較など先学の意見を参考にしながらまとめ、最後にこの停滞期に対する若干の私見を述べてみる。

Ⅰ 2009年度「JFAフランチャイズチェーン統計調査」の概要

1. 調査結果の概要

 日本フランチャイズチェーン協会の調査によれば、2009年度の調査結果は表―1の通りである。

表―1  2009年度調査結果    (金額単位 百万円)

  チェーン数 店舗数 売上高
チェーン数 増減 店舗数 前年比増減 前年比(%) 売上高(百万円) 前年比(%)
総計 1,206 ▲25 231,666 844 100.4 20,803,124 100.0
小売業> 330 ▲3 89,680 1,306 101.5 14,467,466 100.2
(うちCVS) 27 ▲3 45,006 615 101.4 8,119,490 100.6
外食業 512 ▲21 54,426 110 100.2 3.,932,675 99.8
サービス業 364 ▲1 87,560 ▲572 99.4 2,402,983 99.1

CVSはコンビニエンスストアの略

この調査を概観すれば、次の点が指摘できる。(概ね協会指摘事項)
①2009年度の日本国内のフランチャイズチェーン数は1,206チェーンで、前年比▲2.0%(25チェーン減)。これは前年に引き続き2年連続の減少であり、昨年よりも減少数が増加している。
②国内の総店舗数(直営店と加盟店の合計)は23万1,666店舗で、前年比0.4%増(844店増)。店舗数は前年度のマイナス成長からプラス成長に回復した。
③フランチャイズチェーンのシステムワイドセールス(以下「売上高」と表記)は20兆8,031億円で前年度比▲0.03%(56億円減)の微減となる。
 更に、業界別に動向を見れば次の通りである。(概ね協会指摘事項)

(1)小売業

 小売業界は僅かに伸びたが、ある意味で唯一の伸びを示した分野である。
CVSでは、店舗数は+1.4%の増加、売上高は0.6%の伸びであった。CVS自体はタスポ効果の剥げ落ちで、既存店はマイナス成長であったが、店舗数が1.4%増加したことにより全体として伸び、フランチャイズ業界にはプラス要因となった。しかし、CVSの既存店の落ち込みは激しく、業態の革新、変革が強く求められている。
 小売業では、チェーン数は3つ減少したが、店舗数は+1.5%、売上高は+0.2%となった。
「各種小売業」に含まれる100円ショップの店舗数が+12.1%増加したことにより小売業全体の店舗数も増加した。
 「宅配販売・通信販売・無店舗販売」分野では全体的に好調であるが、特に高齢者向けの健康食宅配が拡大した。店舗数は+42.2%,売上高は13.4%。但し規模はまだ小さい。
 医薬品・書籍・スポーツ用品・中古品等小売」に属する「ドラッグストア」は、フランチャイズ方式による業界再編が進んで、店舗数は前年比+6.1%、売上高は+4.0%と成長した。

(2)外食業

 2009年度の外食業界は、店舗数が+0.2%、売上高は3年連続のマイナス成長で▲0.2%であった。その中でも、比較的順調な伸びを示したのが「ファストフード」に属する「アイスクリーム」(店舗数+2.7%、売上高+3.0%)である。「ハンバーガー」は、店舗数は▲1.8%と減少したが、売上高は+1.6%のプラス成長を維持した。
 外食業界で目立った動きは、「その他ファストフード」に含まれる「たい焼き・たこ焼き・お好み焼き」あるいは「セルフうどん店」などの小投資・小規模店の増加である。
 「西洋料理・ステーキ・ピザ・パスタ」分野では特に、「ハンバーグレストラン」の急成長が見られた。
 居酒屋分野においても小投資型店舗の拡大が成長の源となっている。「立ち飲み」「セルフ式居酒屋」なども低価格志向に対応したものといえよう。
 分野別に売上高の減少が大きいのは「日本料理・寿司店」の▲8.8%、「持ち帰り寿司・弁当店」の▲6.0%、「ラーメン・餃子」の▲5.8%、「焼肉店・その他一般レストラン」の▲5.7%が目立ち、ほぼ昨年と同じ傾向が続いている。
 外食業界において特に著しい傾向はメニューの低価格志向であり、前年も同じ流れであった。

(3)サービス業

 サービス業で売上高がプラス成長を示した分野の一つが「クリーニング・クリンサービス」である(+2.9%)。要因としては、コインランドリー及びハウスクリーニングが順調に店舗数と売上高を伸ばしたことによる。
 リース・レンタルサービス」では若干の伸びが見られる(+0.3%)。これはCD/DVDレンタルが比較的順調に推移したからである。
 「学習塾・カルチャースクール」分野では店舗数はやや拡大したが、全体の売上高はやや減少(▲0.8%)であり、2010年度には「子ども手当て」支給により、伸びが期待される。
 「その他サービス業」の中では、介護関連のサービスビジネスが順調で、店舗数は+9.6%、売上高は+3.5%と前年に続きプラス成長となった。
 サービス業界で落ち込みの激しい分野は「理容・美容」の▲11.8%、「レジャーサービス・ホテル」の▲5.0%、「DPE・印刷・コピーサービス」の▲2.6%、「住宅建築・リホーム・ビル・メンテナンス」の▲2.3%、「自動車整備」の▲1.9%等であり、ほぼ昨年と同じ傾向が続いている。

2. 09年度統計はフランチャイズ・ビジネスの停滞期を示す

 09年度統計では、フランチャイズ業界全体の売上高がマイナスとなり、調査開始以来初めての現象である。このマイナス成長は昨年度の統計からも予測はできて、筆者は「08年度はフランチャイズ業界の転換点」と位置付けたが、ほぼ予測通りの結果となった。この現象は一時的現象ではなく、ある程度継続する可能性がある停滞期の特徴を示していると思う。
 即ち、大きく伸張する可能性があるビジネスが減少し、大きく後退する業種が多く見られる。また、デフレの影響も大きく、低価格化の現象は、外食業のみではなく、小売業にも広がっている。日本経済の停滞と期を一にする傾向であり、フランチャイズ業界のみが、成長を一人占めできる状態ではない。
 2010年度を予測すると、外食業、サービス業の売上高の前年割れは継続する恐れが高い。コンビニは上位3社を中心に店舗数は伸ばすと思われるが、既存店は7月、8月の猛暑効果も剥げ落ちて、10月以降はマイナス成長が続くと予測される。
 換言するならば、外食業、サービス業,CVS業ともに業態の継続的革新を図らないと、売上高の回復は難しく、このままでは停滞期が続く可能性が高い。

Ⅱ 世界各国のフランチャイズ・システムの規模

 フランチャイズ・エイジ2006年1月号で「世界各国の最新FC統計」という記事が出ている(22P)。このデータを基に小塚総一郎氏が「フランチャイズ契約論」にまとめられている。(このデータより新しいデータは見られない)(23P)これを表―2にまとめてみる。

 表―2  世界各国のFC統計          売上高の単位10億ドル

   
    システム数 店舗数 売上高 雇用数(千人)
北米 アメリカ 1,500 760,000 1,500 9,700
南米 ブラジル(04) 814 59,026 1 531
  ヨーロッパ フランス(04) 835 62,981 113.7 400
ドイツ(02) 760 41,200 23.8 362
イギリス 718 31,300 160 32.7
ロシア 95 1,850 N/A N/A
アジア 中国 1,900 87,000 90 2,000
日本 1,100 220,000 170 2,000
インド 600 40,000 1 300
マレーシャ N/A N/A N/A 500
オセアニア オーストラリア 720 50,600 62 600

 FC統計の数値は2005年度を基準にしているが、04年度2国、02年度1国であり、厳密な比較は難しい。
 日本フランチャイズチェーン協会の行う「フランチャイズチェーン統計」は毎年継続的に実施しており、この調査の正確性、継続性は世界に誇っても良いデータである。
 世界各国のデータがどこまで正確であるかは判らないが、店舗数、売上高、雇用者数等は、日本がアメリカに次いで世界第二のフランチャイズ大国であることは間違いない。
 但し、世界第二位のフランチャイズ大国にしては、「世界もしくはアジア」に対して、オープンなフランチャイズ・システムとは言い難い。日本列島にこもり勝ちな、「閉鎖的フランチャイズ」であることは、毎年開催される「フランチャイズ・ショー」に外国のフランチャイザーが出展しないことでも明らかである。これは(社)日本フランチャイズチェーン協会が、アメリカ以外の国を見ていない(アジア各国のフランチャイズ・ビジネスに高い関心を示していない)ことでも明らかである。日本経済はいまや、世界経済の孤児になろうとしている感があるが、フランチャイズは世界共通のビジネスであることに注目したい。

Ⅲ 各国に占めるフランチャイズ・システムの比重

 小塚総一郎氏の「フランチャイズ契約論」の24ページには、上記の「各国フランチャイズ・システムの規模」と並んで、「各国経済に占めるフランチャイズ・システムの比重」が一覧表に示されている。非常に参考になる表であるので、下記に引用する。

表―3  各国経済に占めるフランチャイズ・システムの比重

A/B C/D
売上高(億ドル) 国内総生産(億ドル) (%) 雇用数(千人) 就業者数(千人) (%)
北米 アメリカ 1,500 11,667.5 12.9 9,700 139,252 7.0
南米 ブラジル 1 604.9 0.2 531 80,163 0.6
ヨーロッパ フランス 113.7 2,002.6 5.7 400 24,720 1.6
ドイツ 23.8 2,714.4 0.9 362 35,659 1.0
イギリス 160 2,140.9 7.5 32.7 28,008 0.1
ロシア N/A 582.4 N/A 67,134
アジア 中国 90 1,649.3 5.5 2,000 737,400 0.3
日本 170 4,623.4 3.7 2,000 63,290 3.2
インド 1 691.9 0.1 300 368,966 0.1
マレーシャ N/A 117.8 500 9,867 5.1
オセアニア オーストラリア 62 631.3 9.8 600 9,636 6.2

 アメリカは国内総生産比率、就業者人口比率から見ても正に世界一のフランチャイズ大国である。しかし、アメリカでは商標型フランチャイズが含まれており、単純な比較は出来ない。小塚氏は同著作で、米国のFCの付加価値額で

ビジネスフォーマット型    73.6%
商標型フランチャイズ     26.4%

と計算されている。(2001年の統計から算出、24ページ)非常に参考になるご意見である。
 日本のフランチャイズの総売上高は世界第二位であり、国内総生産額に対する比率は3.7%、雇用者数は3.2%である。TPPへの参加を巡って日本の農業が取り上げられる機会が多いが、日本農業の生産額は08年で8.5兆円であり、フランチャイズ売上高はその2.45倍である。(「生産農業部門所得統計」2008年より)
 また雇用者数の200万人は、それなりに大きな数である。因みに総務省「労働力調査」(2010年9月)によれば、労働力人口は6309万人、農林業は254万人(専業従事者)、公務(員の意味か)は232万人、情報通信業は203万人、であり、雇用者の絶対数も雇用者比率3.2%も極めて高い数値である。菅総理の言葉を引用するまでもなく、現在の日本経済の最大の課題は「雇用の確保、増大」である。就労人口の3.2%を雇用するフランチャイズ産業は、日本にとって重要産業と位置付けても良いであろう。

Ⅳ 日本のフランチャイズ産業の最近の動向

 2009年度のフランチャイズチェーン統計はⅠで示した通りである。ここ5年間の動きを、日本フランチャイズチェーン協会のデータを引用して示す。

1.  わが国のフランチャイズ・システムの動向

表―4  最近5年間のわが国のフランチャイズ・システムの動向

(1) チェーン数

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
全業種 1,146 1,194 1,246 1,231 1,206
小売業 344 346 340 333 330
外食業 467 497 540 533 512
サービス業 335 351 366 365 364

(2) 店舗数

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
全業種 234,489 235,440 235,686 230,822 231,666
小売業 85,035 85,582 85,333 88,374 89,680
外食業 56,865 56,188 55,465 54,316 54,426
サービス業 92,589 93,670 94,888 88,132 87,560

(3) 売上高:単位百万円)

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
全業種 19,388,888 19,603,579 20,303,777 20,808,749 20,803,124
小売業 12,759,187 12,967,526 13,607,958 14,445,564 14,467,466
外食業 4,060,821 4,075,068 4,036,484 3,939,402 3,932,675
サービス業 2,568,880 2,560,985 2,659,335 2,423,783 2,402,983

2007年度までは若干ではあるが、チェーン数、店舗数、売上高は微増傾向にあったが(業界により若干の減少はある)、2008年度では売上高以外はほぼすべての項目で減少した。2009年度は総売上高も前年比で若干低下し、停滞期入りを示した。

2. フランチャイズ・システムのシェアー

 次に、業界全体の数字のある業種の「FC企業の占めるシェアー」を計算して見る。

(小売業)
 平成19年度商業統計の小売額(単位:百万円)     134,705,448
  2007年度のフランチャイズ統計(単位:百万円)    13,607,958
  全小売額に占めるフランチャイズのシェアー           10.1%
 (平成20年度商業統計は行われていない)

(外食業)
 平成21年度外食産業総合調査研究センター(単位:億円)  23,9156
  2009年度のフランチャイズ統計(単位:億円)       3,9326
  全外食業に占めるフランチャイズのシェアー           16.4%

(サービス業)
 平成21年度サービス産業動向調査(単位:億円)     291,4678
     (総務省統計局)
  2009年度のフランチャイズ統計(単位:億円)      2,4029
  全サービス産業に占めるフランチャイズのシェアー       0.8%

サービス産業動向調査は、中味に外食産業や農協を含むなど、フランチャイズ統計とは異なるものであるので、「サービス業」のシェアーは参考までに止めたい。

(総括)
 小売業、外食業全体に占めるフランチャイズのシェアーは10%~16%の範囲で、予想以上に高い比率を占めている。

Ⅴ フランチャイズ産業がなし得る対策について

 Ⅳで示した通り、フランチャイズ業が小売業、外食業に占めるシェアーは10~16%で、かなり高いシェアーを示している。しかし、このまま無為に過ごすならば、この停滞傾向は長期化する可能性もある。
 単にフランチャイズ産業の問題ではなく、日本経済全体の活性化のためにもフランチャイズ産業は何らかの手を打つ必要がある。
以下、思いつくままに、若干の対応策について述べてみる。

1.加盟者保護の強化、事前情報の開示強化

 現在、小売業、外食業については「中小小売商業振興法」により、加盟者に対して事前の情報開示が義務付けられている。しかしサービス業については、公正取引委員会のガイドライン(2002年4月改訂)で、開示事項8項目を定めているが、「開示が望ましい」と言う表現であり、強制的に開示を求めるものではない。せめて、サービス業については、別途法律を作るなり、「中小小売商業振興法」を改訂するなりして、加盟希望者への事前情報開示義務を課すべきである。
 また、事前情報開示義務違反(法定開示書面を作らない、事実と反する情報を開示等)に対する罰則は無いに等しい。規定に従わない場合は実施勧告、社名公表に止まっている。加盟希望者にとっては、法定開示書面は加盟の可否を決する重要書類であり、これに違反する場合は、最低でも罰金刑を課すべきであろう。  
 また、現在はフランチャイザーの開業は自由となっているが、最低でも都道府県への届け出義務を課すべきであり、違反社には罰金刑で臨むべきである。
 フランチャイズ・ビジネスへの国の関与は最低であることが望ましい。しかし、それでもこの程度の規制を行うことは必要と思う。

2.加盟店の募集方法

 現在どこのフランチャイズ本部も「加盟希望者が確保できない」ということで悩んでいる。一つの解決策として既存加盟店の複数出店を提案したい。既に当該チェーンに加盟し、それなりの業績を上げている人(法人)は、複数出店の誘いには検討がし易い。出来れば加盟金、リベート等で複数出店がし易い環境を作れば、複数出店の推奨は新規加盟者を募集するよりもはるかに楽である。
 コンビニではファミリーマートが02年に1FC-Cという加盟形態を作り、加盟者は加盟金以外に内装費全額(1千万円強)を負担することにより、複数出店を認め、最高で営業利益の10%程度をリベートで還元する方策を採用している。この複数出店政策が効果を表し、今年の夏には、複数出店社の店舗数が1店舗出店者の店舗数を上回ったそうである。
 コンビニの雄、セブンーイレブンも遅ればせながら複数出店者の支援拡充を発表している。10年10月29日の日経新聞は概略次のように伝えている。
 「セブンーイレブンは11月から複数出店オーナーのロイヤルティ率を最大6%軽減し(従来は3%)、近隣店舗を一手に担う既存オーナーを増やす狙い。複数店を経営しているオーナーは現在、約1,000人で、店舗数は全体の16%に当る約2,100店」と報じている。
 コンビニは従来1店舗オーナーが原則と思われていたが、現実には複数出店が常識になりつつある。
 また明光ネットワクジャパンでも、複数教室を開設するオーナーが多く、最大50教室を開設するオーナがいるし、2教室以上を開設するオーナー比率は52.8%と報告している。(ビジネスモデル説明書より、08年8月現在)

3. 既存業態のブラッシュアップと新業態の開発

 既存業態は時間と共に陳腐化するものである。陳腐化を防ぐためには、本部は絶えざる自社業態の革新、ブラッシュアップを続けなければならない。
 加盟店から徴収するロイヤルティは、通常、経営指導料、ノウハウ使用料、商標使用料と考えられている。筆者はロイヤルティの本質は、既存業態のブラッシュアップ料が、半分程度を占めると考えている。
 新メニュー、新オペレーション、新素材の開発、生産性の向上策の実施等数えあげれば切りがない。
 吉野家では、店舗レイアウトを大幅に変更し、従業員の移動歩数を45%削減した新型店舗を開設し、従来最低2名必要であった従業員数を客数が少ない夕方前などの時間帯には調理と提供を1人でまかなえる体制にした実験店を出店している。損益分岐点を下げて、1日の来店客が500人以下の少ない店舗でも採算が合う計算である。(日経MJ、11月3日)業態のブラッシュアップの典型例であり、成功することを心から望んでいる。
 業態のブラッシュアップの行き着く先は新業態の開発である。最近の居酒屋業態では低価格化、均一価格化が進んでいるが、もっと違った切り口が考えられないものだろうか。

4. 海外への展開

 日本のフランチャイズ本部の海外展開は急速に進んでいる。フランチャイズ・エイジ10年11月号によればフランチャイズ協会の会員社、準会員社を対象に「海外展開状況に関する質問」を郵送し、回答社は92社(83%)であったと報じている。

 

表―1  海外展開状況について

回答 企業数 構成比
展開中 46 41.4%
現在検討中で3年以内展開予定 5.4%
展開する予定が無い 34 30.6%
対象外 5.4%
無回答 19 17.1%
合計 111 100%
対象外:日本国内のみをテリトリーとしたマスターフランチャイズ契約等

 この調査によれば、協会会員社、準会員社の46%が海外展開を実施もしくは3年以内に展開予定であり、結構海外展開に意欲的であることが判る。
 しかし、協会に加盟していないフランチャイザー約1100社、及び日本ではフランチャイズ展開していないが、海外ではフランチャイズ展開している企業の実態は判らない。
 これについては、2010年2月に川端基夫氏による「日本木企業による国際フランチャイジング」(新評論社刊)が出版された。極めて優れた研究であり、一読をお勧めする(FC市場レポート2010年5月号参照)特に巻末に付されたデータベースは、完璧であり、撤退企業の多さに驚かされる。結章の最後に「今後の国際フランチャイジングの課題」としてまとめられているので紹介する。(同著232P以下)


① 海外パートナー企業に関する問題
② 海外店舗オーナーに関する問題(特にサブフランチャイジングについて)
③ 店舗開発に関する問題
④ 商品調達に関する問題
⑤ 法規制に関する問題
⑥ 従業員・人材に関する問題
⑦ 知的財産に関する問題
⑧ ノウハウの移転のマニュアル化・システム化問題
⑨ 文化(制度・慣習レベル)に関する問題
⑩ 文化(地域暗黙知レベル)に関する問題点

5. 地方での動き

 フランチャイズ協会の統計は1974年度以来毎年集計されており、その継続性、正確性は各国データの中では群を抜いている。しかし、調査の実態を調べて見ると、案外抜けている点もある。例えば、アンケート方式による調査のため、新聞・雑誌・テレビ等マス媒体に出ない地方に存在するフランチャイズ本部が、データから抜け落ちている例は、かなりある。特に、目立つことを嫌うフランチャイザーは、マスコミに登場することを極端にきらい、筆者は「絶対に外部に漏らさないこと」を条件にコンサル指導をした経験がある。店舗数は100店を超える優良フランチャイザーであるが、地方に本部があり、かつ本部自体がマスコミにさらされることを徹底的にきらうため、協会のアンケート調査の対象から外れている。
 この事例は極端にせよ、最近地方(例えば山梨県、石川県等)で、数店舗から10店舗規模でフランチャイズ展開しているが、協会のアンケートが届かないため、協会データから抜けている事例がある。
 東京や大阪のみ見ていると、フランチャイズは不振に見えるが、地方市場では、そこだけのマーケットに根を張り、生きているチェーンは存在する。
 これからは、地方発の情報をどのように把握するかも大切である。

6. サービス産業が発展の鍵を握る

 これからの日本のフランチャイズ産業の発展を考える場合、圧倒的にサービス産業が重要であることは論を待たない。
 日本経済の中では相変わらず、製造業の生産性が高く、「製造業の国」と思われているが、実は製造業のウエイトは確実に低下し、広い意味のサービス業の時代に転換しつつある。

日本の就業人口(2005年データ) 構成比
第1次産業(農業・林業・漁業) 5%
第2次産業(工業・鉱業・建設土木業) 28%
第3次産業(金融・保険・商業・観光・サービス業) 67%

 上記の通り、広義のサービス業従事者は67%であり(データは5年前)日本経済のサービス化は予想以上に進行している。
 今後も間違いなくサービス業のウエイトは高まり、いずれGDPの7割をサービス産業が担う日がくるであろう。フランチャイズ産業でも、当然サービス化のうねりは高くなり、サービス産業の比率が高くなるであろう。
 サービス・フランチャイズの流れをキーワード的に表現するならば、高齢化、健康志向、幼児教育、保育、安全、安心、美容、レンタル、便利、省エネルギー、介護、語学教室、スポーツ等であろう。
 これから新しく起業を目指す方々は、この方向で検討されるのも一つの選択肢であろう。

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