フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

2010年フランチャイズ業界を振り返る

Ⅰ フランチャイズ業界全般

1.フランチャイズ業界は停滞期に入った

 2009年度のフランチャイズ統計は、店舗売上高(システムワイドセールス=協会用語では末端売上高)は前年比▲0.03%減(56億円減少)の微減であり、この調査が始まって以来、初めての減少であった。また、チェーン数も1206チェーンで昨年に引き続き25チェーンの減少であり、いずれも日本のフランチャイズ業界が停滞期に入ったことを示すものであろう。(FC市場レポート10年11月号参照)
 この09年の全店舗売上高マイナス成長は昨年度の統計からも予測できて、筆者は「08年度はフランチャイズ業界の転換点」と位置付けた。
 大きく伸長する可能性があるビジネスが減少し、後退する業種が多く見られた。またデフレの影響も大きく、低価格化は外食業のみではなく、小売業、サービス業にも広がっている。日本経済の停滞と期を一にする傾向である。
 しかし、2010年ヒット商品番付(日経MJ12月8日)で横綱に輝いた「スマートフォン」「羽田空港」を見ると、新時代の到来を予測させるものがあり、2011年度以降のフランチャイズ業界に変化の可能性も予見される。

2.「コンビニ加盟店ユニオン」は労働組合か

セブンーイレブン加盟店経営者らで作る「コンビニ加盟店ユニオン」が3月25日までに,セブン本部に団体交渉を拒否されたのは不当労働行為だとして、岡山県労働員会に救済を申し立てた。
 申立書によると、ユニオンは昨年11月、本部に団交を求めたが、本部は「加盟店経営者は独立した事業主で、(本部とは)労使関係にない」として拒否した。ユニオンは「本部の経営方法や戦略に全面的に従わなければならず、明らかに使用従属関係にある」と指摘。加盟店経営者は労働組合法上の労働者にあたるとしている。(日経新聞10年3月25日)
 ユニオンは昨年8月、本部との話し合いの場を持つため、他チェーンの加盟店経営者らも含め約200人が参加して設立された。(同紙10年3月25日)
 フランチャイズ加盟店が労働組合の労働者に該当するか否かについては、筆者は既に「フランチャイズ市場レポート」09年9月号で「コンビニ加盟店ユニオン」は法適合組合の要件を満たさないとして、「労働組合ではない」と結論を出した。
 では(社)日本フランチャイズチェーン協会の意見はどうであろうか?実は協会としては、この重大問題についてはオリジナルな意見の表明はなされていない。しかし、協会の機関誌である「フランチャイズエイジ」09年11月号に協会顧問の川越憲治弁護士が「フランチャイジーの団体と労働組合」という論文を掲載されている。これが協会を代表する意見と思われるので、簡単に紹介する。 川越弁護士は労働組合法、労働契約法、各種判例、外国法などを引用して、次のように結論付けている。{そこで労働組合の定義をみると、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを目的として組織する団体またはその連合体をいう」(労働組合法2条)とされている。これによれば、労働組合を結成するための構成員は労働者でなければならない。しかし、上述の通り、フランチャイジーは事業者であって労働者ではない。原理的にいって、フランチャイジーが構成する団体は、労働組合とは認められないものである。}
 この川越弁護士の意見は適法であり、当然の結論であると思う。
 しかし、10年11月30日に厚生労働省が「労使関係法研究会」を立上げて、「労使関係の安定化を図る観点から、学識経験者を参集し、今後の集団的労使関係法制のあり方について検討を行う」とした「開催要項」を発表した。  検討事項として「近年、労働者の働き方が多様化する中で、業務委託、独立事業者といった契約形態下にある者が増えており、労働組合法上の労働者性の判断が困難な事例が見られる。このため本研究会は、当面、労働組合法上の労働者性について検討を行う。」としている。
 この研究会の構成員は東京在住の大学法学部の教授クラス7名で構成されており、この研究会が直ちに「コンビニ加盟店ユニオン」について何らかの意見を出すものではないと思われる。研究会は平成23年6月までに合計7回の検討を経て中間報告書が取りまとめられる予定である。
 配布された資料の中には「労働組合法の労働者性に関する代表的な中労委の命令、裁判例9件」「労働基準法研究会報告(労働基準法の(労働者)の判断基準について)(昭和60年12月19日)等が含まれている。
 加盟店ユニオンよりも委託経営制度、店長委託制度など外食業等に広がっているフランチャイズでもなければ、労働者でもない新しい契約関係の方が問題点を指摘される可能性が高いと考えている。(詳細は厚生労働省のHP参照)

3.「本部と加盟店のよりよい関係の在り方研究会」の報告書発表

 日本フランチャイズチェーン協会は6月27日に「フランチャイズ本部と加盟店のよりよい関係の在り方研究会」(以下研究会)の最終報告を行った。これに対する新聞社各社の報告は、殆ど要領を得ない内容であった。日経新聞は6月8日に次のような小さな記事で報告をまとめた。
 「FC本部と加盟店の関係強化に向け、9項目の対策を盛り込んだ報告をまとめた、既存店の近隣に出店する場合の適切な対応の必要性や、消費期限の迫った弁当などを値下げする見切り販売を制限できないことなどを明記した」
 この記事はまるで1年前の公取委によるセブンーイレブン・ジャパンへの排除命令から時間が止まったような報道である。
 昨年9月に「本研究会を通じて、時代の変化に対応した、本部と加盟店のよりよい関係のあり方を探るとともに、今後検討、決定された事項については速やかに公表し、積極的かつ迅速に対応する」と高らかに述べた目的とは大きくかけ離れた報道内容に導く結果であった。
 フランチャイズエイジ10年7月号が、その内容を公表しているが、残念ながら何回読んでも良く理解できなかった。
 外部から見ていて、対策らしきものが実施されたのは「加盟店相談センターの設置」、「コンビニ経営実態に関する調査」、「本部・加盟店懇談会の開催」の3点程度である。しかも実態調査(アンケート調査)の公表もなければ、加盟店懇談会の内容も公表されていない。酷評するならば「加盟店相談センター」を強化した程度の話である。
 様々な問題点、例えば加盟店経営問題、ドミナント問題、情報開示や会計処理に関わる問題などや,JFAが取るべき対応策等がこの報告書からは殆ど見えない。あれだけの叡智を集めて3ケ月も掛けた研究会がこの程度の結論しか出せなかったという思いは筆者一人のみではないだろう。
 座長を勤められた明治大学大学院教授の上原政彦氏の「フランチャイズシステムの本質的意義」と題する2ページの提言は、フランチャイズシステムの本質を突く提言であり、読み応えがある。せめてもの救いである。

4. フランチャイズ企業の海外展開が一段と進む

 フランチャイズエイジ10年11月号で、「海外展開状況アンケート集計結果」を発表した。これは例年おこなっている協会の正会員社および準会員社に対して実施し回答率は約83%(92社)と高い回答率になっている。

(1)海外展開状況について

 既に「海外展開している」企業は46社で、昨年比2社増加である。CVS4社、小売業6社、外食業28社、外食&サービスが1社であり、構成比は外食関連(約60%)が多い。

表  海外展開状況について
                                                                                     
回  答 企業数 構成比 前年比増減
展開中 46 41.4% +2社
現在検討中で3年以内展開予定 6< 5.4% +2社
展開する予定がない 34 30.6% ▲10社
対象外 >6 5.4% 0社
無回答 19 17.1%  
合   計 111 100%  

対象外:日本国内のみをテリトリーとするマスターフランチャイズ契約

表 既展開企業の業種別内訳

                                                                                     
業  種 企業数 前年比増減
CVS 4 +2社
小売業 6 +2社
外食業 28 0
サービス業 7 0
外食&サービス 1 0
合   計 46 +2社

(2)展開先国・地域及び業種別店舗数

 展開先は16カ国・地域に及び、総店舗数は15,183店であった。昨年調査から1年間に約1,780店の出店があったのに対し、約40店の閉店があり、前年比1,743店増(113%)であった。
 店舗数では、全ての国・地域で増加し、店舗数の伸長が大きい国は①韓国(前年比113%)、②中国(同136%)、③フィリピン(同114%)の順であった。
 店舗数ではCVSが圧倒的であり、10,464店に及んでいる。(約69%) 続いて外食業が4,581店であり、(約30%)この2業態で99%の店舗数を占めている。

(3)今後の海外展開について

 既海外展開企業46社を対象に、今後の海外展開施策について国(地域)別にしたところ、CVSでは米国を除く国・地域で「拡大予定」であると回答し、新たな市場としてはASEAN諸国の未展開国を挙げる企業があった。
 小売業では、中国、米国等で「拡大予定」であった。
 外食業では、約5割が「拡大予定」であると回答し、展開先国としてはタイ、中国が最も多かった。
 サービス業では、学習塾、ダストコントロール業態が中国、台湾での展開を「拡大予定」であるのに対し、クリーニング業態では、全地域で「現状維持」という回答であった。
 また「日本企業の国際フランチャイジング」の著者川端基夫氏は、日本の国際フランチャイジングをめぐる新しい動きとして、次の6点を挙げている。
① 国内市場の縮小
② 途上国での関連法の整備
③ (外国)政府による支援姿勢
④ レギュラーチェーンによる国際フランチャイジング(JFAの調査対象先)
⑤ 製造業による国際フランチャイジングの開始
⑥ アジアの日本食ブーム

Ⅱ 小売業界の動き

1. コンビニ・省エネ店舗数を拡大

 セブンーイレブン・ジャパンは、環境配慮型店舗を国内外で展開する。発光ダイオード(LED)照明や太陽光発電など省エネ技術を集めた国際標準店舗を開発し、5年間で世界約2万店に導入する計画であり、店の消費電力を最大3割(年間約90万円)抑制し、二酸化炭素排出も削減する計画である。国内では4月施行の改正省エネルギー法により、FC店舗にも省エネ対策が義務付けられ、セブンはエコ店舗を昨年に開発し、都内の店などに試験導入した。(日経新聞4月6日)
 ローソンは電気使用量を既存の通常店に比べて約20%削減できる環境配慮型店舗を12月1日に京都府田辺市に出店した。全照明に発光ダイオード(LED)を採用し、冷蔵ケースに断熱ガラス扉を使用するなど、最新の省エネ設備を集積した。同社の従来のエコ店舗より電力の削減幅が約5%大きい。効果を検証したうえで、20012年度からほぼすべての新店に取り入れる方針である。(日経MJ11月26日)
 ファミリーマートは2015年までに国内外の1万2千店以上を環境配慮型の店舗にする。日本、韓国、タイなどを加えた全店の約半数に当る。発光ダイオード(LED)照明や太陽光発電など既に日本で実験している技術・設備を広げる。二酸化炭素の排出量を削減するほか、環境にやさしいイメージの確立を目指す。(日経新聞9月20日)

2. コンビニ・複数出店者が増加

 コンビニ・オーナーが複数出店する動きが広がっている。ファミリーマートは2002年に、店舗内装を加盟店が負担するFC-Cというタイプを作り、積極的に複数出店を進めてきたが、今年度内に複数出店者の店舗数が5割を越える見通しである。
 10年2月期で各社の発表をまとめると次のようになる。

チエーン名 店  数 構 成 比
ファミリーマート 約3,300 約46%
セブンーイレブン 約2,100 約16%
サークルKサンクス 約1,500 30%強
ミニストップ< 約600 3分の1

(注)2010年2月期末、日経MJの推計

 ローソンは店舗数を明らかにしていないが、オーナーの2割程度が複数店を経営しているという。
 1人のオーナーが経営する店の数が増加しているのも最近の特徴であり、ファミマでは最高29店、セブンーイレブンでは17店を経営するオーナーがいる。
 複数出店者の増加の背景には①コンビニの飽和感の強まり②同一オーナーならばドミナント出店が出しやすい③経営リスクの分散④アルバイト店員の教育や勤務体制の効率化⑤引退オーナーの後継者確保などがある。
 ファミリーマートでは、本部が受け取るロイヤルティの一部を複数出店オーナーに還元する制度があり、最大で売上総利益の10%の奨励金を設けている。
(日経MJ9月6日)
 セブンーイレブン・ジャパンは11月1日、加盟店オーナーの2店目以降のロイヤルティ率の軽減幅を従来より3%上乗せして最大6%に変更した。昨年7月に導入した複数店経営奨励制度を拡充したもので、事業拡大を目指すオーナーを支援すると同時に、ドミナント出店にともなうオーナー間の競合緩和につなげる目的である。(日経MJ11月1日)
 従来複数出店奨励策は外食フランチャイズに多かったが、サービス業、コンビニにも広がり、複数出店者の売上高は約10兆円に及ぶとする計算もある。

3. コンビニ各社の2010年度第2四半期の決算

 コンビニ各社の2010年度第2四半期決算がまとまった。今年の特徴は中堅チェーンの健闘が目立ったことである。中でもミニストップ、スリーエフでコスト削減の効果が大きく出た。

表 2011年度第2四半期決算
チェーン名 全店売上高 増減 連結営業利益 増減 既存店日商 既存店客数
セブンーイレブン 1,467,546 +3.0% 278,129(単体) +4.0% 629千円 1,057人

ローソン

747,582 -1.5% 30,148 0.0% 508千円 887人
ファミリーマート 727,860 +11.8% 21,916 +11.6% 505千円 956人

ミニストップ

158,301 +1.8% 4,399 +76.0% 478千円 921人
ポプラ 46,278 -6.6% 295

-33.1% 369千円 733人
スリーエフ 52,792 -4.4% 554 +40.9% 445千円 848人
  (百万円)   (百万円)      

(月刊コンビニ2010年12月号)

4.  コンビニ・エリアフランチャイズの紛争増加

 日本のコンビニは、セブンーイレブン、ローソンを除く各社で1985年以降エリア・フランチャイズ制度を導入して店舗数を大きく伸ばした歴史がある。
 今年5月にサークルKサンクスとエリアフランチィザーであるシー・ヴィ・エス(CVS)ベイエリアが対立していることが判った。CVSがチェーン離脱を求めたに対して、サークルKサンクスは「CVSにFC契約の中途解約権はない」として5月に東京地裁に提訴していた。
 東京都と千葉県に約130店を展開するCVSが昨年2月、2012年の契約満了前に離脱し、他チェーン加盟も含めて検討するとの意向を伝えたのが発端である。CVSは「営業利益が減る中で、サークルKサンクスの商品力やサービスに課題があった」としている。(日経新聞6月28日)
 対立が深まったのは今年4月,CVSの運営する千葉県市川市のビジネスホテル1階にローソンが開業したことである。これに対しサークルKサンクスは「店舗を他チェーンに賃貸する行為は契約に基づく義務違反」としてCVSに回答を求めたが、CVSからは「期限を経過しても回答はなかった」という。サークルKサンクスは①CVSの中途解約の不存在の確認②(店舗の他チェーンへの賃貸という)義務違反行為の差し止めを求めて5月20日付けで東京地裁への提訴に踏み切った。(日経MJ6月28日)
 CVSは「ローソンはあくまでホテルのテナントで、サンクスを転換したものではなく、契約違反には当らない」との立場である。(日経MJ6月28日)
 また、富山県でコンビニの「サンクス」を展開するサンクスアンドアソシエイツ富山は、ローソンにコンビニ事業を譲渡すると発表した。サークルKサンクスとのエリア・フランチャイズ契約は来年7月1日の契約満了とともに打ち切る。サークルKサンクスは「まったく説明がなく唐突」として反発している。
 サンクス富山は、なのはな農業共同組合の子会社で、19%を出資するサークルKサンクスからノウハウの提供を受けるエリアフランチャイザーである。富山県ないで77店のサンクスを運営している。
 サークルKサンクスと契約更改に向けた交渉を進めてきたが「加盟店支援策について具体的な提言が得られなかった」として契約を更新せず、ローソンに事業譲渡することを決議した。(日経MJ10月4日)
 エリア・フランチャイズ制度に関する研究は非常に少ないが、(社)中小企業診断協会東京支部FC研究会が10年3月に発表した「エリア・フランチャイズ制度に関する調査報告書」によれば、「エリア・フランチャイズ展開は加盟店開発の有力な経営手法の一つでありますが、これが他の経営手法に必ずしも勝るものではないことを肝に銘じる必要があると思います。安易にエリア・フランチャイズによる全国展開を考えることは、必ずしも適切ではありません。むしろ、フランチャイズビジネスで成功する本部になるためには、フランチャイズパッケージのブラッシュアップこそが、成功への近道ではないでしょうか。」と警告を発している。

5.  ブックオフ、衣料品・雑貨等へ事業拡大

 カリスマ創業者の坂本孝氏が去った後、同社を率いてきた佐藤弘志社長はブックオフを大きく変えようとしている。
 中古書専門チェーンの時代は過ぎ、衣料品やスポーツ用品など様々な中古品を扱う「捨てない人のインフラ」を目指すという。
 佐藤社長によれば、中古書専門チェーンは現在総店舗で約1000店あるが、その総売上高は今の1.5倍の1300億円が限度であり、2倍になることはない。09年の雑誌を含む国内の新刊書籍の市場規模は1兆9356億円で、ピークだった96年に比較すると3割近く減少している。中古書籍について矢野経済研究所は09年度の市場規模を1296億円と推計し、11年度には更に1336億円まで拡大する見通しとはいえ、新刊書籍市場の縮小を補うほどの規模ではない。
 そこで、創業20年を迎える今期(11年3月期)から、新しいビジネスモデルの構築へかじを切った。  1フロア、5000平方㍍の売り場に衣料品やスポーツ用品などの中古品がずらりと並び、一番奥まで進むと中古書籍売り場にたどり着く。2009年名古屋市に出店したリユース大型店「BOOK OFF SUPER BAZAAR(BSBブックオフスーパーバザール)カインズモール名古屋みなと」。これがブックオフコーポレーションを象徴する店舗である。
 佐藤社長は「年間4~5店は出したい。BSBの売り場面積は最低でも5000平方㍍にするつもりで、1店あたりの年間経常利益は1億円のレベルで、標準的なブックオフの店舗の10店舗分に相当します。(日経MJ6月6日)
 首都圏でもBSBを相次いで出店し、BSBは16店舗となった。(日経MJ11月5日)

Ⅲ 外食業界の動き

1. 外食売上高6年ぶり減少

 日本フードサービス協会が1月25日に発表した2009年の外食売上高(新店を含む全店ベース)は08年比1.5%減となり、冷夏で客足が鈍った03年以来6年ぶりに前年実績を下回った。節約志向を反映して低価格化が進み、客単価が1.7%減と4年ぶりに落ち込んだ。全体の客数は価格引下げやキャンペーンの効果で0.2%増えたが、客単価の落ち込みを補えなかった。
 業態別の売上高はファミリーレストランが4.7%減、パブ、居酒屋が5.8%減となるなど総じて苦戦した。一方、めん類チェーンなどが好調であったファストフードは2.5%伸びた。(日経新聞1月26日)

2.マクドナルドが善戦した

 外食業が概して苦戦するなか、マクドナルドの善戦が目立つ。日本マクドナルドHDが8月4日に発表した2010年1月~6月期の連結経常利益は、前年同期比58%増の142億円となり、上半期の過去最高を更新した。期間限定商品のヒットや、コーヒーメニューの拡充による新規顧客の開拓で既存店売上高が伸びた。(日経新聞8月5日)
 売上高は11%減の1636億円。不採算店を200店強閉めたほか、直営店のFC店への売却を進め、従来の商品販売による売上がロイヤルティ収入に振り変わったことも影響した。米国の各地都市名にちなむ大型バーガーの期間限定発売、店舗の質向上を目指した新型店舗の開店(おしゃれマック)、ドライブスルー店舗の拡大、DSを使ったアルバイト研修、商品の宅配開始などが当っている。
 原田CEOは「2012年12月期には総資産経常利益率(ROA)20%を実現する体制ができる」と発表している。今期見通しの15%前後から資産効率が改善するとの見通しを示した。(日経新聞11月17日)

3. 牛丼安売り激化

 牛丼大手3社の2010年上半期(4~9月)連結決算によれば、「すきや」のゼンショーと松屋フーズは値下げで客数が大幅に増加した。吉野家HDは上期にコスト削減が進み、経常利益段階で3社とも前年度上期と比べ増益となった。値下げで出遅れた吉野家HDも足元では低価格商品の投入により業績が上向きつつある。(日経新聞11月5日)
 しかし、吉野家は10月、11月と2ケ月連続で売上高が減少した。10月の売上高は3.8%減、11月は8.2%減少と2ケ月連続のマイナスとなった。すき家、松屋がプラスで推移する中で吉野家のみが売上高減少となった。しかし、吉野家の新型低コスト店の出現は、生産性の向上を図るものであり、今後が楽しみである。

4. チキンメニュー広がる

 日本KFCは東京渋谷に7月上旬、新型店をオープンした。店舗外装を一新すると共に、「オーブンローストチキンセット」(790円)とローストチキンを挟んだサンドがメインの「ブレイザーセット」(720円)を新メニューの柱に据えた。“揚げない”商品を前面に打ち出したのは同社で初めてである。(日経MJ8月23日)
 日本KFCは新型店のフランチャイズ展開を始めた。福岡の新店は「天神サザン通り店」で次世代店舗第2号の位置づけで,FC店では1号店となる。新型店を3年後をメドに100店体制にする計画である。
 日本マクドナルドHDも7月から新しいチキンバーガーのシリーズを発売したが好調である。「アイコンチキン」シリーズはドイツやイタリアなどのヨーロッパの料理とチキンの融合をコンセプトにしている。(日経MJ11月3日) モスフードサービスは12月26日から海外店舗を含む全店(約1600店)で売上を競うキャンペーンを始める。同日に一斉に「塩バターチキンバーガー」(360円)を発売する。直火で焼き上げた鶏肉にポテトフライを合わせた「塩バターチキンバーガー」はアジアでは食肉のなかで一番人気が高い鶏肉を採用した。味付けは日本ではゆず風味にするが海外店舗はオレンジなどの風味で甘みを加える。(日経MJ12月12日)
 健康的で美味しく、かつ原価の安いチキン商品が年末にかけて広がる。

Ⅳ サービス業界の動き

1. 学習塾・予備校の合従連衡が進む

 矢野経済研究所の推計によると、2009年度の学習塾・予備校市場は9140億円。02年度比で8%減少。18歳以下の人口は09年時点で2183万人と、この10年で1割以上減少している。1兆円以下のマーケットであるにも関わらず、学習塾・予備校の記事は多い。やはり“教育”と深い関係があるためであろう。
 学習塾各社は提携を通じた生き残り策を模索している。その軸は3つである。 1つ目は学研と市進にみられる生徒の年齢層拡大を狙った提携である。大手予備校の代々木ゼミナールは5月、首都圏地盤の難関中学受験塾「SAPIX小学部」を傘下に収めた。09年にグループ化した「SAPIX中学部・高校部」と合わせて小学生から浪人生まで一貫して指導する体制を整えた。 2つ目は事業地域の拡大である。東海地方で「佐鳴予備校」を展開する「さなる」(東京・新宿)は今月、「栄光ゼミナール」を手がける栄光の筆頭株主となった。首都圏や関西へ進出を果すことが目的である。 最後は他の教育サービス企業を巻き込んだ新サービスの開発である。東京個別指導学院は07年、通信教育大手のベネッセHDの傘下に入った。ベネッセの持つ豊富な通信教育ツールを生かし、生徒一人ひとりの学力に合わせた指導システムをつくり、09年からの実用化を急いでいる。
 合従連衡は進んだが,思うような相乗効果は出ていない例も多い。東京個別では3~8月の全教室の売上高が約8%落ち込み、ベネッセと開発した新システムをまだ生かせていない。(日経新聞9月29日)

2. 光る明光ネットワークジャパン

 合従連衡の激しい学習塾業界で、個別学習塾でNO1である明光ネットワークの動きが光る。
 まず2010年8月期の連結決算で、売上高は128億円(前期118億円)、営業利益は31億円(前期29億円)で増収、増益となった。学習塾事業で教室数や生徒数が拡大して売上が伸びた。(日経新聞10月13日)
 また早稲田アカデミーと明光ネットワークジャパンは8月27日に講師が生徒一人ひとりを指導する個別指導塾事業で提携すると発表した。早稲アカが受験指導、明光ネットが個別指導塾運営のノウハウを持ち寄り、受験に特化した個別指導塾を立ち上げる。共同の新サービスで生徒数の増加を目指す。2011年1月にも首都圏の小中高生を対象に、受験対策向けの個別指導塾を立上げる。ブランドは「早稲田アカデミー個別指導学館」で共通化する予定。展開は早稲アカ、明光ネットがそれぞれ独自に手がける。明光ネットはFC形式での展開も検討する。(日経新聞8月28日)
 明光ネットは、学童保育施設の機能を兼ね備えた学習塾を立ち上げると発表した。2011年2月に東京都内に最初の施設を開く。新施設を通じて低学年から小学生との関係を深め、将来の生徒増につなげる意向である。新業態「明光キッズ」は、小学校1~6年の児童が対象。午後1時~7時を預かり時間とし、国語や算数などを教えるほか、実験や工作などの体験も予定する。(日経MJ11月26日) 明光ネットは,幼児向けの美術教室の展開に乗り出す。米国企業などとフランチャイズ権の取得交渉を始めたと発表した。生徒予備軍となる幼児向けの新規事業を立ち上げ、収益源の多角化と将来の塾生徒の獲得増につなげる。米国で美術教室「アブラカドゥードル」を展開するアブラカドゥードル(バージニア州)と、同教室の日本国内でのFC展開の権利を持つヨークインターナショナル(大阪市)との間で交渉を始めた。

3. ネットカフェ本人確認の強化

 日本複合カフェ協会(東京・千代田)は独自のガイドラインを制定し複合カフェに本人確認を求めてきたが、十分には浸透していない。個人情報を明かすことに抵抗を感じる顧客が多いのが理由である。全国の複合カフェ約2800店のうち、実施店は4割以下に止まっている。同協会として、会員以外の店に本人確認を強制できないため、顧客の啓発活動に注力し、「安心・安全ネットカフェ」キャンペーンと称して、本人確認するネットカフェが安全であることを訴える。(日経MJ2月1日)
 同協会の調査によると2009年の店舗数は前年より42店少ない2845店となり、調査を開始した05年以降初の減少となった。(日経新聞7月6日)

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