フランチャイズ時評バックナンバー

黒川孝雄の美

「公正取引委員会の調査報告書」の概要と解説

平成23年7月7日に公正取引委員会より「フランチャイズチェーン本部との取引に関する調査報告書」が発表された。
 冒頭で公取委は「フランチャイズ・システム(以下FCと略す)に関し,前回コンビニエンスストア(以下コンビニと略す)を対象に行った実態調査(平成13年10月公表)から一定の期間が経過し、本部と加盟者との間における取引環境に変化が生じている可能性もあることや、この間、本部による加盟者に対する独占禁止法違反行為が発生している事情も踏まえ、今般、フランチャイズ・ガイドラインに記載されている事項を中心に、本部と加盟者の取引実態を把握するための調査を行い、調査結果を取りまとめた。」と述べている。

第1 調査の趣旨等

1.調査の趣旨

公正取引委員会は、昭和58年に「FCに関する独占禁止法上の考え方について」(平成14年に改定。「以下フランチャイズ・ガイドライン」という)を策定し、本部のどのような行為が独占禁止法上問題となるかを明らかにするとともに、違反行為の未然防止の観点から、その普及啓発を行うなどの取組を行っている。
  今般、公正取引委員会は、➀前回コンビニを対象に行った実態調査(平成13年10月公表)から一定期間が経過し、本部と加盟者との間における取引環境に変化が生じている可能性もあること、➁この間、本部による加盟者との間における独占禁止法違反行為(優越的地位の濫用)が発生している事情も踏まえ、フランチャイズ・ガイドライン(以下ガイドライン)に記載されている事項を中心に、本部と加盟者の取引実態を把握するための調査を行った。

2.調査対象・方法

(1)調査対象業態
 飲食料品等を小売販売していると考え得るFC
(2)調査方法
 平成22年12月1日時点において、本件調査対象業態の本部と取引している加盟者が経営しているであろう店舗10,000店に対し書面調査を実施した。回収した回答数は1,903店(回答率19.0%)であったところ、この中には本部の直営店も相当数含まれており、加盟店からの回答数は1,389店であった。
 書面調査の回答数に占める加盟店の割合を調査対象業態別にみると、コンビニ以外の業態では10%前後と加盟店の割合が低かったのに対し、コンビニでは83.9%と突出している。

第1  書面調査の回答数に占める加盟店の業態別割合

業態 回答数
(直営店及び加盟店)
うち加盟店
(集計対象)
回答数に占める
加盟店の割合
合計 1,903 店 1,389店 73.0%
コンビニ 1,618店 1,358店 83.9%
100円等ショップ 94 店 12店 12.8%
ドラッグストア 74店 0店 0.0%
酒小売店 57店 9店 15.8%
スーパー
マーケット
53 店 8店 15.1%
業態不明 7店 2店 28.6%

また、書面調査に回答した加盟店に対してヒヤリング(46名)を実施した。
(3)調査実施期間
  平成22年12月  ~  平成23年5月

3. 調査内容

第2 FCの概況


1.契約の特徴(省略)


2.ガイドラインの概要(省略)


3.小売業を営むFCの市場規模

平成19年商業統計(経済産業省)によれば、平成19年6月1日における全国で小売業を営む加盟店の数は77,110店、平成18年度における売上高は10兆9281億円となっている。

第2  小売業を営む加盟店の業態別内訳

業態 加盟店の数 売上高
小売業を営む加盟店(全体) 77,110店 10兆9281億円
コンビニ 38,175店 6兆2977億円
ドラッグストア 470店 641億円
スーパーマーケット
(総合スーパー、専門店スーパー、
その他スーパー、中心店)
14,139店 2兆3657億円
その他
(百貨店、専門店、セルフサービス方式を
採用していない小売店)
24,326店 2兆2006億円

出典:平成19年商業統計


第3  調査結果


1.書面調査に回答した加盟店の概要


書面調査に回答した加盟店1,389店の内訳(表1参照)を業態別にみると、コンビニが97.8%(1,358店)と大多数であり、コンビニ以外(100円等均一価格ショップ等。以下同じ)は2.2%(31店)であった。

2.書面調査に回答した加盟店の事業形態・事業規模

(1)事業形態
書面調査に回答した加盟店1,389店の内訳を業態別にみると、コンビニが97.8%(1,358店)と大多数であり、コンビニ以外(100円ショップ等)は2.2%(31店)であった。
 加盟前の職業をみると、事業経験がない者である可能性が高い「会社員等(本部の会社員を除く)」との回答はコンビニでは56.0%、コンビニ以外では42.9%であった。他方、事業経験はあるものの、FCに精通していない者である可能性が高い「自営業(小売・卸売業)」との回答は、コンビニで26.9%、コンビニ以外では53.6%であった。
(2)事業規模
加盟店の事業規模をみると、コンビニでは66.9%が、コンビニ以外では44.4%が、1店舗のみの経営であるとの回答であった。
 加盟店の事業地域をみると、コンビニでは97.9%が、コンビニ以外では72.4%が1都道府県内のみで事業をおこなっているとの回答であった。
(3)本部と加盟店との関係
ア 加盟店の本部に対する取引集中状況
(ア)商品の仕入先
「本部又は本部が推奨する仕入先からのみ商品を仕入れる」と回答した加盟店の割合は、コンビニでは74.4%、コンビニ以外では64.5%であり、本部又は本部が推奨する仕入先に取引が集中している。また、「本部又は本部が推奨する仕入先以外からも商品を知れている」と回答した加盟店を対象にヒヤリングを行ったところ、独自に仕入れている商品として挙げられたものの多くは、一般的に、地元特産の酒又はおみやげ品、特定銘柄のたばこ、自治体指定のごみ袋など限定的なものであった。
(イ)経営指導
加盟店は本部から派遣されるスーパーバイザー等と称される経営指導員を通じ、本部から経営指導を受けているところ、「本部の経営指導なく事業を継続することはできない」と回答した加盟店の割合は、コンビニでは58.7%、コンビニ以外では26.7%であった。
(ウ)本部からの各種要請に対する加盟店の考え方
本部から各種要請(例えば、仕入数量や新規事業の導入など)があった場合、これに「応じざるを得ない状況である」と回答した加盟店の割合は、コンビニで46.5%、コンビニ以外では16.7%であった。
  次いで、「応じざるを得ない状況である」と回答した加盟店に対し、その事情を質問したところ(複数回答あり)、「契約上、本部に有利な条件での契約になっているため」との回答が、コンビニでは56.5%、コンビニ以外では40.0%であった。また、「本部の要請に応じないと更新できないことを示唆されたことがあるため」との回答が、コンビニでは37.3%、コンビニ以外では40.0%であった。
  さらに、本部からの各種要請に応じざるを得ない事情について、「契約上、本部に有利な条件での契約となっているため」と回答した加盟店に対し、「本部に有利な条件としてどのようなものがあるか」を質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは「加盟店が中途解約を申し出た場合、一定の解約料を本部に支払うこととされている」との回答が69.7%、「更新するか否かが、本部の意向のみで判断されている」との回答
が67.7%、「加盟店が中途解約を申し出た場合、その意思表示をしてから一定期間営業を継続することとされている」との回答が30.3%であった。(コンビニ以外は回答なし)
(エ)本部が加盟店をどのような取引相手と見ているかについて   本部が加盟店をどのような取引相手と見ているかについて、加盟店の認識を質問したところ、「本部よりも弱い立場の取引相手であると見ていると思う」との回答が、コンビニでは54.9%、コンビニ以外では31.0%であった。

3. 本部の加盟店募集

(1)本部の加盟店募集における独占禁止法上の考え方について(省略)

(2)契約までの流れ
 加盟希望者が本部と契約を締結するまでの流れは、次の図の通りである。  図―12加盟希望者が本部と契約を締結するまでの流れ

             検討機関        熟考期間
本部の加盟店募集説明会に出席 →  契約の意志表示  →  契約

(3)契約に当たっての本部の情報開示
 ア 本部に契約の意志を示してから契約締結までの期間
  初めて本部と契約をする際、コンビニの加盟希望者60.5%が、コンビニ以外では加盟希望者の50.0%が、本部に契約の意志を示した後1か月以内に本部と契約を締結したとの回答であった。このうち、コンビニでは10.7%が、コンビニ以外では7.7%が、本部に契約の意志表示をした後6日以内に本部と契約を締結したとの回答であった。(日本フランチャイズチェーン協会{以下JFA}では「JFA自主開示基準」を定め、同協会の会員に対し、「フランチャイズ契約の要点と概説」を作成し、加盟希望者に対し、事前に「要点と概説」の交付及び当該書面に基づく説明を行うこと、フランチャイズ契約の締結は、FC契約書の交付と説明が終わった後に、7日間以上の期間をおいて行うことを定めている)
イ 契約書の提示・説明時期
  本部から契約書が提示された時期について質問したところ、コンビニでは51.2%が、コンビニ以外では29.0%が、「契約当日」との回答であった。次いで、本部から契約書が提示された後、契約するまでの間に、「本部から契約内容について説明を受けたか否か」を質問したところ、「説明を受けていない」と回答した加盟店の割合は、コンビニでは18.4%、コンビニ以外では13.3%であった。
  さらに、「説明を受けた」と回答した加盟店に対し、その時期について質問したところ、コンビニでは39.7%が、コンビニ以外では12.9%が、「契約当日」との回答であった。

ウ 本部から十分な情報の開示(書面の交付・説明)が行われる必要があると加盟希望者が考えた時点
 「本部から十分な情報の開示が行われる必要があると加盟希望者が考えた時点」について質問したところ、「募集説明会又は本部から勧誘のあった時点」との回答が、コンビニでは42.0%、コンビニ以外では36.7%であった。これに「本部に契約の意志を示す前」に行われる必要があるとの回答を含めると、コンビニでは73.3%、コンビニ以外では80.8%となり、「本部に契約の意志を示す前」までに本部から十分な情報の開示が行われることが必要と考えた加盟希望者が大部分を占めていた。

エ 本部の開示内容と実際の内容が異なっていた事項
 加盟店希望者に提示された資料(募集説明用のパンフレット、会社案内、予想売上げ、収支モデル、立地調査報告書、契約の概要、契約書等)の記載内容又は説明を受けた内容(開示内容)について質問したところ(複数回答あり)、「本部の開示内容と実際の内容とで異なった事項」として、コンビニでは、「予想売上げや収支モデルの額」との回答が53.0%、「経営指導の内容」との回答が27.9%、「店舗周辺の地域に本部の直営店又は他の加盟店を出店させる可能性の有無」との回答が24.0%、「更新の条件」との回答が23.1%であった。また、コンビニ以外では「予想売上げや収支モデルの額」との回答が44.4%、「経営支援の内容」との回答が33.3%、「経営指導の内容」、「ロイヤルティ」、「加盟金」との回答が22.2%であった。
 次いで、「本部の開示内容と実際の内容とで異なっていた」理由について質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは、「提示された資料の内容又は説明がはっきりとしない又は十分でなかった」との回答が49.8%、「提示された資料の内容又は説明が正確ではなかった(虚偽もしくは誇大な内容であった)」との回答が32.1%であった。また、コンビニ以外では「提示された資料の内容又は説明がはっきりとしない又は十分ではなかった」との回答が44.4%であった。

オ 取引条件等の一方的変更の可能性
 「本部が取引条件等の内容を詳細に記した店舗運営資料(以下「マニュアル」という)を店舗に備え付けいるか否か」を質問したところ、「備え付けている」との回答がコンビニでは90.2%、コンビニ以外では46.7%であった。
 次いで、「備え付けている」と回答した加盟店に対し、「マニュアルについて問題があるのではないかと思われる本部の行為」について質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは「オーナーに了承なく勝手にマニュアルの内容が変更された」との回答が43.5%、「実態が変わっていないのに、記載内容が変更された」との回答が14.6%であった。コンビニ以外では「オーナーに了承なく勝手にマニュルの内容が差し替えられた」との回答が16.7%であった。

4. フランチャイズ契約締結後の本部と加盟店との取引

(1)本部と加盟店の取引における独占禁止法上の考え方について(省略) (2)商品の仕入先
 ア 加盟店の回答
  加盟店で販売する商品の仕入先について、「本部又は本部が推奨する仕入先   以外からも商品を仕入れている」と回答した加盟店に対し、本部又は本部が推奨する仕入先以外から商品を仕入れたときの本部の対応について質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは「本部又は本部から推奨された仕入先以外から商品を仕入れないよう指導された」との回答が11.6%、「その他の不利益な取り扱いがあった又は不利益な取り扱いを示唆された」との回答が5.3%あった。また、コンビニ以外では「本部又は本部からの推奨された取引先とは異なる取引先から商品を仕入れないように指導された」との回答が20.0%であった。
   次いで、「その他不利益な取り扱いがあった又は不利益な取り扱いをする旨示唆された」と回答した加盟店に対し、本部からどのような不利益な取り扱いがあったか又は示唆されたかについて質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは「契約の解消」との回答が40.0%、「契約更新の拒絶」との回答が20.0%であった。(コンビニ以外は回答なし)
  さらに、「本部又は本部から推奨された取引先と異なる取引先から商品を仕入れないように指導された」と回答した加盟店に対し、これを受けてどのような対応を採ったかについて質問したところ、「受け入れざるを得なかったため受け入れた」との回答が、コンビニでは22.0%、コンビニ以外では50.0%であった。
また、「受け入れざるを得なかったため受け入れた」と回答した加盟店に対し、その結果「不利益を被ったか否か」を質問したところ、コンビニでは66.7%が「不利益を被った」との回答であった。(コンビニ以外は0)   なお、不利益の具体的内容としては「客数及び売上げが減少した」、「原価の安い商品の仕入れができなくなった」との回答であった。

(3)商品の仕入数量
 ア 加盟店の回答  
 加盟店で販売する商品の仕入数量について、本部から「示されている」と回答した加盟店の割合は、コンビニでは48.8%、コンビニ以外では22.6%であった。
  次いで、「示されている」と回答した加盟店のうち「本部から示された数量に満たない数量の商品を仕入れることや仕入そのものを行わないことがある」と回答した加盟店に対し、本部から示された仕入数量どおりに商品を仕入れなかったとき(示された数量に満たない数量の商品の仕入れたとき又は仕入そのものを行わなかったときをいう。以下同じ。)の本部の対応について質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは、「返品することができないのに、本部が指示したとおりの数量を仕入れるように指導された」との回答が32.8%、「その他不利益な取り扱いがあった又は不利益な取り扱いをする旨示唆された」との回答が12.1%であった。(コンビニ以外は「特段の対応なし」
  さらに、「その他不利益な取り扱いがあった又は不利益な取り扱いをする旨示唆された」と回答した加盟店に対し、本部からどのような不利益な取り扱いがあったか又は示唆されたについて質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは「契約更新の拒絶」との回答が48.1%、「契約の解消」との回答が27.8%であった。(コンビニ以外は回答なし)  また、「返品することができないのに、本部が指示したとおりの数量を仕入れるように指導された」又は「その他不利益な取扱いがあった又は不利益な取扱いをする旨示唆された」と回答した加盟店に対し、これを受けてどのような対応を採ったかについて質問したところ、コンビニでは「受け入れざるを得なかったため受け入れた」との回答が35.4%であった。(コンビニ以外は回答なし)  
次いで、「受け入れざるを得なかったため受け入れた」とする加盟店に対し、その結果「不利益を被ったか否か」を質問したところ、コンビニでは84.3%が「不利益を被った」との回答であった。(コンビニ以外は回答なし)
 なお、不利益の具体的内容としては、「不良在庫が増加した」、「廃棄ロスが増加した」との回答であった。

(4) 商品の廃棄
 ア 加盟店の回答
  加盟店で販売する商品について、本部から消費期限に達しない商品の廃棄を「求められことがある」と回答した加盟店の割合は、コンビニでは40.4%、コンビニ以外では19.4%であった。
 次いで、「求められたことがある」と回答した加盟店に対し、求められたとおりに廃棄を行わなかったときの本部の対応について質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは「より積極的に廃棄を行うよう指導された」との回答が58.8%、「その他不利益な取扱いがあった又は不利益な取扱いをする旨示唆された」との回答が18.3%であった。またコンビニ以外では「より積極的に廃棄を行うよう指導された」との回答が40.0%であった。
 さらに、「不利益な取扱いがあった又は不利益な取扱いをする旨示唆された」と回答した加盟店に対し、本部からどのような不利益な取扱いをする旨示唆されたかについて質問したところ(複数回答あり)、「契約の解消」との回答が56.5%、「契約更新の拒絶」との回答が53.3%であった。(コンビニ以外は回答なし)
  また、「より積極的に廃棄を行うよう指示された」又は「その他不利益な取扱いをする旨示唆された」と回答した加盟店に対し、これを受けてどのような対応を採ったかについて質問したところ、コンビニでは「受け入れざるを得なかったため受け入れた」との回答が54.1%であった。(コンビニ以外は回答なし)
  次いで、「受け入れざるを得なかったため受け入れた」とする加盟店に対し、その結果「不利益を被ったか否か」について質問したところ、コンビニでは78.2%が「不利益を被った」との回答であった。(コンビニ以外は回答なし)
 なお、不利益の具体的内容としては、「廃棄ロスが増加した」との回答があった。
イ 廃棄商品に係る原価の負担状況
 商品を廃棄した場合における、当該商品に係る仕入原価の負担について質問したところ、「加盟店の全額負担となっている」との回答が、コンビニでは60.0%、コンビニ以外では71.0%であった。
次いで、「本部が一部を負担している」と回答した加盟店に対し、廃棄した商品に係る仕入原価の加盟店負担割合について質問したところ、コンビニでは「80%以上」負担しているとの回答が88.9%と最も多く、コンビニ以外では「40%以上60%未満」負担しているとの回答が75.0%と最も多かった。
 さらに、回答した加盟店に対し、「廃棄した商品に係る仕入原価が本部に支払うロイヤルティの算定要素となっているか否か」を質問したところ、「算定要素となっている」との回答が、コンビニでは58.6%、コンビニ以外では45.8%であった。

(5) 商品の販売価格
 ア 加盟店の回答
  販売する商品の販売価格について質問したところ、「本部から推奨された販売価格でのみ販売している」との回答が、コンビニでは45.9%、コンビニ以外では51.6%であった。
  次いで、「本部から推奨された価格とは異なる価格で販売することもある」と回答した加盟店に対し、「廃棄リスクを回避するために見切り販売を行ったことがあるか否か」を質問したところ、「見切り販売をしたことがある」との回答が、コンビニでは89.8%、コンビニ以外では93.3%であった。
  また、「見切り販売したことがある」と回答した加盟店を対象にヒヤリングを行ったところ、見切り販売をしているとして挙げられた事例は、一般的に、季節商品の撤去に伴う在庫処分、新商品導入時における旧商品の在庫処分など限定的なものであった。
  さらに、「見切り販売をしたことがある」と回答した加盟店に対し、本部から推奨された販売価格とは異なる価格で商品を販売したとき、又は販売しようとしたときの本部の対応について質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは、「推奨価格で販売するよう指導された」との回答が13.4%、「原価全額が加盟店負担となる仕組みであるのに、見切り販売しないよう指導された」との回答が11.9%、「その他不利益な取扱いがあった又は不利益な取扱いをする旨示唆された」との回答が7.0%であった(コンビニ以外の回答は「特段の対応はなかった」との回答であった。)
  また、「その他不利益な取扱いがあった又は不利益な取扱いをする旨示唆された」と回答した加盟店に対し、本部からどのような不利益な取扱いがあったか又は示唆されたかについて質問したところ(複数回答あり)コンビニでは「契約更新拒絶」との回答が52.3%、「契約の解消」との回答が38.6%であった。(コンンビニ以外は回答なし)
  次いで、「推奨価格で販売するよう指導された」又は「その他不利益な取扱いがあった又は不利益な取扱いをする旨示唆された」と回答した加盟店に対し、これを受けてどのような対応を採ったかについて質問したところ、コンビニでは「受け入れざるを得なかったため受け入れた」との回答が42.6%であった(コンビニ以外は回答なし)
さらに、「受け入れざるを得なかったため受け入れた」とする加盟店に対し、その結果「不利益を被ったか否か」を質問したところ、コンビニでは83.8%が「不利益を被った」との回答であった。(コンビニ以外は回答なし)
 なお、不利益の具体的内容としては、「廃棄ロスが増加した」との回答があった。

(6)新規事業の導入   省略

5 法令等の認知度    省略

第4 調査結果の評価

公取委では、下記のようにまとめている。(これ以降の部分を読んでもらえば、概ねの内容は理解できる)

1.本部の加盟店募集

 「予想売上げや収支モデルの額」について、加盟前に本部が示した提示額よりも実際の額の方が低かったと回答した加盟店の割合がコンビニでは53.0%、コンビニ以外では44.4%といずれも高く、「経営指導の内容」、「再契約(契約更新)の条件」、「経営支援の内容」、「ロイヤルティ」等についても、加盟前に本部が開示した内容と実際の内容が異なっていたと回答した加盟店の割合が高かった。 
    本部から契約書が提示された時期については、「契約当日」に提示されたと回答した加盟店の割合が、コンビニでは51.2%、コンビニ以外でも29.0%と高かった。

2.契約締結後の本部と加盟店との取引

(1)商品の仕入先
  加盟店における商品の仕入先については、「本部又は本部が推奨する仕入先」からのみ仕入れていると回答した加盟店の割合が、コンビニでは74.4%、コンビニ以外でも64.5%と、いずれも高かった。また、「本部又は本部が推奨する仕入先」以外から商品を仕入れたときの本部の対応については、「特段の対応はなかった」と回答した加盟店の割合が、コンビニでは85.9%、コンビニ以外では90.0%と、大部分となっていた。しかしながら、ヒヤリングによれば、一般的に、加盟店が「本部又は本部が推奨する仕入先」以外から実際に仕入れている商品は、本部の推奨商品として取扱いがない商品など限定的なものであった。従って、本調査結果からは、商品の仕入先に関して加盟店は強く問題視しているとは見受けられない。

(2)商品の仕入数量
 本部から加盟店に対して商品の仕入数量の提示がされていると回答した加盟店の割合が、コンビニでは48.8%、コンビニ以外では22.6%であった。加盟店の評価が再契約の考慮要素とされることもあるところから、特定の商品について、一定割合以上が売れ残った場合に有利な評価をされるため、加盟店が必要と考える数量よりも多量の商品の仕入を強いられている旨の回答や、加盟店のオーナー不在時に勝手に経営指導員に商品を発注され仕入れさせられる旨の回答が見受けられた。正常な商習慣に照らして不当に不利益を与えているときは、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるおそれがある。

(3)商品の廃棄
 「廃棄商品の原価相当額の一部を本部が負担している」と回答した加盟店の割合は、コンビニでは35.6%、コンビニ以外では12.9%となっており、コンビニでは加盟店に一方的に原価相当額を全額負担させるという状況が変わりつつあるように見受けられたが、依然として、「加盟店の全額負担となっている」と回答した加盟店の割合も高く、コンビニでは60.0%、コンビニ以外では71.0%であった。
 本部が設定した販売期限を過ぎた商品を販売した実績があると、加盟店の評価が、不利な評価をされるため、加盟店は本部と継続的に契約をするためには、本部の設定する販売期限に合理性を感じないが、消費期限前の商品であっても廃棄せざるを得ない旨の回答も見受けられた。これは、正常な商習慣に照らして不当に加盟店に不利益を与えるときは、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となる恐れがある。

(4)商品の販売価格
 「本部から推奨された販売価格とは異なる価格で販売することもある」と回答した加盟店の割合、コンビニでは54.1%、コンビニ以外では48.4%であり、さらにこれら加盟店のうち「見切り販売したことがある」と回答した割合は、コンビニでは、89.8%、コンビニ以外では93.3%と、非常に高かった。しかし、ヒヤリングによれば、一般的に見切り販売をしているとして挙げられた事例は、季節商品や新商品導入時における旧商品の在庫処分など限定的なものであった。  見切り販売を行っている加盟店に対しては、契約の解除や不利益な取扱いをすることで、見切り販売を実質的に制限される旨の回答や、ファストフードに      ついては本部の指定する価格で販売することが契約書で義務付けられている旨の回答あったことに鑑みると、本部には加盟店が推奨された販売価格とは異なる価格で商品を販売することについて否定的な部分があるように見受けられた。  正常な商習慣に照らして不当に加盟店に不利益を与えるときは、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるおそれがある。

(5)新規事業の導入    省略

第5 公正取引委員会の対応

 この調査結果を踏まえ、公正取引委員会は、本部及び日本フランチャイズチェーン協会等に対して、次の対応を行うこととする。 1.本部及び本部の経営指導員に対する業種別講習を実施するなどにより、本部と加盟者の取引の公正化を推進し、違反行為の未然防止に努める。

2.本部による独占禁止法上の違反行為が行われないようにするため、日本フランチャイズチェーン協会に対して、本調査結果を報告するとともに、本部が問題点の解消に向けた自主的取組を行えるよう、改めてFCガイドラインの内容を傘下会員に周知徹底するなど、業界における取引適正化に向けた自主的な取組を要請する。

3.本部と加盟店の取引については、取引業態及び本部の加盟者に対する問題行為の更なる把握に努めるとともに、仮に、独占禁止法に違反する行為が認められた場合には厳正に対処する。

第6  解説(黒川私案)

1.公正取引委員会は平成13(2001)年10月に「コンビニエンスストアにおける本部と加盟店との取引に関する調査報告書」を発表した。この時は、まず加盟店のアンケート調査(3000店に送付し、回答は650店)と、加盟店30店のヒヤリング調査を行った。
 更に、このアンケートを受けてコンビニエンスストア 大手14本部のヒヤリング調査を行った。39ページに及ぶ大部な報告書であり、第7として「公正取引委員会の対応」を発表している。その最後に「今回の調査を踏まえて、独占禁止法上の考え方の明確化を図るため、フランチャイズ・ガイドラインを改定することとする」と結んだ。

2.10年後に再度、小売業のフランチャイズ加盟店を対象に、アンケート調査(10,000店を対象とし、有効回収は1,903店)と、ヒヤリング調査(46名)を行った。即ち、調査対象は小売業のフランチャイズ加盟店であるが、約84%がコンビニであることから、形を変えたコンビニ調査であったと理解している。

3.前回の報告書が第2「コンビニの概況」、第3「本部と加盟店のフランチャイズ契約」、第4「本部の加盟店募集について」、第5「契約後の本部と加盟店の取引」、第6「調査結果のまとめ」、第7「公正取引委員会の対応」となっている。
  今回は、概ねガイドラインに沿った調査内容であったが、最後に「法令等の認知度」と、第6として「調査結果の評価」を入れている。
  前回がコンビニエンスストアの解説に力点を置いたのに対し、今回はコンビニと他の小売業との比較を通して、コンビニの特徴を浮き彫りにしたことが目立つ。

4.今回の調査は、あくまでも加盟店調査であり、現時点においては本部調査までは行わないようである。はっきり言えば、公取委は、本部調査をするまでもなく、加盟店調査さえ行えば、ガイドラインに違反している事例は明らかであるとの態度である。
 しかし、加盟店調査のみでは不十分であり、公取委は本部調査を行い、その上で、意見を述べるべきである。このアンケート調査、ヒヤリング調査だけでは、どこまで正しいか明らかでない。

5.現に、フランチャイズ・ガイドラインに挿入された「見切り販売の制限」の項で、「廃棄ロス原価が売上総利益に含まれる方式を採用している」と誤認している。これに対して最高裁判決平19.6.11では"「売上商品原価」は、実際に売上げた商品の原価を意味し、廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価を含まないと解するのが相当である"としている。

6.調査結果はかなり厳しい結果が出ている。例えば「本部の開示内容と実際の内容とで異なっている事項」についての調査では、「予想売上げや収支モデルの額」と回答したコンビニ加盟者は53.0%、コンビニ以外の加盟者は44.4%が「異なっていた事項」に上げている。(複数回答あり)
 また商品の仕入数量について、本部から「示されている」と回答した加盟店の割合は、コンビニでは48.8%、コンビニ以外では22.6%であった。
  更に、「示されている」と回答した加盟店のうち「本部から示された数量に満たない数量の商品を仕入れることや仕入そのものを行わないことがある」と回答した加盟店に対して、本部から示された仕入数量どおりに商品を仕入れなかったときの本部の対応について質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは「返品することができないのに、本部が指示したとおりの数量を仕入れるよう指導された」との回答が32.8%、「その他不利益な取扱いがあった又は不利益な取扱いをする旨示唆された」との回答が12.1%であった。
 さらに、「その他不利益な取扱いがあった又は不利益な取扱いをする旨示唆された」との回答が32.8%であった。(コンビニ以外の回答はいずれも「特段の対応はなかった」との回答であった)
   「不利益な取扱い又は示唆されたか」について質問したところ(複数回答あり)、コンビニでは「契約更新の拒絶」との回答が48.1%、「契約の解消」との回答が27.8%であった。(コンビニ以外では回答なし)。
 この「予想売上や収支モデル」を挙げたコンビニ加盟店が過半数を超えたこと、仕入数量を「不利益な取扱いや示唆」で無理に仕入れさせるやり方は納得できない。

7.今回書面調査に回答した加盟店が加盟している本部の多くが日本フランチャイズチェーン協会の会員(正会員か)であるとしている。(13P)
 それならば、大半の本部は株式公開をしているか、経営能力も高い本部が多い。協会の指導がなくても、経営陣がその気になれば、本部の力で十分是正できる筈である。「契約の解消」とか「契約更新拒絶」等の発言が経営指導員から日常的に出ること自体が異常であり、「本部と加盟店のより良い関係の有り方」から外れた対応と判断せざるを得ない。

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